橋下旋風の行く末



 今、話題の橋下旋風の行く末は、その是非にかかわらず、また好き嫌いにかかわらず、この国の行く末にとっても大きな鍵を握ることだけは間違いない。そこで、批判を覚悟の上で、私なりに橋下旋風を分析してみた。

 橋下氏が大阪府知事時代に打ち立てた大阪都構想。そして、大阪府から大阪市に鞍替えした選挙での維新の会の大勝。その段階までは、間違いなく大多数の国民が諸手を挙げて賛同したと思われる。また、既成政党も猫撫で声で維新の会に擦り寄った。その根拠は、地方自治のあり方に同調してのことだ。

 しかし、船中八策から国政へ動き出したとたんに、国会議員の雲行きが変わってきた。さらに、首相公選制や参議院廃止など維新八策の骨子が見えてくると、さらに引いてきた。あれだけ擦り寄っていた既成政党が、「性急すぎる」「現実性がない」などと、確実に拒否反応を示すようになった。それもそのはず、自分たちの首が飛ぶような話の展開になってきたわけだから。

 保身のことしか眼中にない国会議員のことはどうでもよい。それより、国政に打って出る態度を明確にした現時点において国民の支持がどう変化するのか、これが最大の関心事である。そもそも、橋下旋風の源は国民の支持であるからであり、国民の支持なくして、到底、彼の願いは成就しない。

 橋下旋風に反対の人あるいは疑問符を投げかける人には、あるパターンがある。まず第一に、政策以前に彼の人となり自体が嫌いだという印象的嫌悪派がいる。彼の歯に衣着せぬ物言いや独断的な発言、さらに毒気を感じる物言いに嫌毛がさす人がいるであろう。これはゲルマン民族派か農耕民族派かの違いのようなものであり、それはそれで仕方ない。彼の発言は、白黒はっきりさせないと気が済まない彼の性格からきているものであり、それが彼の長所でもあり短所でもある。ただ、彼のキャッチフレーズは自身の考え以上に誇張した演出があることを見逃してはいけない。何か事を起こすときにはセンセーショナルな言葉が必要であり、彼は実は相当な演出家でもある。

 次に彼の考えの根幹部分に反対する人がいる。競争原理主義、能力主義、多数決原理、現実主義などが彼の物の考えの根幹にある。彼のそうした思想の背景には彼の生い立ちが少なからず影響を及ぼしている。そして、大阪府知事に就任直後、反対派多数の議会や市長会にとことんやりこまれたトラウマが確然としてある。ただそれにしても、「競争して勝つものが常に正義」という考え方はあくまでも勝者・強者の論理であり、その果てには弱者や少数を排除する危うさをもつことは否めない。

 さらに、維新八策に示された国のあり方の基本方針に反対する人もいる。そのどれもが唐突で性急すぎるという拒否反応も理解できる。ただ、たとえば首相公選制や憲法改正は中曽根首相時代から言われたことであり、30年経った今もちっとも進んでいない現実がある。彼の言うようにクーデターでも起こさなければ何も変わらないのは事実である。ただし、彼は今のところキャッチフレーズとして発言していることであって、ひとつひとつの方針には具体的な検討が必要である。たとえば、参議院不必要論にしても、今のような参議院なら要らないといっているだけである。私は二院制を維持し、参議院には本来の良識の府としての役割を担うべく選挙制度を改正すべきと考えている。

 最後に、橋下旋風を応援できない人の中には、都構想から国政へ打って出る論理矛盾を言う人がいるかも知れない。確かに地方自治と国政では違うが、都構想自体も国が変わらないと変えられないと、彼の最初からの読みがあったに違いない。つまり、都構想を発表した時点で彼は国政に足を踏み入れる覚悟をしていたはずである。ただ、そこまでの覚悟をしているのであれば、首相になる覚悟はあるのかと問いたい。そして、その覚悟がある場合には、大阪市長として彼を選んだ大阪市民にどう答えるのかが聞きたい。

 以上、反対あるいは疑問符の立場に立って分析してみたが、どちらにしても今の既成政党の政治では何も決められないし何も進まないこと、これには国民の大多数が異論ないはずである。であるならば、これを機に国を変えることも必要であろう。それも時間は限られていて急がねばならない。毒には毒で制す。クーデター的なことを起こさない限り、今の能天気な国会議員の目を醒ますことはできまい。ただし。彼の言動には危うさがあることは否めない。彼を諫める強力なブレーンが必要となる。ただ独裁を危惧するとしても、良識ある国民はそれを避けるバランスを選択するに違いない。



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その通り!

冷静な分析をして頂きました。
仰る通りだと思います。確かに好き嫌いはあるでしょう。

私は、彼の言っている事の殆どが的を射た事ばかりなのが悔しいので、嫌いな顔をしている方です。
出来るのか出来ないのか、そんなこと言える立場かどうか、全て関係ありません。テレビが毎日のように取り上げるのは共感する人が如何に多いかと言う事でしょう。
これを機会に、各所各地で若い人が多数立ち上がり、古株を現役から一掃させてくれれば嬉しいと思います。

Re: その通り!

爺さん、こんにちは

先ほどまで島根の山奥の現場に言ってましたが、
雪は残っているものの、すっごく暖かかったです。

> 冷静な分析をして頂きました。
> 仰る通りだと思います。確かに好き嫌いはあるでしょう。

ありがとうございます。
できるだけ客観的に見ようと努力しましたが、
それでも、アップするのを迷いました。

> これを機会に、各所各地で若い人が多数立ち上がり、古株を現役から一掃させてくれれば嬉しいと思います。

それを期待します。

No title

橋下氏を
ヒットラー呼ばわりする
輩がいて
情けないったら
ありゃしない

どんどんやりあってもらいたいところです。
あっちこっち遠慮していたら何も決まりません。

同感です

最初、橋本知事が誕生した時は、なんと大阪人はアホなのかと思ったが
(↑にジオさんが書いているように、僕は橋本氏を元々好きでなかったのである)
彼のそれからを見ていると、いや~感心することばかり
(もちろん100%賛成ではないが・・・)
で、話は飛ぶが、彼の国政には結論から言うと賛成である
つい先日までは、一抹の不安があり、なかなか賛成とは言えなかったが
今国会での岡田氏の発言で審議をストップさせる
今の国会議員の体たらくを見て、今の国会議員では何も変わらない
それならば、不安はあるが、一度、橋本氏にやってもらおうかと思った次第です

いや~ジオさんの今回のブログ
同感と言うより、ジオさんの洞察力、明快な文章
感心しましたぜ
・・・ちょと誉めすぎか・・・ハハハハ

Re: No title

rippleさん、こんばんは。

> 橋下氏を
> ヒットラー呼ばわりする
> 輩がいて
> 情けないったら
> ありゃしない

あらら、rippleさんにしては過激な。
そう言いたいところを
抑えてます。

人それぞれに考えもありましょうから。
でも言えることは、今のままなら
どうにもならないってことです。


Re: 同感です

ブルさん、こんばんは。
久しぶりです。
風邪、もう少しのようで。

> 最初、橋本知事が誕生した時は、なんと大阪人はアホなのかと思ったが

ちなみに、「橋下」のようです。

> 今の国会議員の体たらくを見て、今の国会議員では何も変わらない

同感、同感。

> いや~ジオさんの今回のブログ
> 同感と言うより、ジオさんの洞察力、明快な文章
> 感心しましたぜ

それは、少し洞察力に欠けます。

違った見方もしています

はじめまして、神戸市在住、62才男です。

橋氏下の表面については、非の打ちどころがないほど冷静な分析だと思います。
殆どすべてに賛成ですが、違った見方もしています。

私は、「世論」とは、概ね、権力者好みの情報をマスメディアが流し、
作りだしていくものである、と考えています。
”小泉旋風”の時も同様に感じておりました。
アメリカのイラク攻撃へのマスメディアの”賛成コール”もそうでした。
マスコミに誰を登場させるか、させないかというところが先ず、第1手ではないでしょうか。

マスメディアの後押しがなければ、今の大阪市長である橋下氏はなかった、といっても過言ではないと思います。

国政への進出をマスメディアがやっきになって支援していますが、彼の主張の行きつくところは、TPP賛成、アメリカ軍の居座り賛成に象徴されている。つまり、彼は、戦後日本の権力者である銀行グループを中心にした財閥と、アメリカの多国籍企業と軍のポチとして初めから育てられた、というのが私の見方です。
日本の政治、経済、軍事に大きな影響力を持っているのは誰でしょうか。
私は、財閥・富裕層とアメリカの多国籍企業がその中心にいると考えています。その影響力がマスメディアに及ばないはずはない。
名実ともに「主権在民」になって欲しい。
この運動はアメリカでも起こっていますが、この見方は偏狭過ぎるでしょうか。

「世論」を味方にして一気に突っ走りたいところでしょうが、財閥や一部富裕者層と不況下で苦しむ多くの国民との間の矛盾を彼は解決できないと思います。
解決できるとすれば強権によってである、と考えます。

官僚の石頭、公務員のぬるま湯に浸ったような体質。
そこにメスを入れようとする彼の言動には共感できるところが多々ありますが、大衆受けするようなことを言い、一方では戦前へ後戻りさせるような脅しの姿勢を見せる。ヒトラーの手法の二番煎じという味方もできると思う。マスメディアを最大限に利用して(オリンピックまでも利用して)大衆受けをはかったヒトラーを思い起こしたい。

そして、健全な世論に期待したい。

はじめてのコメントにも関わらず、失礼を申し上げました。

Re: 違った見方もしています

はじめまして。富田さん。
シニア・ナビからではないんですね。

> 私は、「世論」とは、概ね、権力者好みの情報をマスメディアが流し、
> 作りだしていくものである、と考えています。

確かに、それは私も思います。
我々はメデイアが作った人格を信じてしまっている節がありますね。

> ”小泉旋風”の時も同様に感じておりました。
> アメリカのイラク攻撃へのマスメディアの”賛成コール”もそうでした。

そうそう、確かに。

> マスコミに誰を登場させるか、させないかというところが先ず、第1手ではないでしょうか。

私はメデイア改革とともに国民のメデイア選択能力の向上を望みます。

> 国政への進出・・・・・

以下の貴重なレクチャー、ありがとうございます。
もう少し私なりに咀嚼し吟味させていただきます。


No title

大上段に構えたようなコメントを書いてしまいました。
お詫びいたします。

きよし様が冒頭でおっしゃっているように、「今、話題の橋下旋風の行く末は、その是非にかかわらず、また好き嫌いにかかわらず、この国の行く末にとっても大きな鍵を握ることだけは間違いない。」
という思いと同じ思いから、つい熱くなってしまいました。

色々な考えを持つ人がいても良い、いなければならないと思うのですが、ある一つの考えに総動員するような大きな動きには敏感でなければならないと思います。

Re: No title

富田さま 
再度の投稿、ありがとうございます。
それだけ関心を寄せていることに安堵いたします。

> 大上段に構えたようなコメントを書いてしまいました。
> お詫びいたします。

いえいえ、示唆に富むコメントを頂戴してありがたく思っています。
再度、私も考えてみたいと思います。

> 色々な考えを持つ人がいても良い、いなければならないと思うのですが、ある一つの考えに総動員するような大きな動きには敏感でなければならないと思います。

それに尽きると思います。

今後ともよろしくお願いします。
ちなみに素性は下記HPのとおりです。
参考までに。

http://www.geocities.jp/geotech0208/

No title

富田氏のコメント、全面的に賛成です。

Re: No title

> 富田氏のコメント、全面的に賛成です。

う~む。
やまねこけんさんと富田氏が共有するキーワードは、
財閥、富裕層、アメリカ軍、ポチですね。

私の考え方はどちらかというとリベラルですが、
おふたりの考え方はかなり偏りがありそうですね。
昔の学生運動の息吹を感じます。

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団塊の世代を突っ走った田舎侍の遠吠えです。聞いてやってください。実話から世評までもろもろですが、一貫して、辛口です。

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