最終章:父から子への遺言状(その三)

 君らは父の母親やジュン太の最期を見届けてきたよね。大切なことは家族の絆というものがいかに大切なものかということだ。家族や隣人、友人、それぞれに出会いがあり、その出会いを大切にして、絆を深めていくことがいかに大切なものであるか。

 父は仕事にかまけて、ろくに君らと時間をもてなかったことを悔いる。その反面、事あるごとに、君らと、ちゃんと正面から向き合ってきた自負がある。派手なコスプレの広告塔姿も立派な仕事だと声援した。茶髪のロン毛で何が悪いと世間を一蹴もした。調理師になりたいと言えば、すぐになれと言った。たまには勘当という荒業もした。わかって欲しいのは、その際の言動は、決して世間体や親のエゴからではないことだ。むしろ世間体を気にせずに精一杯生きろと伝えたつもりだ。

 父が生い立ちから経験してきたことは、苦労や羞恥に値しないだろう。世界中を見渡せば、どれだけの貧困、飢餓、虐待、辱めがあろうことか。それを考えれば、この世に生を与えられ、今、ここに生存することがどんなにありがたいことか、よく考えてみるがよい。君らにはまだ時間がある。一度きりの人生を、自分のしっかりとした意志でもって、思い切り生き抜いてもらいたい。その際、大きな財産は要らない。大きな名誉もなくていい。つつましくていい。大切なことは確固たる目標と意識である。そして、地域、会社、日本を乗り越えた、地球規模の大きな視点と寛容な心で物を考えられる人間に成長することを、父は願う。



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