林住期に生きる







 2000年も前にインド人が考えた、理想的な人生を生きるための教本がある。そこには、人生には四つ位の階梯があって、三番目の階梯を越した時期は家庭を作って社会人としてある程度仕事をして子育ても終了した頃とし、この時期を「林住期(りんじゅうき)」と呼んでいる。文字通り、林に住む時期という意味である。この時期、家庭には片足くらいしか残さないで、あとは好き勝手に生きなさいとの教えである。

 2000年も前と今では寿命が全く違うので、三番目の階梯が現代の何歳くらいに相当するのかわからないが、現代の還暦を過ぎた頃はとっくに三番目の階梯を越していると思われる。すると、古代インド人の教えによると、私は今がまさに人生の林住期ということになる。

 林住期をとくに意識しなくとも、私の場合は、もう既に好き勝手に生きている。還暦を過ぎて、家庭とも社会とも、もういいかげんに縁を切りたいと思う気持ちが宿る。残りの人生、自分のためだけに生きたいとの思いがある。やり残しのない人生を過ごしたいとも思う。しかしその反面、家督として家族の縁を最後まで繋ぎ通さねばならないという自責の念がある。また、社会との縁を失えば、それはそれで寂しいとも思う。

 時間には限りがあり、年々、体力も気力も、衰えることはあっても隆盛することはない。この限られた環境の中で、上述した相反するいろいろな思いを人生に反映するためには、どうしたら良いのか。要はバランスだと思う。家庭および社会における一定の責務を負って関係を維持しながら、自分に合った充実した生き方を探ることが肝要だと思うのである。ま、あまり気負わずに、さりとて度を越して羽目を外さず、好き勝手に生きたらどうだろうか。そう、今の生き方でよいのだと思う。

 先ほどの古代インドの人生教本に戻ると、林住期に入った人間の多くはひとかた自由奔放に生きた後、また家庭や共同社会に帰帆する。ところが100人にひとりか1000人にひとりは家族や共同体との縁を完全に断って第四の聖者の道、「遊行期(ゆぎょうき)」に入っていくという。これがまさに仏陀の道であるのだと。

 世間を見渡すと、一切を断絶して何かに没頭している方がいる。東京都知事選に出馬するも落選した細川さん、瀬戸内寂聴さんなどはまさに遊行期に入った方だと思う。さて、私の場合はどうだろうかと思案する。とてもじゃないが、仏陀の道に行くほどの資格も品位も備えていない。ならば、同じ遊行期でも文字通り「遊び人」になるしかあるまい。





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No title

こんばんは!

夕餉が終わり、食後酒のバーボンのハイボールを飲みながら、炬燵でパソコンです。
幸か不幸か、一人暮らしなので、好き勝手に生きています。
林住期なんでしょうね。
100%、年金生活ですから、経済的な余裕はありません。
でも、悠遊自適に暮らしています。
「遊び人」も憧れますが、金がかかるでしょうね。

No title

最近のジオさん~人生論が増えてきたような・・・?
私は正直、今まで仕事と子育てに生きてきました。
自分の事は優先してなかったように思います。
そう書くと昔の良妻賢母のように聞こえますが、そうでもない
単なるチャレンジャーじゃなかったのかもしれません?

でも子育てを終え仕事も手離した今、経験した事がない世界がいっぱいだったこと気づきました。
パソコンを始め、広い世界を知ったのかもしれません?

ジオさん~私も家庭や社会と縁を切りたいと思う時がありますよ。
時には、わずらわしいと思う事がありますね。
でもすべて私の運命だったのだと思い、それなら許せる範囲で人生楽しもうと考えています。まぁ~気分転換ですね。

家族や夫婦、しがらみがあるのであえて変化を求めませんが、残りの人生後悔のないように、日々楽しみを見つけて過ごしたいです。
ジオさんも、ほどほどに楽しまれたらよいのじゃないでしょうか?



Re: No title

吾喰楽さん、
おはようございます。
昨日から冬です。

> 夕餉が終わり、食後酒のバーボンのハイボールを飲みながら、

最近、まっさんの影響で
ウイスキーが流行りのようです。

> 幸か不幸か、一人暮らしなので、好き勝手に生きています。
> でも、悠遊自適に暮らしています。

まさに吾喰楽さんは王道の林住期です。

> 「遊び人」も憧れますが、金がかかるでしょうね。

ほんとうの遊び人はお金をあまりかけないのです。

Re: No title

まこさん、
おはようございます。
急に寒くなりましたね。
風邪は治りましたか?

> 最近のジオさん~人生論が増えてきたような・・・?

はぁ、まさに林住期なのです。

> 私は正直、今まで仕事と子育てに生きてきました。
> 自分の事は優先してなかったように思います。

これからは、自分のために楽しんでくださいね。
もうすでに楽しんでいるようにもみえますが。

>私も家庭や社会と縁を切りたいと思う時がありますよ。
> 時には、わずらわしいと思う事がありますね。

正直でよろしい。

> ジオさんも、ほどほどに楽しまれたらよいのじゃないでしょうか?

「ほどほどに」ですね。よいコメントです。真摯に受け止めます。

No title

友人、知人の訃報が、ちらほら舞い込む年齢に
なりました。私は林住期を過ぎ、次の期に突入
していると思われますが、昔からマイペースで
結構好きなように生きてきたので、死ぬまでこの
調子でいくのかな・・・と思います。
臨終の間際には、どんな事を考えながら
死んでいくのでしょう。

Re: No title

トパーズさん、
こんにちは。
NYはえらい寒波のようですね。
お変わりありませんか。

>私は林住期を過ぎ、次の期に突入
> していると思われますが

ほう、もう悟りの境地ですか。

> 臨終の間際には、どんな事を考えながら
> 死んでいくのでしょう。

楽しい人生だったとか、
悔いのない人生だったとか、
そういう風に思える最期を願います。

No title

geoさん
こんばんは。
往林期と聞いて真っ先に思い出したのが
五木寛之著「往林期」でした。
たしか55歳くらいで読みましたが
世の為人の為に働くのは50歳まで
その50歳までに往林期の資金も溜めて置けって
書いてあったように覚えています。
しかし内容よりも
著者の遙か彼方を見つめる後ろ姿の写真の方が印象的で
五木さん カッコイイな~と思いました。
geoさんもどうぞカッコよく自由に往林期を生きて下さい。

No title

geoさん
すみません「林往期」でしたww

Re: No title

チカちゃん、
こんにちは。
寒くなりました。
今時の腹巻が似合う
スレンダー体型のチカちゃんのこと、
風邪を引いてませんか?

> 五木寛之著「林住期」でした。
> たしか55歳くらいで読みましたが
> 世の為人の為に働くのは50歳まで
> その50歳までに林住期の資金も溜めて置けって
> 書いてあったように覚えています。

ふ~む。初めて知りましたが、
同じような考えです。
それにしても、
五木さんは格好いいです。

> geoさんもどうぞカッコよく自由に林住期を生きて下さい。

はい、ありがとう。
もとより自由に生きていますが、
格好よくはいきません。
不器用な人間ですから。
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団塊の世代を突っ走った田舎侍の遠吠えです。聞いてやってください。実話から世評までもろもろですが、一貫して、辛口です。

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