父から息子へのメッセージ(その四)

 息子が選択した大学は、自宅から通える私立の専門大学であった。はからずも父親である私の専門とも大きな枠で一致したが、別に推薦した訳でも勧誘した訳でもない。

 その頃、既に事業を独立していた私であるが、事業を息子に引き継ぐ考えはさらさらなかった。身内企業の難しさや失敗例を幾多も見てきたからである。まして、就職活動に際して、知り合いの会社にお願いしたりすることはなかった。女房は頼んでみたらと言っていたが、きっぱり断った。この就職難に非情な父親よと揶揄(やゆ)された私であるが、未勝利の息子をマイナスからスタートさせたくない思いがあった。

 しばらくして、息子が通う大学の学長に、知り合いの国立大学の教授が就任することになった。知り合いの業者から学長の就任祝いをしようと誘われて、新任学長になった教授と酒席をともにした。その教授は就任してわずか数ヶ月というのに、学生をすべて把握したとやる気満々であった。

 しばし歓談した後、その新任学長が「ところで、・・・」と私に話しかけた。「私んとこの学生に、珍しいあなたと同じ名字で、ロン毛の茶髪の学生がいるんですよ」・・・と。「あ、そりゃ、私の息子ですよ」と直ぐに切り返すと、学長は「世間は狭いものですね・・・」と、気まずそうに言って話を終えた。

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