活断層論議、どっちもどっち


 昨日、経済産業省原子力安全・保安院の意見聴取専門家メンバーが敦賀原発の現地調査を行った結果、原発の足元に活断層があると指摘した。大々的にテレビ報道されていたから、ご覧になられた方も多いと思う。

 もう少し具体的に言うと、敦賀原発2号機敷地内には「浦底断層」という活断層が存在することが前々から明らかになっていたが、2号機直下にある別の断層も「浦底断層」の活動に伴って連動する活断層であるという。

 これに伴って、保安院は他の原発の活断層を調べ直すように日本原子力発電株式会社に指示した。また、再稼動の是非で揉めている大飯原発の直下断層は大丈夫なのかと、これも再調査を指示した。これに対して、関電は活断層ではないと、きっぱり否定した。

 私の感想は「どっちもどっち」という印象である。まず、何を今更と思う。原発の活断層調査はもう何十年も前から実施してきている。今になってなぜと。活断層上の原発建設は法律上許されないため、電力会社とて活断層の調査は詳細(詳細の程度は半端じゃなく、この業務に長期間携わった技術者はおかしくなる)かつ慎重に行ってきている。国の専門家による審査も受けてきている。電力会社が今になって、と思うのも当然であろう。

 その背景には推進村の学者と反対村の学者の対立がある。電力会社は原発推進に協力的な学者を集めて国の審査に耐えうる報告書を作成する。国とて、そこそこ協力的な学者を集めて審査し、許認可する。当然のことながら、原発推進に懐疑的な反対村の学者は蚊帳の外である。敦賀原発直下の活断層の指摘に対して、「今までがいい加減な調査だから」とか「今まで幾度も提言したのに」とテレビで言い放つ学者は、蚊帳の外に置かれた今までの鬱憤を晴らしているのである。活断層議論の再燃は反対村学者の攻勢の証しでもある。

 さて、問題の本質に入る。活断層かどうかという問題である。13~15万年前以降に活動したものが活断層であるが、それを証明するには、13~15万年前以降の堆積物が断層によってズレて(移動して)いなければならない。13~15万年前以降の堆積物といえば、まだ十分に固結していない堆積物であり、活断層が通過する段丘面や沖積面で立坑を掘削して地質を観察しなければ判明できない。

 問題となっている「浦底断層」の活動に伴って連動するという敦賀原発2号機直下の活断層であるが、昨日のテレビ放映でも断層延伸部の山地露頭を観察しての判断である。そんな露頭で活断層か否かを判定できる訳がない。判定した専門家も「私の経験からすると・・・・」というばかりで、確証は示していない。まして、連動するか否かの判定など至難の業である。

 仮に段丘面や沖積面を掘削した活断層とおぼしき露頭があったとしても、専門家によって意見がかなり違うことも多い。最後は堆積物の時代同定に及ぶ。それに、保安院の意見聴取専門家メンバーにしろ、テレビによく出てくる専門家にしろ、ほとんどが地形学や地震学の専門家であり、肝心の地質学の専門家が少ない。それだけ地質学者の力がないからである。

 原発の活断層調査を今からでも再調査することに何も異論はない。調査し過ぎるということは決してない。しかしやるのであれば、村や専門家の壁を越えた公正な人選を望むのである。そうでないと科学が政治に操られることを繰り返すのみである。それに、専門家が発する判断は、「憶測」「推定」「確定」「断定」などの明確な言葉でなければならない。明確な論拠と具体的な数字がなければ科学とは言えない。「わからない」という言葉は、科学者として最も真摯で果敢な言葉であることを肝に銘じてほしいものである。



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その通り!

どっちもどっちでしょう。素人の私でもそう思います。
地震が絶対に起きない土地なんかある筈がないのですから。
海岸で人口が少なくて、少し浅いところに岩盤でもあれば、どこでもよかっただけの話でしょう。後は全てご都合の辻褄合わせ。
沖縄の基地も同じでしょうが、立地の人は唯一の地場産業が無くなるとどうするんでしょうか、困るでしょうね。

Re: その通り!

爺さん、
こんばんは。

> 地震が絶対に起きない土地なんかある筈がないのですから。

はい。そのとおりです。
ただ、空しいです。
こんな議論。

> 沖縄の基地も同じでしょうが、立地の人は唯一の地場産業が無くなるとどうするんでしょうか、困るでしょうね。

その話、ちょっと込み入ります。
私の持論もあるし、
爺さんの意見もあるでしょう。
またゆっくり話しましょう。
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