父から息子へのメッセージ(その六)

 ロン毛の茶髪でギター三昧の大学生活を送った息子であったが、幸いにもコンピューター関係の会社に就職することができた。今では、いっぱしのサラリーマンとなっている。

 その後、ばついちの子持ちと結納を交わした。佐藤浩市似のいい男がよりによって、という気持ちがあったが、本人の気持ちを尊重した。が、結局、式の直前で破談した。彼の優しさが裏目になったようである。力量のない彼に背負わされたであろう将来の負担を思うと、親として正直、ほっとした。
 
 男子は誰も、いつか父を越えようとする。その時、あがきもがく。そして、自己主張を最大限に行い、ややもすると、自己の意思に反する方向に暴走する。自己主張する若者ほど、実は内向的でナイーブなのである。あれだけ昔興じた野球やギターは、今では話すら避けている。

 父はどんな局面でも真正面から向き合ってきたじゃないか。お前は学歴や資格、生き方などすべての面で、父に引け目を感じているようでもある。また、私と違って不器用で優柔不断でもある。しかし、そんなことは人間の価値とは一切、関係ないことではないか。まして、君には、私にはない、人間にとって一番大切な「優しさ」があるではないか。ただひとつ、男はどんな困難にも逃げてはいけない、と付け加えた。五月の連休帰省の折、こんな話をしながら、酒の勢いもあって互いに涙した。
                                   完


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