青年の主張


 昔、成人の日といえば「青年の主張」が定番であった。若者が自分の覚悟や決意を熱く宣言する。両親や友との心の絆を切実と語る。中には、自分の悩みや感情の機微などをありのままに触れることもあった。

 成人の日にテレビで紹介されるのは地方予選から勝ち上がった限られた若者であるが、その底辺には数多くの主張する若者がいた。国民の多くが正午過ぎのテレビ番組に見入り、涙したものだ。その「青年の主張」はいつの間にか「青春メッセージ」なるものに変化し、近頃ではほとんど影を潜めている。

 私は、別に「青年の主張」にこだわっているわけではない。名前はどうでもいい。「青春メッセージ」でも何でもいい。形式だってどうでもいいのである。問題は、若者が主張する気運が薄れてきていることを危惧するのである。酒場でも喧々諤々と人生論を語るのは団塊の世代と相場が決まっている。若者はといえば、どうでもいいことを他人に気を使いながら話している。

 自分の考え方を整理すること。その上で、自分の意見を他人に正確に伝えることは、単に個人のポテンシャルを高めるばかりではない。表現力、説得力、コミュニケーション力となって組織や社会の大きな力となる。ひいては、国力と国際力に繋がる。島国で内向的な日本人だからこそ、自己の意見の集積と伝達に意識して努力しなければならない。

 さて話を元に戻すと、いつの日から「青年の主張」が「青春メッセージ」となり、最近では影を潜めてきたのか。その背景には教育制度の問題が歴然としてある。教育勅語の時代から、どこの小学校にもあった二宮尊徳の像が消えていった。教育制度は日教組のゴタゴタの中で操られてきた。その果てには、ゆとり教育である。運動会では一等も二等もなくなり、成績表は抽象化されていった。

 そのような教育制度の中、秀でることが非難され、主張することが非難される風潮を招いている。そして、世の中は、剛から柔へ、柔から極軟へと移行する。ゆるキャラなる感覚で、すべてが友だち感覚、仲良し感覚である。次第に、事なかれ主義の中で物事がはっきりしないまま終結する。互いに自己主張がないままに、相手を理解しないままに事が進められる。平和に穏便に解決したようだが、実は何も解決していないのが今の日本の実情である。

 TPPも消費税も大切であるが、それよりも今しなければならないのは教育改革であると宣言する。人なくしては国は滅びる。「青年の主張」に象徴されるように、若者が自分の考え方をきちんと整理し、他人に自分の意見を正確に伝達できるよう、また人生と真剣勝負で向き合う、そのための教育改革を望むものである。


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No title

まったく同感ですね
運動会でお弁当ではなく給食に代わった時期がありましたがこれも父兄が運動会に来れない子供がかわいそう・・・と言う理由で父兄は運動場でお弁当、児童は教室で給食。
おまけに競争すればおっしゃる様に勝ち負けもない。
みんな同じ・・・・変な話ですよね
元教育者の方がいらっしたらごめんなさい

それぞれ違って当たり前です  
その違いをしっかりと自覚しそしてそれぞれの我慢と努力をする事によって人は成長して行くと思うのです

自分の痛みを経験する事によって人の痛みも理解でき、人にやさしくなれるのではないでしょうか?

そんな若者たちがどんどん増えて来れば日本も捨てたものではなくなるのではないでしょうか・・・・・そうなって欲しいですね。





Re: No title

さくら子さん、こんばんは。

> 運動会でお弁当ではなく給食に代わった時期がありましたがこれも父兄が運動会に来れない子供がかわいそう・・・と言う理由で父兄は運動場でお弁当、児童は教室で給食。
> おまけに競争すればおっしゃる様に勝ち負けもない。
> みんな同じ・・・・変な話ですよね

まったく同感です。
所詮、この世は勝ちと負けがあるのです。
そこをバネに生きてきたから、
今この私があるのだと思います。

No title

>教育改革であると宣言する。人なくしては国は滅びる。

まったく同感です。
いま真に必要なのは教育です。
きちんとした教育なくしてきちんとした
国はなりえません。

Re: No title

しあわせさがしさん、こんばんは。

本年もよろしく。
里帰りも楽しいでしょうが、疲れたでしょ。
年が経てば顔や人相、あれほどまでに変わるのでですね。
おっしゃるように、顔はその人の歩いてきた人生を
表してますね。

> きちんとした教育なくしてきちんとした
> 国はなりえません。

大阪の乱を契機に、教育改革が進むことを期待してます。
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