Gゼロの世界
アメリカ大統領選の結果が今日にも出る。しかし、オバマが勝利しようがロムニーが逆転勝利しようが、アメリカの経済情勢に大きな変化はない。もはやアメリカには、経済力に裏づけされた、かっての世界におけるリーダーシップはない。
国力の指標なるものは、経済力と軍事力と言っても過言ではない。軍事力に劣る日本は経済力でもって世界に台頭してきた。アメリカが牽引するG7やG8の一員として世界に羽ばたき、経済発展をとげた。しかし今や、頼りにしてきた牽引役のアメリカは存在しない。さりとて、西を向いてもユーロが危うい。
そうした中にあって、好むと好まざるにかかわらず、中国が目玉となるのは間違いない。今や中国の経済力は日本を抜いて世界2位であり、いずれアメリカを抜いてトップになりかねない勢いである。
しかし、巨大なエンジンをかかえて爆走してきた中国であるが、ここにきて曲がり角にさしかかっている。これまでハンドルを切ったこともなく、ブレーキを踏んだこともない中国である。共産圏における自由経済という矛盾を抱え、これに経済の停滞が加わると、危ういことこの上ない。
すなわち、今世界はリーダー不在のGゼロの世界に突き進んでいる。Gゼロの世界とは、どの国にもチャンスがある一方、リーダーによる管制がなされない無秩序の世界でもある。したがって、戦争という2文字がどうしても現実になることを想像させるのである。今世界のどこで戦争が勃発してもおかしくない状勢にあると考える。
では、このGゼロの世界にあって、日本の歩みゆく道筋はどうあるべきなのか。中国が領土問題や歴史問題についてやがて矛を収めるであろうとう甘い認識は捨てるがいい。いざというときはアメリカが守ってくれるという風な楽観論も禁物である。日本が歩むべき道は、技術力に立脚した経済力を取り戻すこと以外にないのではないのか。先進技術、医療、新しいエネルギーの開発、ライフラインの企画、新時代の文化芸術の創造など、テーマは限りがない。
だからして、解散総選挙だの国会審議などと内輪もめしている場合じゃないだろう。そうこうしている間でも、科学技術に携わる者は日夜懸命に努力していることをお忘れなきように。せめて、口出さず金を出せと願うばかりである。
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