原発事故の真相(7)

(7) この国のありよう

 今になって思うと、SPEEDIの存在が事故後の命運をかけたといっても過言ではない。それでは、SPEEDIの存在を知る安全委、保安院はなぜ菅や他の政治家に知らせなかったのか。

 安全委員長の班目春樹にそれを尋ねたら、こう答えたという。「原発のプラントがどうなるかを予測できる人間は私しかいなかった。その私にSPEEDIのことも全部やれっていうんですか。超スーパーマンならできるかも知れませんけど。役割分担として菅首相にアドバイスするのは保安院です」と。

 それでは保安院はどう答えたか。保安院長の寺坂信昭は言う。「保安院がSPEEDIの話をしちゃいけないことはないが、SPEEDIは文部科学省の所管です」と。

 一体、この国の原発を守る中枢は何を言っているのだ。要するに、彼らには有事という認識のかけらもない。あくまでも役人仕事に徹し、国のため、国家のために働くという公僕の意識はさらさらない。ましてや、国家のために身を粉にする覚悟はない。

 原発事故の後始末の不手際の根底には官僚組織の機能不全がある。それでは、菅以外が首相であったら上手くいったというのか。誰がやっても同じであろう。それどころか、誰が首相をしようが、菅ほどの抵抗と決断はしなかったであろうと私は確信する。

 それでは、政府や政治家以外の専門家や科学者はどうか。事故後、政府の姿勢に反論を唱えた正義ある研究者もいた。また一方では、テレビなどで涼しい顔をして批判めいた解説をする専門家もいた。しかし彼らに共通するのは、いずれも科学者として国に働きかけるまでの決死の行動を起こしていないということである。

 それでは、この日本のありようをどう考えたらよいのか。現状で同じような事故があれば、この国は同じ失敗を繰り返すであろう。政治家、官僚、科学者、専門家の責任追及をしても始まらない。この国のありようを変えるには国民自体が変わらねばなるまい。

 その突破口は「情報開示」である。「情報開示」さえ進めば、あらゆる問題解決の糸口が見えてくる。電力が足りないという者がいるかと思えば、原発なしでも足りるという者がいる。内部被曝が深刻だという者がいたかと思うと、ヒステリックだと非難する者がいる。挙句の果てに、議事録がないという。これすべて「情報開示」の仕組みのなさ故である。すべての情報を開示するよう、国民が働きかけ続けることが必要である。と同時に、国民の側にも情報の真贋を見分ける力をつけることが求められる。日本という愛すべき国を守るため、将来の子孫の生命と安全を守るために、我々国民は今こそ立ち上がらねばならない。(完)



スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

同感です

我が国の大きな問題の後には、いつも情報の非開示が後で指摘されます。
この問題を何とか克服しないと、同じ過ちが繰り返される危険があります。仰ることに全く同感です。

Re: 同感です

爺さん、こんにちは。
お元気でしょうか?
今日はすこし暖かいですが、
明日からまた寒くなりそうです。
風邪を引かないように。

> この問題を何とか克服しないと、同じ過ちが繰り返される危険があります。仰ることに全く同感です。

同感していただき恐縮です。
普通に情報公開の社会になるのはいつのことでしょ。

No title

この国のありようを変えるには国民自体が変わらねばなるまい。
その通りですね。国民のひとりひとりが、他人事と思って接して
いる現状を打開せねば、始まりませんね。

Re: No title

トパーズさん、

> この国のありようを変えるには国民自体が変わらねばなるまい。

そのとおりなんです。
国民に問題ありなんです(あまり言えないんですが)。

Re: No title


> この国のありようを変えるには国民自体が変わらねばなるまい。
> その通りですね。国民のひとりひとりが、他人事と思って接して
> いる現状を打開せねば、始まりませんね。

いや~、そのとおりなんですが、
私自身に勇気がもてなくて躊躇してます。
言ってることとやってることにギャップがあって、
今、悩んでます。

No title

立ち上がる、同感です、他人ごとですネの掛け声。 これら全てが、やはり人任せと感じてしまいます。 現役組は、仕事に精励しているのですよね。  だから、我々シニアの一人々が行動したら如何でしょうかネ?

Re: No title

chisokuさん、こんばんは。
ひょっとしたら、初めとのコメントですか?
もしだったら、今後ともよろしく。
もしそうでなかったら、ご無礼しました。

>だから、我々シニアの一人々が行動したら如何でしょうかネ?

はい、そうしましょう。
連携して行動しましょう。
プロフィール

geotech

Author:geotech
geotechのブログへようこそ!

団塊の世代を突っ走った田舎侍の遠吠えです。聞いてやってください。実話から世評までもろもろですが、一貫して、辛口です。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
フリーエリア
blogram投票ボタン
フリーエリア
シニア・ナビ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR