今、学会は



 ひと昔前まで、科学技術分野の学会は盛況であった。競って論文を発表し、発表会では喧々諤々の討論が行われて、面白くもあった。大学や企業が互いに競うことで、科学技術が研鑽された。それが今ではすっかり意気消沈している。小泉政権からの科学分野の大幅な予算削減によって、学会自体が力を失っている。大学の民営化や企業の景気低迷によって大学や企業の研究開発予算が削減され、科学者や技術者の学問向上意欲を削ぐ結果を招いた。

 無論、論文は数多ければ良い訳ではない。ノーベル賞ものの論文がひとつあればいいのであるが、その過程には血が出るような努力と苦悩があって、新たな知見や発見を少しずつ生み出し、必然的にそれが論文としてまとめられることになる。金がなくても予算がつかなくても、したたかな努力だけはタダである。問題は論文の中身なのである。

 その肝心の論文の中身であるが、最近の論文発表の内容にはいささかうんざりする。PowerPointを使ったプレゼンはいいとしても、形骸化して美しすぎる。CGを駆使してビジュアルでダイナミックなのだけど、何か物足りない。すべてが杓子定規である。足りないものは何か。現場の生の声である。失敗談を隠し、成功例だけを集約する。つまり、汗が感じられないのだ。

 こういうことを繰り返しては、技術大国日本は捨て去られよう。今こそ、現場の汗と苦労の結晶を結実する必要がある。ひとつの新たな知見や発見は何万もの失敗の上にあることを忘れないでいよう。臨床(現場)が大切だということを後輩に継承していきたい。




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つまり、昨今の論文は、卓上の理論に過ぎないものが多いと
いうことでしょうか・・・・
技術大国日本は、いつまで持ちこたえられるか、
これからの大きな課題となりますね。

Re: タイトルなし

続いてありがとう。

> つまり、昨今の論文は、卓上の理論に過ぎないものが多いと
> いうことでしょうか・・・・

そういうことです。
美しいが中身がないのです。
泥臭さがないのです。
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団塊の世代を突っ走った田舎侍の遠吠えです。聞いてやってください。実話から世評までもろもろですが、一貫して、辛口です。

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