日本人としての矜持(その2)




 今、隣国社会はどうなっているのか、そういう風潮の記事がセンセーショナルなタイトルで週刊誌に踊る。貧富格差や安全システムの不徹底、官僚と業界の癒着など、隣国社会が抱える闇と影を露骨に糾弾している。隣国の国民自身も、「今こそ日本に学べ」とか「日本の安全システムを学ぶべきだ」などと発信しているようだ。

 果たして、日本社会は隣国に崇められるほどに、自国で誇れるほどに立派であろうか。確かに東日本大震災の際の国民の冷静な秩序ある態度は世界から賞賛された。しかし、原発事故対応における政府や電力会社の失策や失態を飽きれるほどである。確かに大型旅客船の積荷規制など日本の交通機関の安全管理に関しては秀でたところがあるかも知れぬ。しかし、2005年の福知山線脱線事故や2012年の笹子トンネル天井盤落下事故などの大事故が記憶に新しい。隣国を批判したり自国と比較するのではなく、ここは他山の石とし、改めて日本社会のシステムを点検すべきである。

 隣国は今、国民全体が涙の雨にさらされ、その矛先は大手企業や官僚、国家に向けられている。しかしこの事件の直前までどうであったか、思い出すがいい。戦時中の不幸な事件に関して執拗に一方的な批判を日本に浴びせた。領土の問題でも高圧的に主張してきた。そうした仲違いを緩和するため米国大統領が仲介して設定された首脳会談において、隣国大統領が見せたあの無味冷徹な態度を日本人は決して忘れることはできない。

 隣国に限ったことではない。領土や戦時中の日本軍の行動に関する批判のひとつひとつは、敗戦国は黙っておれとのメッセージである。戦勝国のルールが正義であり、敗戦国の主張は世界のルールを乱す不正義なのである。耐えがたきを耐え、忍びがたきを忍ぶ、それが敗戦国・日本の道なのかも知れない。残念で悲しいかな、世界の無言のルールというのは所詮、そういうものである。

 そこで試されるのが日本国民としての矜持である。主張すべきはするが、あくまで冷静に節度をもって主張する。先進国として世界の新しい秩序作りに貢献する。むやみに相手を刺激したり批判したりしない。日本人の日本人たる資質と品性でもって事にあたる。今、日本人の人間力が試されているのだと思う。






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No title

geoさん
こんばんは~
私も原発事故もあの有様で他人の事よく言うよと思っていました。
他山の石? そう心するしかないですね。

>むやみに相手を刺激したり批判したりしない。日本人の日本人たる資質と品性でもって事にあたる。今、日本人の人間力が試されているのだと思う。

お国同士も
職場の狭い人間関係とあまり変わらないのが不思議です。
まず足元からだよと思いますが
なかなか実行できずにこの年まで来てしまいました。
せめてお言葉 忘れずにと自戒して置くことに致します。

Re: No title

チカちゃん、
おはよう!

> お国同士も
> 職場の狭い人間関係とあまり変わらないのが不思議です。
> まず足元からだよと思いますが

お国同士も大変だけど職場は身近だしもっと大変ですね。

> なかなか実行できずにこの年まで来てしまいました。

この歳まで?いえいえ、その歳だったら
まだやり直せますよ。
私ゃ、無理ですが。

No title

日本の、冷静に節度をもって主張する外交が
尖閣や竹島問題を助長させたのではと思います。
国際社会では、今の日本の外交は及び腰で
評価されていないと思います。

Re: No title

トパーズさん
引き続いてありがと。

私は日本が弱腰だろうが強腰だろうが、
究極、隣国は問題をエスカレートさせた
と、そう思います。
間違ってないのに頭を下げれば
増長するし、
強硬になれば、
もっと強硬になるでしょう。
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