薩長と会津


 江戸時代からの藩の名残りは、その土地の風土と人間性にも継承されている。そして、藩(国)と藩(国)との確執や因縁が150年も経った今も根深く残る。

 佐高信(Satake Makoto)は自身の著書のプロローグにこう書いている。

『菅直人は自らを長州人としている。高杉晋作が好きというのも同郷だからという要素が大きい。小泉純一郎は父親が薩摩の出身であり、やはり長州人を自負する安倍晋三を加えれば、薩長がいまだにこの国の政治を動かしているとも言える。』

 さらに、佐高こう続ける。『福島を含む東北は「白川以北一山百問(ひとやまひゃくもん)」として、その政治から切り捨てられてきたのである。「薩長軍は官軍にあらず、官賊だ」とする会津の人たちがいまも薩長に恨みを深くしているのは、彼らが戦いで死んだ者の葬儀を許さなかったからである』と。

 そしてこう結んでいる。『震災に対する復興援助の遅れや原発に対する信じ難い無為無策を見ていると、第二の東北処分ではないかとさえ思われる。東北人の私としては、てめえら、本気で助ける気があるのかと怒鳴りつけたくさえなるのである』と。

 さてさて、長州人を自負する私としては、ここまで言われると心外である。こじつけだとも言いたくもなる。東北人の僻(ひが)みだとも思う。しかし、それほどに根が深いのである。

 いうのは、実は私の知る限りにおいても、長州人は会津の人を嫌う風潮が今だにあるのである。現に、山口県と鹿児島県では会津との婚儀はできるだけ避けている。少なくとも、長州から会津に嫁を出すことはまずない。甲子園で山口県と福島県が対戦すると、両方の地方紙に「因縁の対決」という見出しがつくほどである。

 それほどに根深いものである。私自身も、これまで会ってきた会津の人とは、誰ともそりが合わなかった。そのかわり、薩摩や土佐、肥後の人とはそりが合う。先祖からの言い伝えが先入観となって、現代の人と人の関わりにも影響を及ぼしている。今、たまたま薩長と会津のことを触れたが、若い頃から全国を旅して思うことは、同じ類の国(藩)と国(藩)との確執や因縁が今だに全国各地に残っているという印象である。



スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

No title

萩ガラスの工房へ行かれたことがありますか?
萩のガラスに会津の塗りをコラボしたきれいな器が作られています。
歴史的確執を融和したい地元の思いだそうです。

笠山の入り口にガラス工房はあります。
奥まで行くと今から藪椿の原生林が花を付けるちょうどよい時期になりますよ。

Re: No title

みかんさん、おはようございます。

> 萩のガラスに会津の塗りをコラボしたきれいな器が作られています。
> 歴史的確執を融和したい地元の思いだそうです。

いい話ですね。知りませんでした。

> 笠山の入り口にガラス工房はあります。
> 奥まで行くと今から藪椿の原生林が花を付けるちょうどよい時期になりますよ。

藪椿の原生林は知ってましたが、ガラス工房は知りませんでした。
今度、寄ってみます。

恩讐の彼方へ

やはり江戸時代からの確執は続いているのかと改めて思いました。
私は信州出身です。国が小さいせいでしょうか、どこの国とも特別な確執みは無いように思います。特に郷土が誇る佐久間象山は長州の吉田寅蔵と越後の小林虎三郎を門弟にしていました。二人の間には西も東もなく、只管世界と日本をどうすべきかとの思いが共通していたと思いたいです。
同じ官軍側でも、西南の役で賊軍とされた薩摩の兵は靖国神社に祀られていないそうですし。我が日本人は残念ながら器量料簡が少し狭いようです。
21世紀ですから、同じ日本人として恩讐を超えての協力を願うばかりです。

No title

なにが正しいかは
言い切れないが
必死で国を思った心は
いまの政治家とは
比較になるまい

Re: 恩讐の彼方へ

爺さん、おはようございます。

「恩讐の彼方へ」
まさに、そのタイトルどおりですね。

> 私は信州出身です。国が小さいせいでしょうか、どこの国とも特別な確執みは無いように思います。特に郷土が誇る佐久間象山は長州の吉田寅蔵と越後の小林虎三郎を門弟にしていました。二人の間には西も東もなく、只管世界と日本をどうすべきかとの思いが共通していたと思いたいです。

佐久間象山は松蔭も慕った方でしょ。
立派な方ですね。



Re: No title

rippleさん、おはようございます。

五行歌、さぼってます。
すみません。

> 必死で国を思った心は
> いまの政治家とは
> 比較になるまい

正しい、正しくない以前に、
決死の覚悟があるかどうかですね。
どうみても今の政治屋にはいないですね。

No title

私は会津でも東北の人間でもありませんが…

私は長州人ほど信用ならないものはないと思っています。
長州は大和に非ず、とも思っています。(主様ごめんなさい…)

理由はコメント欄では書ききれませんので割愛します。
が、正しく歴史を認識されている方ならこの意見に皆賛同して下さいます。
>東北人の僻(ひが)みだとも思う。
↑この感覚が日本人として理解できかねます。

通りすがりが失礼致しました。

Re: No title

どなたかわかりませぬが、
コメントありがとうございます。

ひとつの考え方として頂戴いたします。

> 私は長州人ほど信用ならないものはないと思っています。
> 長州は大和に非ず、とも思っています。(主様ごめんなさい…)
> 理由はコメント欄では書ききれませんので割愛します。

ただ、上記の考え方について
できることなら理由をお聞かせいただければ幸いです。
コメント欄にての記入が難しければ
下記の私のアドレスまでメールください。
geotech@dear.ne.jp

同じ日本人でこれほど歴史認識が違うのですから、
日韓、日中で違うはずです。

それと、意見する場合には、
名を名乗っていただくようお願いいたします。

No title

加害者は往々にしてその罪を忘れるが、被害者は受けた事を忘れない。

長州と会津の関係には、そういう一面があると思います。
もちろん、私自身今の山口県と「長州」とは出来るだけ分けて考えるように心がけてはいますが…。

Re: No title

鶴ケ魂さま
はじめまして。
随分と前の投稿に対するコメント、
ありがとうございます。

> 加害者は往々にしてその罪を忘れるが、被害者は受けた事を忘れない。

そういうことですね。
日本に対する韓国、中国の歴史認識にも共通しますね。
歴史の負の遺産をどのように解消するかは、
残された後世の人の知恵によるところ大だと考えます。

今後ともよろしく。

プロフィール

geotech

Author:geotech
geotechのブログへようこそ!

団塊の世代を突っ走った田舎侍の遠吠えです。聞いてやってください。実話から世評までもろもろですが、一貫して、辛口です。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
フリーエリア
blogram投票ボタン
フリーエリア
シニア・ナビ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR