除染の理想と現実



 新聞のトップに「手抜き除染相次ぐ」という記事があった。除染作業において川岸の落ち葉を長靴で川に蹴りだす、長靴を川で洗い流すといった行為が手抜き除染であると指摘し、こうした手抜き除染行為が常態化していると報告している。この記事を見て大いに違和感を持った。

 記事には手抜き除染の様子を証拠写真として掲載し、ヘルメットにピンクのラインがあるから現場責任者だとか説明している。まるで隠密に犯人捜しをした陰湿なチクリ記事である。しかし、果たしてこうした行為がほんとうに手抜きになるのか。

 調べてみると、これらの行為は除染作業の基本的なルールに従っていないから手抜きになるのだということがわかった。そのルールとは下記の内容である。

① 枝や葉、土、泥などは袋詰めして仮置き場に運ぶ。
② 住宅が隣接する場合、洗浄水が飛び散らないようにシートで覆う。
③ 屋根や壁は手で拭き取るかブラシでこする。
④ 洗浄に使った水は回収する。

 一見、当たり前のルールのように見えるが、実際にこのルールを完璧に守ることなど不可能である。また、なぜそこまでやらないといけないのか非常に疑問である。

 まず、①のルールに従えば、汚染地域全域の表層をすべて除去して丸裸にしなければならない。おまけに除去した表層土の全量は途方もなく膨大であり、とても仮置きする場所などない。費用も想像できないほど膨大となる。

 次に②~④のルール。雨脚の強い降雨は洗浄と同じ効果があるが、それでは、雨が降るたびに雨水が飛び散らないようにシートで覆うのか。また、流出した雨水をすべて回収するというのか。いずれにしても、基本的ルールとするこの方法は現実不可能である。さらに実行したとしても永遠に完了しないことは明白である。

 総額6500億円もの除染という国家プロジェクトをこのような無策な行為に使っていいのか。健康に害がある線量基準を明確にし、洗浄による除染効果を十分に調べた上で、除染のシステム、地域と場所の優先順位、除染目標基準、具体的方法、工程などを再構築する必要があろう。

 除染の理想ばかりを求めても何も解決しない。現実を見据えた対応が今、望まれる。汚染による被害住民が今一番望むのは、いつまでに帰れるのか、帰れないとしたらどうすればいいのかという目標である。高齢者も多く、あまり時間もない。こうした意味で、これは私の持論であるが、高汚染地域は廃棄地域として汚染物質の最終処分場として利用すべきだと思う。いずれにしても、現状では現実を見据えた除染の本気さが見えてこないのである。





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No title

geochsさん

私の写真に拍手ありがとうございます。

>「手抜き除染相次ぐ」
なかなか思うようように『除染』は出来ないようですね?!

*お正月はご家族で賑やかに過ごされたのでは
 今年も宜しくお願いしま。~♪

Re: No title

みのりさん、
こんばんは。

> 私の写真に拍手ありがとうございます。

いつも素敵な写真撮ってますね。

> *お正月はご家族で賑やかに過ごされたのでは

いえいえ、さみしいものです。
みのりさんとこは賑やかだったんでしょうね。

>  今年も宜しくお願いしま。~♪

こちらこそよろしく!

geoさん
こんばんは
今日のTwitterに
環境省 監視体制強化 監視員増員の意向
と出ていました。
またそっちかぁ…とガックリ来ました。

>高汚染地域は 廃棄地域として汚染物質の最終処分場 として

遠回りしてきっとそうなると思います。
被災者の人達が呆れ果てないうち
決断して欲しいです。

Re: タイトルなし

チカさん、
おはようございます。

> 今日のTwitterに
> 環境省 監視体制強化 監視員増員の意向
> と出ていました。
> またそっちかぁ…とガックリ来ました。

ったく!同じことの繰り返し。
わかっちゃいないなぁ。

> 遠回りしてきっとそうなると思います。

それしかないと確信してます。
なぜそれがわかんないのか。
わかっていても決断できないのか。
それこそが政治だと思うのですが。
明け方からボヤキです。

No title

そもそも、除洗の方法が原始的なように
思えて成りません。
あんな遣り方で、効果はあるのでしょうか?
6500億の予算があるのなら、もっと有効な
手段があると思えるのですが・・・・・

Re: No title

トパーズさん、
遅くなってごめんなさい。
時差のせいにしたいところですが、
それもままならず。

> そもそも、除洗の方法が原始的なように
> 思えて成りません。

確かに、何やってるでしょうね、
民間にアイデアや技術があっても
公表すると大変なことになるので、
二の足踏んでるようです。
結果、役所仕事になってるようです。
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団塊の世代を突っ走った田舎侍の遠吠えです。聞いてやってください。実話から世評までもろもろですが、一貫して、辛口です。

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