再び、「日本人のこころ」



 日本文学研究の泰斗であるコロンビア大学教授のドナルド・キーン氏。そのドナルド・キーン氏が昨日、念願の日本国籍を取得した。彼は既に東京北区に30年も住み、名誉区民でもある氏である。その彼が、東日本大震災で逃げ出す永住外国人の群れを見て、日本のために何が出来るかを考えた末に決断した日本国籍の取得である。

 栃木の鬼怒川と徳島の鳴門から引用したというドナルド・キーン氏の日本名「鬼怒鳴門」(きーん・どなるど)からも、彼があくまで日本にこだわり、日本人よりも日本人的な学者であることがわかる。

 私は昨年の7月1日、「鬼怒鳴門と日本人のこころ」というタイトルのブログで彼のことを紹介した。そこでは、日本人よりも日本人的な彼の人柄や業績を紹介したが、その後、震災後の日本人のありように感動する彼の言葉も聞いた。節電のための真っ暗な東京に感動したとも語った。

 その彼が、最近の日本の状況について落胆の言葉を発している。東京をはじめ、街は何もなかったようにネオン看板が皓々と輝いていることに。昨日、日本国籍を取得したばかりの人の発言である。

 あれからもうすぐ1年になる。式典の準備が行われて、1年を節目に立ち上がろうとか、絆を深めようとかのキャッチフレーズが聞かれる。しかしその一方では、ほんとうの被災者には明かりも希望も見えてこない。

 愛する人を失った悲しみが1年やそこらで癒されるものではない。仮設住宅に移れば他人と会話することもなく、悲しみだけがこみ上げてくる。仮設住宅での孤独死も出ている。いつ家に帰れるかの見通しもない。離れ離れの家族が次第に断絶していく。元の土地に家を建てようとしても許可が下りない。高台に行けといわれても無一文で行かねばならぬ。

 テレビでは仮設の商店を立ち上げて頑張っている様子などを紹介する。しかし、それはほんの一握りの話であろう。私には、1年が節目になろうとはとても思えない。それどころか、惨状の現実は益々、厳しいものになっているのを感じている。

 1年は節目ではなく通過点に過ぎない。今もなお震災の惨状に怯えている多くの被災者の方に思いを寄せていきたい。震災直後の日本人の思いを風化させないでいきたい。何よりも日本人の心を忘れないで生きたい。日本国籍を取得したばかりの外国人に笑われないように。



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焦りの気持ちが・・・

geotech様   こんばんは~
 ブログを拝見して、心から賛同の気持ちです。 最近のニュース
震災の地域の様子を見るにつけ、どれだけ改善されたのか?
苦しんでいる当地の人々を見るぬ付け、焦りの気持ちが出て
来ます。私があせった所でどうしようもないのですが、冷たい雨に
当たっても帰れば暖かく出来る自分に比べ東北の地で寒さに
震えている人々が沢山おられる、もう一年もたつのに何が改善され
ているのか?毎日の事なので考えると堪らなくなりますね~

Re: 焦りの気持ちが・・・

レチチアさん、こんばんは。

>  ブログを拝見して、心から賛同の気持ちです。

ありがとうございます。
書いてて、自分の気持ちが空回りして
上手く書けてないのです。

> 震えている人々が沢山おられる、もう一年もたつのに何が改善され
> ているのか?毎日の事なので考えると堪らなくなりますね~

かといって、特段、何もしていない自分が情けないです。

同感です

全く仰る通りです。

Re: 同感です

爺さん、また冬へ後戻りですね。
東京も寒いでしょ。

いつもありがとうございます。
昨日から震災の記録ばかりで
少し気が滅入ってます。
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