「アラブの春」は再来するのか



 ある日突然、姿を隠し、もう2ケ月近くも拝顔できなかった方。そう、あの北朝鮮のおばちゃんアナウンサーのことである。そのおばちゃんアナが突如、テレビ画面に出現したかと思うと、いきなり金正日総書記の死亡を伝えた。傲岸不遜(ごうがんふそん)な態度はいつもと変わりないが、天まで届く格調高い声はやや影を潜め、如何にも打ちひしがれたという擬声を発した。

 その直後、国民が一様に慟哭(どうこく)する姿が映像に流れる。あれはエキストラなのか、それとも、将軍様亡き後も忠誠を誓う姿を後継体制に見せつけるものなのか。平壌に住むごくごく特権階級のはずだが、その哀れむ姿は一様に、あたかも事前に喪に服す準備すらしたかのようである。

 この国のことは何がほんとうなのか、わからない。日本の原発と同じ位に。現地時間、17日朝の死亡というが、それもどうだかわからない。誰も見ていない。あのアナウンスも、あの慟哭の姿も、何もかも猿芝居がかって見えるからおかしい。

 仮に、あの国の人のありようが恐怖のもとの猿芝居だとすれば、呪縛を解かれたときの反動は計り知れない。地方の国民が暴徒化し、内部崩壊することはないのか。つまり、「アラブの春」の再来はあるのか。

 その問いの答えは、残念ながら今のところ「ノー」であろう。金正恩への後継が進まず内部が混乱し、内部崩壊して一番困るのはどこだ。隣の韓国でも、日本でも、アメリカでもない。参謀・中国が一番困るからだ。そのための最近の金正日総書記の行動を思い起こすと納得できる。金正日総書記という人物は恐らく非常に気が弱い人物であろう。それ故に、万が一の準備をしてきた。1年間で3度も中国を訪問していることがその現われである。

 ただ、「アラブの春」の再来の可能性がないわけではない。注目すべきは北朝鮮における携帯電話の急速な普及である。エジプトの携帯電話サービス会社がサービスを開始して以来、北朝鮮内で普及している携帯電話台数は2010年末に40万台であり、2012年中に100万台を突破すると言われている。

 もちろん、厳重な統制化では有力者にしか普及していないが、それでも100万台となると、どこまで情報管理できるのか疑問である。外部からの情報流入や内部情報の浸透がどの程度の速度で進むのか。新体制がこれをどこまで制御できるのか、はなはだ疑問である。

 「アラブの春」の再来はともかく、しばらくは目が離せない朝鮮半島であることに違いはない。拉致問題にことさら言及する場面が多いが、もっと大きく目を見開いて北朝鮮を取り巻く大局的な世界情勢の変化に注視すべきである。
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

時間の問題か

問題はインターネットの普及度合いではないでしょうか。
携帯電話の利用が、私のように持ち運び公衆電話の域にあるうちは難しいでしょう。

しかしかの国にも知識欲旺盛な若い人は沢山居るはずです。
何れはそういった人がリーダーに躍り出る日が来るとは思います。

傀儡を支えている軍か誰かは分かりませんが、一部の馬鹿が暴走する前である事を祈ります。

Re: 時間の問題か

爺さん、こんばんは。

> 問題はインターネットの普及度合いではないでしょうか。

確かに。ただ、インターネットとなると携帯電話以上に一般市民に普及するには
時間がかかりそうですね。

> 携帯電話の利用が、私のように持ち運び公衆電話の域にあるうちは難しいでしょう。

携帯でネットはされないのですね。
持ち運び公衆電話ですか。
そもそも、携帯電話の最初の目的がそうですからね。

> しかしかの国にも知識欲旺盛な若い人は沢山居るはずです。
> 何れはそういった人がリーダーに躍り出る日が来るとは思います。

時間の問題ですか。

> 傀儡を支えている軍か誰かは分かりませんが、一部の馬鹿が暴走する前である事を祈ります。

そう。暴走が一番恐いですが。
貧困の状態は極限といいますから、
その可能性はありますね。
プロフィール

geotech

Author:geotech
geotechのブログへようこそ!

団塊の世代を突っ走った田舎侍の遠吠えです。聞いてやってください。実話から世評までもろもろですが、一貫して、辛口です。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
フリーエリア
blogram投票ボタン
フリーエリア
シニア・ナビ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR