日本の自殺


日本の自殺



 「日本の自殺」は、文芸春秋の今年3月号に掲載された論文のタイトルである。この論文はそもそも同じ文芸春秋1975年2月号に掲載されたものであるが、2012年1月10日付朝日新聞に紹介されたことが火付け役となり、異例の再掲となった。いわば文芸春秋と朝日新聞の思いがけぬコラボによって生まれた。

 再掲されることになった注目点は、37年も前に現在の日本を予言する警鐘を鳴らしていたことである。読んだ方もいると思うが、概要は以下のとおりである。

 『繁栄した文明の没落の原因は、外部的なものではなく、その文明の中にある政治的、経済的、社会的な内部要因にあり、その社会を構成する人間の思考力と判断力の衰弱・喪失による内部崩壊であった』という内容である。

 これは正に現代の日本の状況そのものである。その結果として、活力なき福祉国家となり、悪平等主義がまかり通り、大衆迎合主義を招いている。さらに1000兆円に達しようとしている財政赤字を生み、選挙を意識して政策決定ができない政治・経済状況を招いている。現在の日本の状況こそ、「日本の自殺」に邁進していると言っても過言ではなかろう。

 歴史は繰り返されるとはよく言ったものである。かつて栄華を誇った古代ギリシャ、ローマ帝国であるが、その衰退・没落と日本は同じ道を歩いているのである。さらに、フクシマ事件を起こした「原子力ムラ」を中核とする現在のレジーム(政治体制)は、軍国主義によって戦争へと導いた大日本帝国の戦争体制とあまりに酷似するのである。

 あれこれ考えれば考えるほどに、日本が自殺に邁進しているとしか考えられないのである。しかし、かすかな救いを見出せないことはない。震災におけるNPOやボランテイアの献身的な活動や民間企業による独自な被災者支援活動。さらには民間企業によるエネルギー転換努力、市民による脱原発と節電に向けた活動などである。

 これらは「日本の自殺」がまだ決定的ではないという、かすかな希望を示すものと考えたい。このかすかな希望を捨てず、我々は決して諦めることのない地道な努力をすることを誓おう。未来の子孫のために。



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No title

たまたま3月号、手元にあります。
人に借り芥川賞だけ読んで、ポイしてました^^;
この5月…そういう死の疑いが拭えない従兄の葬儀に参列。
やりきれない思いをしたところです。

電車通勤で今朝読みましょう。

諦めてはいけません

歴史は繰り返されるのも一面の真理かも知れません。
でも諦めてはいけません。
一方で人間の叡智を信じたいです。

Re: No title

みかんさん、
おはようございます。

早朝のコメ、ありがとうございます。

通勤電車でお読みになったでしょうか。

> この5月…そういう死の疑いが拭えない従兄の葬儀に参列。
> やりきれない思いをしたところです。

ちょっと、↑の部分は私の理解が及びません。

よかったら、も少し詳しくお聞かせください。

Re: 諦めてはいけません

爺さん、おはようございます。

> 歴史は繰り返されるのも一面の真理かも知れません。
> でも諦めてはいけません。

はい。諦めません。
ただし「勝つまでは」ではなく「取り戻すまでは」ですか。

> 一方で人間の叡智を信じたいです。

人間の叡智と煩悩は、これもまた繰り返されるのでしょうね。

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