宮沢賢治と地質学



 今の総理大臣や財務大臣を知らなくても、宮沢賢治(以下、賢治を呼ぶ)は誰しも知っている。「風の又三郎」や「銀河鉄道の夜」などの有名作品は、永遠のベストセラーとして後世にも名を残すだろう。私もその賢治のファンのひとりであるが、思わぬところで私との共通点を見出した。それはともに「地質学」を愛するという点である。

 大の賢治ファンであっても、あまたの賢治作品を見た人であっても、賢治と地質学の関係を知る人はあまり多くなかろう。

 賢治は盛岡中学校時代には「石っ子賢さん」と呼ばれるほど、石や鉱物や地質に興味を持っていた。「鬼越(おにこり)の 山の麓(ふもと)の谷川に 瑪瑙(めのう)のかけら ひろひ来たるぬ」は賢治が13歳のときに詠んだ和歌である。信じられないほど岩石や鉱物に興味を持った少年時代の様子が伺える。

 その賢治は盛岡高等農林学校(現岩手大学農学部)の「地質および土壌教室」に進学し、本格的に地質学を勉強した。そしてさまざまな岩石や鉱物を取り込んだ和歌や詩や文章を残している。それらを見ると、相当高度な地質学の専門知識をもっていたことが伺える。

 『阿耨達池(あのくだっち)幻想曲』にはこんな文章がある。「砂がきしきし鳴ってゐる/わたくしはその一つまみをとって/そらの微光にしらべてみよう/すきとほる複六方錐/人の世界の石英安山岩(デイサイト)/流紋岩(リパライト)から来たやうである」

 文章に岩石の名前が散りばめられているばかりか、「複六方錐」なる専門的用語も用いられている。賢治は岩石名や地質の専門用語を用いることによって、非日常性を表現しようとしているのだろう。好きな地質を、どこかメルヘンチックな世界への誘いツールとして用いる賢治のしたたかさも伺える。

 賢治に負けず劣らず地質学を愛する私ではあるが、賢治の研ぎ澄まされた感性と究極の優しさには足元にも及ばないのである。寒い夜は賢治の本がお似合いである。年末年始に時間がとれたらまた読んでみたい。








岩石鉱物
(いつも携帯している岩石鉱物のバイブル本)
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No title

宮沢賢治と地質学

地質学を 学んでんでいたんですね~~♪
私も何冊か『宮沢賢治の本」を読んでいますが

魅力的な内容ですよね~♪

No title

吾喰楽も、頻繁に替わる大臣を知らなくても、宮沢賢治は知っています。
でも、飽くまでも個人の好みの問題ですが、余り好きではありません

嫌いと云うよりは、良く解らないのです。

「宮沢賢治と地質学」、知りませんでした。
ブログを拝読していて、昔の上司に、鉱山学部の出身者が居たことを思い出しました。
今でもあるのか分りませんが、当時から珍しい学部でした。

Re: No title

みのりさん、
こんばんは。
いつもありがとうございます。

> 地質学を 学んでんでいたんですね~~♪

はい。

> 魅力的な内容ですよね~♪

はい。でも私はひねくれ者で、世間でいうほど
評価してませんが。

Re: No title

吾喰楽さん、
こんばんは。
いつも夕食メニューをタダ読みしてます。

> でも、飽くまでも個人の好みの問題ですが、余り好きではありません

ああ、それで結構です。
実は私も作風、好きではないのです。

> 嫌いと云うよりは、良く解らないのです。

あっは。そのとおり。
少し精神障害的なところがあると思います。

> ブログを拝読していて、昔の上司に、鉱山学部の出身者が居たことを思い出しました。

その上司、間違いなく酒好きでしたでしょ。

No title

享年37歳
生涯独身
ひとを愛し
石を愛した
鬼才賢治

なんと濃厚な人生を生きたことでしょう。
わたしはいまだに「銀河鉄道の夜」の
真意がつかめません。(涙)

Re: No title

rippleさん、
おはようございます。
相模も寒くなったことでしょうね。

> 享年37歳
> 生涯独身
> ひとを愛し
> 石を愛した
> 鬼才賢治

それに引きかえ私は、
タラタラと生きながらえ、
腐れ縁を続け・・・・

> わたしはいまだに「銀河鉄道の夜」の
> 真意がつかめません。

とかく偉人は意味不明な文章を書く。
私にも真意がわかりかねます。

No title

geoさん
お疲れ様です。
この本は全部英語じゃ~ありませんか。
何が何だかわからないのですが
中はどんな風?と思って
つづりを検索するとこれまた英語ばかりでお手上げなんです。
でも綺麗な鉱石の写真がサクサクと出て来て
まるで色とりどりのチョコレートに見えましたww
英語の専門書を携帯しているなんて
geoさんやっぱエリートさんですね~

Re: No title

チカさん、
お久しぶりです。

> 英語の専門書を携帯しているなんて
> geoさんやっぱエリートさんですね~

いえいえ、英語はさっぱりなんす。
けど、専門用語はすべて学生時代から英語なんで、
意味が分かります。
そんな程度ですから。

No title

宮沢賢治とジオさん・・・
あまりピンと来ませんが、地質と思索する処に
共通点があるのですね。

宮沢賢治は熱心な法華経信者で
広く流布したことで有名ですね。
彼の著書は人間の根源的なことを優しく説いています。

Re: No title

しあわせさがしさん、
おばんです。
すっかり寒くなりましたね。
風邪など引いてないでしょうか?

> 彼の著書は人間の根源的なことを優しく説いています。

そうですね。私にはわかり難い部分が多いです。
易しく説いてもらいたいです。

石の魅力

賢治と地質学の関係・・・初耳でした。
石の色、形、感触など、一つとして同じ物はなく
それが、不思議だしロマンを感じました。
私が小学生の頃、石を集めていた時期があり、
毎日一つづつ取り出しては、触ったり、撫でたり、
陽の光に透かしてみたりして遊んでいましたっけ。
あの石は、今いずこ・・・・

Re: 石の魅力

トパーズさん、
こんにちは。

> 石の色、形、感触など、一つとして同じ物はなく
> それが、不思議だしロマンを感じました。

そう、そこからロマンが始まります。

> 私が小学生の頃、石を集めていた時期があり、
> 毎日一つづつ取り出しては、触ったり、撫でたり、
> 陽の光に透かしてみたりして遊んでいましたっけ。
> あの石は、今いずこ・・・・

その幼い頃の思い出がそのまま賢治の思い出だと
思います。
我々はこの宇宙の地球という物体に生まれてきたのです。
だからこの地球は我々の母なる大地です。
その地球を知る教えの一端に寄与していただいたこと、
本当に感謝しています。
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