「余震」と「予震」


 「余震」とは大きな地震(本震)の後に引き続いて起きる地震のことをさすが、明確な定義はない。定義がないからこそ、「余震」の判定は慎重に行わねばならない。なぜなら、ある地震がほんとうに過去の地震の「余震」だとすれば、一般的には本震を上回ることはない。すなわち、ある意味、安心できるのである。しかし、その地震が「余震」ではなくて「予震」(またの名を「前震」という)だとすれば、将来はそれ以上の規模の地震を予兆するものであるからである。

 昨年の3.11以降、東北から関東周辺の広い範囲において無数の地震が頻発してきた。気象庁や関係機関はそのほとんどを3.11の「余震」として片付けている。確かにマグニチュード9.0という巨大地震のエネルギーが発散したのだから、その後遺症たるや甚大であろう。しかし、もう1年以上にもなる。震央位置も転々としている。果たして、東北から関東周辺にわたって最近発生している地震のすべてを「余震」として片付けてよいのだろうか。

 先日の3月14日、千葉東方沖を震源とするマグチュード6,1、震度5強の地震が起きた。気象庁や関係機関とも、またも3.11の「余震」と判定した。しかし、震央が3.11と同じ太平洋プレート上にあるという以上の根拠は何も示していない。それでは、今後ともこの広い領域の地震はすべて「余震」になるのか。確かに、関東を襲う直下型地震の「予震」という見方をすれば物議を醸す。3.11の「余震」としておく方が楽であろう。それでは、将来、3.11と同等以上の地震が起きたとき、何と言い訳するのか。

 私はこうした「余震」決め付け論議に異議を唱える。無論、巨視的には3.11によるプレートの歪の影響が少なからずあると認識した上での判断である。私がそのように判断する根拠を以下に述べる。

 まず、地震予知の前提となっている「プレートテクトニクス理論」である。今や市民権を得たこの理論であるが、理論が生まれて、たかだか半世紀である。日本には1970年頃に導入されたと記憶している。まだ半世紀にも満たない。それより以前は「大陸移動説」が主流であり、専門家はみな、それを信じて疑わなかった。それが今や「プレートテクトニクス理論」の一点張りである。しかし、誰もプレートを見たわけでもない。半世紀後にまた別の理論が出てこないとも限らない。この理論ありきで物事を考えるのは危険である。

 次に、確かな「余震」の同定を基礎として物事を考えていくことが重要であると考える。ある地震(本震)が起きた直後の数日間、震源に近いところで地震が数回、起きる。これこそが確かな余震である。本震と確かな余震の合わせて3点以上の震央データがあれば、その地震を起こした面(プレート面または断層面)の方向が3次元的に捉えることができる。

 3月14日の千葉東方沖地震を本震と考えれば、気象庁のデータによれば、その確かな余震が2回発生している。そのデータが下表である。




千葉東方沖




 エクセルのマクロ機能を使えば、3点の震央位置データ(北緯東経と深さ)から3点を構成する面が簡単に割り出せる。3月14日の千葉東方沖地震について解析した結果が下図である。



断層面



 千葉東方沖地震を発生させた面(プレート面または断層面)の走向(面の方向)はN66°Wで傾斜は南西に36°と緩い角度である。この面の方向は太平洋プレートと直交する方向であり、その傾斜する延長上に東京湾がある。そうなると、千葉東方沖地震が首都直下型地震の「予震」であるという可能性は否定できない。それでは、最近の茨城・福島沖の地震はどのような面で起きているのか。岩手・宮城沖の地震はどうか。それらの面と面の関係はどうなっているのか。

 気象庁をはじめとする地震予知の考え方は、過去の理論や固定観念に縛られすぎている。一連の地震のすべてを「余震」として処理しないで、先入観にとらわれずに、個々の地震データから考えられる可能性を探る、真摯で柔軟な研究姿勢に欠けているように思われる。



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No title

気象庁の発表では、年単位で余震がつづくとか。
地学的に見れば、一年が一瞬なのでしょう。
なんとなく年単位の余震で納得しています。(^-^)

No title

先日の地震の揺れは久々に、構えるほどの揺れでしたがゆったりとした大きな揺れで、しばらく続きましたが、被害はこの辺は全くありませんでした・・・・
しかし、いつ来るかは油断はなりませんね。
確率の問題でしょうけれど、1000年に一度の地震と言っても集中して直近で二度来る可能性は大いにありでしょうね。
今日でも、明日でも。
取り敢えずは、家の内外の片付け、頭上から物が降って来ないように、割れものが散乱しないように・・・備蓄やら・・・etc
そんなことしかできないけれど、そうでうね、考えられない事が起きるのが災害ですものね。
気象庁の予測を当てにしてのんびりしないよう、自分の身は守らないと、ですね。(偉そうに言った割には、準備が進んでいませんが・・・・・)

Re: No title

rippleさん、こんにちは。

> 気象庁の発表では、年単位で余震がつづくとか。

気象庁の会見されている方(山本さん)は素人です。

> 地学的に見れば、一年が一瞬なのでしょう。

まあ、そう言ってれば楽でしょ。

Re: No title

ミルフィーユさん、こんばんは。

> 先日の地震の揺れは久々に、構えるほどの揺れでしたがゆったりとした大きな揺れで、しばらく続きましたが、被害はこの辺は全くありませんでした・・・・

そりゃ良かったですね。
ゆったりとした横揺れでしたか。

> 確率の問題でしょうけれど、1000年に一度の地震と言っても集中して直近で二度来る可能性は大いにありでしょうね。

生きている間に来るかどうか。
ミルフィーユさん、長生きしそうだから来るかもね。

> 気象庁の予測を当てにしてのんびりしないよう、自分の身は守らないと、ですね。(偉そうに言った割には、準備が進んでいませんが・・・・・)

タンスなんかのつっかえだけでもOKですよ。
来たらどこに逃げるか、考えておいてくださいね。

こんにちは^^

しょっちゅう揺れている状態ですから、
揺れ始めたときに、大きくなりそう・・と分かるようになりました。

先日の地震は、久々にホールクロックの振り子とおもりがぶつかって
じゃんじゃんじゃんと鳴りました。
この音が目安です。鳴ったら大きいですから。

Re: こんにちは^^

おしゃれな猫さん、こんにちは。

> 先日の地震は、久々にホールクロックの振り子とおもりがぶつかって
> じゃんじゃんじゃんと鳴りました。
> この音が目安です。

そういう経験からの目安は大切ですね。
それといざというとき、どの部屋に逃げるのか
決めといてくださいね。

No title

なるほど 先日の大きな揺れは首都直下型の「予震」とも
取れるのですね・・
ただ 残念ながら私の頭では
この表から何を読み取れるのかが分りませんww
これ危ないぞって分るのですか?

14階の我が家・・崩れるかな~耐える自信はありません。
いっそ生き残らないでサッパリ行きたいですが・・


Re: No title

チカさん、こんばんは。
あら、今日は珍しくお家にいるんですね。

> この表から何を読み取れるのかが分りませんww

すみません。分かりづらくて。
今度、個人教授しますね。

> 14階の我が家・・崩れるかな~耐える自信はありません。

何年築ですかね。多分、免震構造だと思いますから
大丈夫ですよ。

> いっそ生き残らないでサッパリ行きたいですが・・

チカさんらしくてよろしい。

怖い

geotechさんの解析では、東京湾付近で予震が発生している可能性を否定できないとの事ですね。
勿論専門家ではないと思いますので、どこかに挿入されるべき関数が入っていない可能性もあるでしょう。
むしろそう信じたいのですが、専門の学者が手抜きをしたのでは困ります。

難しい

今回は僕にとって、あまりにも難しくて
わかったのは「余震」と「予震」の違いだ
ま、とにかく、地震は怖いが、必ず起きることだけは確かなようだ

Re: 怖い

爺さん、こんばんは。

> geotechさんの解析では、東京湾付近で予震が発生している可能性を否定できないとの事ですね。

はい、そうです。というか、控えめに書いてますが、その可能性が大きいと考えてます。
まだ継続的に解析を行ってます。

> 勿論専門家ではないと思いますので、どこかに挿入されるべき関数が入っていない可能性もあるでしょう。

専門家の端くれですが・・・・・
専門家にもいろいろありまして・・・・・
地震予知に難しい関数とかは使ってません。

Re: 難しい

ブルさん、こんばんは。

> 今回は僕にとって、あまりにも難しくて

少しこの発表は後悔しています。
物の考え方に照準したつもりですが。

> わかったのは「余震」と「予震」の違いだ

それだけでも十分です。

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団塊の世代を突っ走った田舎侍の遠吠えです。聞いてやってください。実話から世評までもろもろですが、一貫して、辛口です。

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