さらば友よ





 私は今、遠く見知らぬ地を尋ね、丘の上に建てられた友の墓前に来ている。全国を放浪してきた私が唯一立ち入ったことのない異国への初めての見参が、まさかこのような形になろうとは。

 ひと廻りも上の貴兄を友と呼んで失礼かも知れない。たった一度しか逢ったことのない貴兄を友と呼んで僭越かも知れない。しかし、どうしても貴兄のことを友と呼びたいのです。

 虚像空間で知り合った貴兄と直接逢ったのはちょうど2年前。10分足らずの時間と少しの会話は、互いを信頼するに十分であった。人は一目見ればわかる。一言かわせばわかる。貴兄の飾らない人柄、おだやかな物言い、凛として媚びない人格。互いに心の中で友を意識した。そして貴兄は来年広島に行くので再会しようと言った。その約束は守られなかったが、今日、再会の約束だけは守ることができた。

 親の墓にも滅多に行くことのない私、神も仏も信じない私をして、なぜ一度きりしか逢っていない貴兄が眠る遠い異国の地に足を運ばすのか。それは、真の友だからである。

 真の友とは、付き合った時間の長さではない。酒を酌み交わした回数でもない。一度きりの出遭いでも信頼できると思う人、それが真の友である。人生で一度きりの出会いの真の友をなくした。今、そういう思いでいる。

 この墓の下に貴兄の骨があろうがなかろうが関係ない。全てが無であることも承知している。だけども、これは貴兄の問題ではなく私自身の心の問題なのです。


桜散る 生駒の里の 契り酒


「さらば友よ」
(作詞:阿久悠 作曲:猪俣公章 歌:森進一)

ベルの音ききながら しみじみ思う
ふたりともそれなりに 悩んだだろう
しあわせを祈るよと いいたいけれど
なぜかしら素直には いえなかったよ
さらば友よ もうふり向くじゃない
俺の俺のこの涙
知られたくない
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信頼

「友って付き合った時間の長さではない」全く同感です。
むしろ年齢を重ねてからの出会いの方が深みがあり、相手をよく見れるように思います。

短い時間であっても、何かのご縁。
自分にとって、必要な方だったのでしょう。

「人生、出会うべき人には必ず出会う。
 しかも、一瞬遅からず、早からず。」 ・・・感謝!

No title

geoさん
詠われた詩歌 胸に迫りました。
合掌。

Re: 信頼

まこさん、
こんにちは。

> むしろ年齢を重ねてからの出会いの方が深みがあり、相手をよく見れるように思います。

同感です。
年齢を重ねるにつれて、
いい歳のとりかた、いい友との出会いを
継続していきたいものです。
森進一の「さらば友よ」を
思い切り泣きながら歌いました。

Re: No title

チカちゃん
こんにちは。
広島の酒を持っていって
墓の前で一緒に飲んで
語りました。

No title

一度会っただけで
こころの兄となる
となると
前世からの縁が
深かったのでしょう

Re: No title

rippleさん、
菜種雨です。

> 前世からの縁が
> 深かったのでしょう

前世も後世もないと思いますが、
一目で気心が知れることはあります。
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団塊の世代を突っ走った田舎侍の遠吠えです。聞いてやってください。実話から世評までもろもろですが、一貫して、辛口です。

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