被災地の子どもたち



 あまり見ないテレビであるが、毎週見ているのに月曜日の「鶴瓶の家族に乾杯」がある。笑福亭鶴瓶とタレントが日本各地を突然尋ねて家族と語る番組である。わざとらしくないアドリブと笑福亭鶴瓶の人の良さが気に入っている。

 昨日の番組では鶴瓶が被災地の岩手県陸前高田市を訪ねていた。利発そうな小学生の女の子を相手に鶴瓶がいろんなことを聞く。それに対して、女の子は明るい笑顔で今どきの軽いノリで答えていた。しかし鶴瓶が一言、「今日、お父さんは?」と何気なく聞いてしまった瞬間、女の子は塞いで泣きじゃくってしまった。

 その女の子のお父さんは津波で流されていたのだ。鶴瓶はロケ後に、悪いことを言ってしまったと反省しきり。その場面はオンエアしない方がいいだろうと、後日、スタッフが本人と親御さんに断りを入れたが、当人から放送の許可が下りたので放送した旨を説明していた。
 
 被災地には、親を失くした子どもや兄弟を失くした子ども、友だちと離れ離れになった子どもがほとんどである。その子らは悲しみや苦しみを自分の中に封じ込め、それでも懸命に明るく振舞って生きているのだと思う。そう思うと、涙が止まらない。

 その番組では続いて岩手県大槌町の集会所を訪問していた。そこは仮設住宅に住む中学生のために自習ができるよう、ボランテイアが計らっていた。仮設住宅では狭くて勉強に集中できない中学生が沢山、集まって自習していた。鶴瓶が励ましの言葉と同時に将来何になりたいのかと聞きていた。

 男の子のひとりは消防士になりたいと言う。男の子の父親が消防士として殉職したのかどうかはわからない。別の子はヘリコプターで人を助ける仕事がしたいと。被災直後、ヘリコプターで救助する自衛隊を見て、ヘリコプターでしか救助できないんだと実感したからだと言う。また別の子は大槌の復興のために働きたいと言う。どの子も心の中では悲しみを抱えているだろうに、それでも頼もしく前を見て生きようとしている。また、涙がにじんだ。

 良い話ばかりではない。これは全く別の話であるが、ある高校の先生が授業で普段より欠席が多いのに気づいて生徒に尋ねた。生徒たちから「検査、検査」と投げやりの返答が返った。周辺市町村で甲状腺の被曝検査が始まったのである。「福島市はいつ始まるんだ」と聞くと、「3、4年後になるんでねえの。ま、その頃、おれらは卒業して福島にはいねえと思うんだけれどね」と。明らかに生徒には諦観のムードが漂っていたという。

 同じ被災地の子どもたちでも、小学生と中学生、高校生では違うし、人によっても被災の受け止め方は違う。津波で被災した子どもと原発の被害を受けた子どもでも違う。しかし共通していえるのは、どの子も本音がまだ語られていないことである。本音を言えないまま、悲しみを内に秘めて辛抱している。それでも懸命に前を見て生きようとしている。「復興」「希望」「夢」「絆」を言うならば、日本の将来を託すべきこの子らの本音を聞いてやって欲しい。そして国は少しでも子らの将来の夢のために援助して欲しい。この子らが諦めなどしたら、それこそ国は滅亡する。子どもは国の宝だから。



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No title

子供は希望へとつなぐ大切な存在だと思います
だからこそ彼らが砕けてしまわない様に周囲や国がしっかりと支えなければならないと思いますね

もうすぐ春の選抜が始まります
その子たちはあの神戸大震災の年に生まれた子達なのです
あの瞬間まだ存在していなかった子供達ではあるけれどしっかりと時の経過と共に育まれた存在である事を実感します

未来へ

今回の地震が、被災地の子どもたちの人生に大きな影響を与えました。
親・兄弟を亡くした子どもたちや、避難している子どもたち。
皆それぞれ辛い中でも、懸命に生きています。

>国は少しでも子らの将来の夢のために援助して欲しい。この子らが諦めなどしたら、それこそ国は滅亡する。子どもは国の宝だから。

ジオさんに拍手です。
子どもたちの未来に、重荷を背負わせてはいけませんね。

Re: No title

さくら子。。さん、こんばんは。

> だからこそ彼らが砕けてしまわない様に周囲や国がしっかりと支えなければならないと思いますね

そうだと私も思います。

> もうすぐ春の選抜が始まります
> その子たちはあの神戸大震災の年に生まれた子達なのです

そうだ、石巻から出場する彼らのことも
書く予定だった。

> あの瞬間まだ存在していなかった子供達ではあるけれどしっかりと時の経過と共に育まれた存在である事を実感します

そういえばそいうことになりますね。
何か、運命めいた時代の流れを感じますね。

Re: 未来へ

まこさん、こんばんは。

> 親・兄弟を亡くした子どもたちや、避難している子どもたち。
> 皆それぞれ辛い中でも、懸命に生きています。

そうなんです。
なぜ子供たちに寄り添わないんですかね。

> 子どもたちの未来に、重荷を背負わせてはいけませんね。

そうですね、国のありかたについて、今一度子供の視点での議論が必要ですね。

鶴瓶は見ました

私も鶴瓶を見て涙しました。
そのとき家内が説明したのは、被災地の親を亡くした子供たちの殆どが親のことを言わない。それ程悲しみを深く胸に押し込んで我慢しているのだそうです。
人間に与えられた天性の精神的強さなのでしょうか、余りのむごさに再び胸が熱くなりました。

Re: 鶴瓶は見ました

爺さん、今日は暖かいです。

> 私も鶴瓶を見て涙しました。

やはり見ましたか。涙で出ますよね。

> そのとき家内が説明したのは、被災地の親を亡くした子供たちの殆どが親のことを言わない。それ程悲しみを深く胸に押し込んで我慢しているのだそうです。

そこのとこですよね。
何ともいえない悲しみが伝わってくるのは。

人間には天から与えられた強さと弱さがありますね。
でも、子どもって強いですね。

No title

録画しておいたのを、きのう見ました。
問題の場面では不覚にも涙しました。

今回は、芸能人や有名人は偉いなと
想いました。有名税でもあるけれど、
大勢を励ます力を持っているから。
ワタミの社長も陸前高田の参与になり、
復興に協力している。頭が下がります。

Re: No title

rippleさん、こんにちは。

> 録画しておいたのを、きのう見ました。

見ましたか。

> 問題の場面では不覚にも涙しました。

不覚ではないです。
感情をもった人間なら誰しもあそこは泣けますよ。

> ワタミの社長も陸前高田の参与になり、
> 復興に協力している。頭が下がります。

それなりの狙いはあるでしょうが、頭が下がりますね。
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