信なくば立たず





 トランプ次期米大統領が立候補に名乗りをあげたとき、聴衆は異口同音に悪たれと馬鹿者呼ばわりした。大統領選終盤においては、あの愚か者の暴言者が大統領になるはずがないと高をくくった。そしてその愚か者がまさかの勝利を収めた瞬間、米国人ならずとも世界が凍え切った。発する言葉は、「なぜ」と「まさか」。同じ事をイギリスのEU離脱の折にも経験した。


 トランプ氏のビジネス選挙戦の勝利なのか、国民の愚かさなのか、その原因はわからない。しかし国民投票で決する限り「なぜ」と「まさか」が繰り返され、我々はこの不確実性社会における民主主義のあり方を問うことになる。


 そしてさらに深刻なことは、そのような愚か者をSNSの世界に放し飼いにしたとき、世界が翻弄させられ、混乱と悲劇を起こしかねないということだ。北米のモーターショーにおいては、トランプ氏のツイッターのつぶやきに呼応し、名高いメーカーのトップがこぞってメキシコ工場撤退を決定したり、アメリカへの投資を約束したり、雇用に貢献すると発表した。まだ大統領に就任してもいないトランプ氏の発言、それも正式会見ではなく、ただのつぶやきに、なぜ世界のトップはひざまづき迎合するのか。


 トランプ氏の言う自国第一主義では世界の経済も平和も守られる訳がない。そればかりか牽引国の暴挙がてぐすねを引いていた赤軍団の暴発の連鎖ともなりかねない。それがわかっていて、政治経済のトップはなぜ反発せず迎合するのか。世界の経済と平和を維持するには決死の覚悟と信が必要である。彼の言動が米国の悲劇、そして世界の悲劇の連鎖の始まりとならぬよう、世界のトップは信をもってあたるべきである。




ふるさと納税拒否症候群






 そもそも納税というものは、自分が住んでいてお世話になっている地域、起業して利益を得ている地域へ、その恩返しとして収めるのが筋です。ふるさと納税の趣旨を鑑みて少し緩めに考えてみれば、自分が育った地域やお世話になった地域、思い出の地域にお礼の意味から納税する、これもありかも知れません。


 しかしなんですね、何とか牛とか何とかフルーツ、はたまた温泉旅行付きとか、ありとあらゆる手段でふるさと納税を自治体が企画して、目ざとくそれに呼応する国民がいて、あぁ、得のためならなんだってあるんだと、悲しい気持ちになります。


 いえね、そういう私もそれに同調して興じたい気持ちがなくはないですよ。ただね、それが過ぎれればどうなるのでしょ。企画力が優れた目ざとい過疎地にそぐわない巨大なドームが建てられて住民税が安くなり、反対に名産品が少ない都市では自治運営が破綻するということになるのは必定でしょう。自治体運営というものを、国が手のひらで遊んでいるように思えてなりません。


 なんでもお金が動けば経済が闊達になるという考え方は、いかにもあさましく、所詮は姑息なやりかたであり、経済の風上に置けません。物事には筋と道理があり、それによって国や地方の自治や安全が守られていると考えますが、どうでしょう。こんな硬いことを言うから煙たがられるのかも知れませんなぁ。



葬られる事故原因





 博多駅前の陥没事故の放映を見ていて、オヤッっと思った。地下鉄工事にナトムが採用されていたからだ。NATM(ナトム)とはNew Austria Tunnnel Method の略である。アルプス山脈を擁するオーストリアで生まれた画期的なトンネル工法である。


 NATM(ナトム)という言葉の響きは懐かしい。もうかれこれ30年も前のことか、NATM生みの親であるチューリッヒ工科大学・コバリ博士を会社に招いて勉強会を催した。博士は広島の仏通寺がお気に入りであった。先端的な工学博士が竹林の中の侘びとさびを好んだのも印象的であった。


 それまでトンネルといえば鋼製の支保工で支えるのが常識であったが、NATM(ナトム)は地山の挙動を計測しながら工法にフィードバックする柔軟な工法である。この工法によって関越道や上越新幹線などの難工事を乗り越えてきた。そして今ではトンネルといえばNATM(ナトム)と言うほどに常識になってきた。


 NATM(ナトム)は確かに優れた工法であり、山岳トンネルで大きな効果を発揮する。しかしNATM(ナトム)には欠点がある。遮水性である。だから市街地の地下トンネルに採用しているのに驚いた。なぜ一般的なシールド工法や推進工法を採用しないでわざわざNATM(ナトム)を採用したのか。しかも岩盤の起伏が著しい博多駅前で。遮水性をどのように保ったのか。幸いにも死傷者がでなかったものの、大惨事を招きかねない大事故に謎が深まるばかりであるが、不思議なのは施工業者の名や施工の詳細、原因について誰も語らないことである。猛スピードで陥没を埋め戻したように、原因も葬られているように思えてならない。




風が運ぶしあわせの花





そういえば、玄関先にカラの植木鉢をひとつ置いていた。その鉢に1本の雑草が生えていた。

日照り続きの猛暑のあと、風台風が到来して数日後の朝のこと。

気にも留めずに放置してさらに数日後、鉢の雑草がムクムクと背を伸ばし、特徴的な細い葉を備えた立派な茎に成長していた。

よくみると茎の先端につぼみがある。そして明くる日、なんと黄色い花1輪が咲いた。



ケフナ




なんという名の花だろうと、フェイスブックに問いかけた。

間髪入れずに、お友だちのお花の先生から「ケフナでないかしら」と返答があった。

聞き慣れないこの名を早速調べたら、そのとおり「ケフナ」であった。


この「ケフナ」、アオイ科ハイビスカス属の一年草で別名をホワイトハイビスカスと呼ばれているそうな。

もともと西アフリカ原産と言われており、古くはエジプトのミイラの包帯にも使われた植物という。

皮の部分、芯の部分が全て紙の原料として利用できる最適な非木材資源とされているそう。

二酸化炭素の増加を抑えて土中の窒素やリンを吸収する環境浄化能力に優れた性質を有するという。


わが家に飛来した「ケフナ」は毎朝1輪、ハイビスカス風の黄色い花を開花し、夕方には閉じた。

そして明くる日、別の1輪が開花する。それを繰り返すこと2週間、ついに「ケフナ」の開花は終わった。


どこから飛んできたものかわからない。おそらく台風の風が運んできたものだろう。

それも、よりによって格好のカラの植木鉢に。

成長がすこぶる早く、惜しみなく1輪咲いては閉じる、その咲きっぷりは見事であった。

なんだか不思議な気がする。秋到来を知らせる台風の贈り物が教えてくれる。

「ケフナ」のように、強く、逞しく、真っ直ぐに、潔く生きなさいと。



元凶は建築家の奢りにあり






 横浜のマンションが傾いた事件のとき、私は拙ブログにおいて建築と土木の歪な関係が根本にあると訴えた。


2014年6月10日------------http://geotech.blog134.fc2.com/blog-entry-743.html
2015年10月15日----------http://geotech.blog134.fc2.com/blog-entry-826.html


 今回の豊洲の件についても根本原因がそこにあると確信する。一般の人にはわからないかも知れないので、建築と土木の関係について少し説明する。


 マンションや今回の豊洲市場などの建築物を扱う技術者は、「上物(うわもの)」と呼ばれる建築物本体の設計に携わる技術者(一級建築士)と基礎を扱う技術者(技術士)に分かれる。所謂、前者が「建築屋」であり後者が「土木屋」である。建築屋は難しい構造計算をこなせる構造屋としてのプライドがある。一方、土木屋が取り扱うのは地盤の他に、環境、地下水など多岐に渡り、構造物の安全性の基礎は我々が担うというプライドがある。しかし社会の評価は一般に建築屋の方が高く、建築屋の独壇場になることもしばしば。極端な話、土木屋から上げられた基礎に関するデータを無視して建築屋が設計していることを私は日常的に見てきた。


 今回の豊洲の建物地下空間の問題を聞いたとき、ははぁ~、これだなとピンときた。誰がいつ決めたかと犯人探しをしてもそれはおぼつかないだろう。専門委員会の提言のもとに土木屋が決めた盛土案を、建築屋がいとも簡単に修正して進めてきたものと考えるのが妥当である。


 建築と土木の意思疎通というか歪な上下関係。建築と土木を総括する組織のないこと。さらに全体を監理するトップがいなことが原因である。今回の豊洲市場の大問題は、建築屋の奢りが招いたとんでもない負の遺産と睨んでいる。




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団塊の世代を突っ走った田舎侍の遠吠えです。聞いてやってください。実話から世評までもろもろですが、一貫して、辛口です。

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