再び、活断層について


 関西電力大飯原発の敷地を南北に走る断層について、原子力規制委員会が現地調査をした。その結果、委員によって活断層の判断が大きく異なり、かなりもめているという。この議論はこれまでの活断層論議の延長線であり、こうした議論に、私はほとほと辟易している。偉い委員の先生方を相手に僭越であるが、「違うんだよな~」というのが私の率直な感想である。

 何が違うのか。そもそも活断層の従来の定義は「12~15万年以降に動いた断層」である。したがって、12~15万年以降の堆積物(未固結堆積物)が断層によって動いた証拠を見出すこと、これが活断層の認定となる。下の例のように、断層を境に堆積物がスパッと切れた露頭であれば誰しも活断層であることを疑わない。しかしこのような露頭は珍しく、ほとんどが曖昧なのである。




根尾谷断層

活断層として著名な岐阜県の根尾谷断層の露頭スケッチ(東京大学出版会:「新編日本の活断層」より引用)



 それでは、スケッチではないが下のような断面図でもって大阪・上町断層が果たして活断層と言えるだろうか。上町断層の上部で段差があって堆積物の分布も段違いになっているが、断層によって堆積物が変位したとはとても見えない。



上町断層

(東京大学出版会:「新編日本の活断層」より引用)。


 堆積物が断層によって変位したように見える曖昧な露頭には、断層以外の成因についていろいろな可能性がある。もっとも自然な考え方は、断層崖に沿って侵食された段差地形に未固結層が堆積した場合である。断層面に沿って地すべりを起こした場合も想定される。したがって、こうした曖昧な露頭に判定の結論を見出すこと自体、所詮、ナンセンスである。

 それどころか、関西電力は肝心な堆積物の露頭部分に盛土して見えないようにしているのである。原子力規制委員会の委員は、公開された限定的な露頭を見せられて右往左往しているのである。委員の選定から調査の方法までが茶番である。

 それはともかく、私の論点は活断層か否かという判定はさほど重要ではないということである。今まで断層も何もないところに地震が発生して新たに断層が発生して変位すれば、それこそ活断層なのである(「地震断層」と呼ばれる)。であるから、敷地内の断層が活断層と認定されようがされまいが、地震時に敷地内に活断層が発生する可能性はあるのだ。活断層の認定が重要なのではなく、活断層が発生しても問題のない施設を作ることが重要なのである。

 どこか間違った活断層議論と原発の安全性議論に、地質屋として忸怩たる思いでいる。



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geotechさん
ニュースで大学の先生同士がマイクの奪い合いして論戦しているのを見ました。何だかな~と。さらにブルーシートで覆われて手術野みたいになったその部分だけお偉いさんが見学しているような印象で素人感覚としては胡散臭いなと感じました。geotechさんの記事を読んで少し理解することが出来ました。

Re: タイトルなし

チカさん、
おはようございます。
遅くまで起きてますね。
良い子は早く寝ないと。

> ニュースで大学の先生同士がマイクの奪い合いして論戦・・・・・

何か見苦しいね。

専門家でああも意見が違うということが、
いかに曖昧なかの、何より証拠ですね。

No title

活断層か
そうでないかより
原発そのものを
止めれば
いいのである

Re: No title

rippleさん
おはようございます。

> 原発そのものを
> 止めれば
> いいのである

そうだ、そうだ。

rippleさん、
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