トンネル事故


 昨日、岡山県水島でトンネル事故が起きた。海底トンネル工事現場における突発的な出水事故である。行方不明者が5人いるという。いずれも東京や愛知から来た、元請大手K建設の下請け会社の作業員である。

 工事はシールド工法を採用していた。シールド工法といっても、全くの無人ロボット工法ではなく、どうしても作業員を伴う海底の危険な作業である。

 早速、手元にある資料を調べたところ、付近は水深約10mであり、海底には層厚10mの粘土層(Uc)が堆積し、その下は砂礫層が分布する。この海底からわずか5mの位置に、直径4.5mのトンネルを掘っていたという。

 つまり、トンネルは粘土層(Uc)の中央付近を抜いていたことになる。そうすると、単純に水圧だけ勘定しても100kN/m2という圧力が作用する。粘土層(Uc)の強度がそれを大きく上回るとは考え難い。あまりに無謀な工事であり、事前に予測できた事故である。


トンネル事故



 今回の事故はシールド工法だからという気の緩みがあったに違いない。しかし、それ以上に、事前に1本のボーリング調査も実施していないことに驚く。また、コンサルタントに工事の安全性について検討依頼しなかったのか、不思議でならない。今日のような不景気の時代であっても、安全の担保は不可欠である。安全をケチる風潮、安全を怠る工事現場があまりに多すぎる。各地で同様の予測可能な事故が起きるのではと危惧する。



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No title

geotechさんの説明はテレビのニュースより
理解できました。
専門的なことは判りませんが
案外浅いところを掘っているんですね。

Re: No title

greenさん、いつもありがとうございます。

> geotechさんの説明はテレビのニュースより
> 理解できました。

それはよかったです。

> 案外浅いところを掘っているんですね。

私も驚きました。無謀です。

手抜き工事

geotech様     こんにちは~
 公的工事に有り勝ちな粗雑なやり方に見えますね。
難しいことは分りませんが、何か事故が起きてから何時も
騒いで原因究明をしているようですが? 最初から人命を考慮した
徹底したお仕事をして欲しいものですね。

Re: 手抜き工事

レチチアさん、こんにちは。

>粗雑なやり方に見えますね。

粗雑も粗雑、タイトルどおり「手抜き」ですね。
あんまり言うと、手が後に回りそうですが。

>最初から人命を考慮した
>徹底したお仕事をして欲しいものですね。

はい、日常の仕事でいつもそのことで葛藤しています。

No title

昨今の諸悪の根源は、卑しい欲望(拝金・名誉・権勢)にある。

魂(心情・精神・思想)の価値を重んずる世にしたい。

ボーリング調査をしていない!   信じられないことですね。

いつも、解りやすい情報を有り難うございます。

Re: No title

chisokuさん、いつもありがとうございます。

> ボーリング調査をしていない!   信じられないことですね。

最近の傾向です。
建設会社のやる手です。
不謹慎ですが、このように事故が起きればいいと思うことも
あります。

> いつも、解りやすい情報を有り難うございます。

これからも誠実に情報提供に努めます。
たまには、ぶっちゃけた生活面の記事にもなりますが。

No title

Geoさんの図解説明は、素人にも良く分かり
有難いです。さすがですね。
このような工事の許可がすんなり下りた事に
驚きです。工事の明細報告は、きちんと官庁に
提出している筈でしょ。全部メクラ判かぁ~

Re: No title

トパーズさん、連荘でおおきに。

>素人にも良く分かり有難いです。

ありがとうございます。
私の財産は資料なのです。

> このような工事の許可がすんなり下りた事に
> 驚きです。

大手Kが出す書類はパスでしょう。
そのくせ零細が出す資料にはうるさいのです。

教えてください

事故発生後に海上保安庁かどこかが発表した資料に、トンネル上の海底に大きな窪みが発見されたとあります。
こんな調査が1日でできるなら、ボーリングまでは出来なかったにしても、せめてこの程度の海底調査ぐらいしておけばよかったのではと思ってしまいます。

今回の事故に関してテレビでも工具の実物を見せながら説明していますが、よく分からないのは実際の出水がどの部分からだったと想像されるのか?機械が掘り進んだ後に大きな土管を継ぎ足していくようですが、この辺の手順がイマイチよく理解できません。

この工法はわが国が世界に誇る技術との事ですが、巨大な工事の割に作業に従事していた人数がわずか6人と言うのもびっくりです。

偶々現在すぐ近くで地下鉄駅の増幅工事が行われており、毎朝夥しい人数の作業員が地下に吸い込まれていくのを見ていますので思った次第です。

ご教示よろしくお願いします。

序ながら、貴兄の解説図中3本の縦線と真ん中の線の下か書かれた梯子のようなものは何を表すのでしょうか。UCとLCとの違い、TjとTk
について解説して頂ければ幸いです。

Re: 教えてください

爺さま、おはようございます。

ご質問についてはシニアナビのメールにて
後ほど回答いたします。

No title

川崎木更津を結ぶ
アクアラインも
10kmは海底だ
大きな地震が来たら
どうなるだろう

Re: No title

rippleさん、こんばんは。

> アクアラインも
> 10kmは海底だ
> 大きな地震が来たら
> どうなるだろう

うん、確かに。
耐震設計の中身を知りたいですね。


Re: 教えてください

先日の爺さんへの回答です。
ご参考までに。

 事前に海底の調査はしていたと聞いています。その時には窪みはなかったとのことです。この窪みは地盤崩壊による陥没です。当然、ボーリング調査は実施しておくべきです。
 シールドは基本的には周辺地盤を開放しないで掘りながら順次コンクリートで周囲を巻いていく工法です。従って安全で作業員も少なくてできます。都市トンネルや下水函渠工事などはすべてこの工法です。
 しかし、掘削先端部分にどうしてもクリアランスがあり、そこに水圧や土圧が働き周囲の地盤が破壊して突発湧水を招くことにもなります。「シールド工法」で検索すれば詳しいことがわかります。
 図は私の手持ちの資料です。3本の縦線は既往のボーリング位置と番号(TjTk)です。Ucは沖積の粘土(軟弱)、Lcは洪積の粘土(半固結)です。梯子のような記号は砂礫層の中に挟まれた粘土を示します。
 また何かわからないことがあればお申しつけください。
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