人生というオセロゲーム


 先週、朝日新聞の五十嵐浩司さんの講演会を聞きに行った。最近、彼は報道ステーションのコメンテイターも務めていて、気になっている人物のひとりである。14時から17時までという講演時間が妙味である。ここんとこ多忙な日々を送り、しばし行ってない広島の夜の巷に繰り出すに好都合という邪心がなかったかといえば、それは嘘になる。

 講演は東日本大震災後の生き方みたいな内容であったが、講演内容そのものよりも講演後の質疑応答が面白かった。朝日新聞社のカルチャースクールの主催だけあって、聴衆は朝日新聞の読者が多い。五十嵐氏は政治家や東電をはじめとする企業の劣化を強調したが、質疑はメデイアの問題に集中した。最近のメデイアの質はひどいとか、朝日新聞はいつから骨抜きになったのかとか、さらには防衛省沖縄防衛施設局長の問題発言に端を発したオフレコや記者クラブの問題などに話が及び、彼を追い詰める一幕もあった。しかし、こうした質疑に対して五十嵐氏は真摯に応えた。そして彼の応答に、彼の熱意と信念の一端を垣間見ることができた。

 メデイアの凋落が叫ばれている中、信念を持った孤高の記者または元記者がいる。五十嵐氏もそうだが、毎日新聞出身の鳥越俊太郎氏もそうである。彼らは決して順風満帆な記者生活を送ってきたわけではない。むしろ、その社会では棘(いばら)の道を歩んだ落ちこぼれ組といってもよい。なぜなら、彼らに共通しているのは、国内であれば本社ではなく新潟支局とか金沢支局とかの地方を行脚しているのである。そこで彼らは、人の目に触れることが少ない地方版の記事に地方目線で没頭してきた経験がある。そして海外といえば、テヘランとかソマリアとか、戦火と飢えの世界を目の当たりにしてきていることである。

 つまり、大所高所ではなく蟻の目線で這い蹲って、リスクと背中合わせで記事を書く現場主義に徹してきていることである。日が当らない場所、誰もがやりたがらない現場をやる。そのことが彼らの今の肥しになり、礎になっているのである。そして、そのことがオセロゲームの黒が白に逆転することになっている。だから人生というのは面白い。
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万事塞翁が馬

geotechさんこんにちわ。

余談ですが、私は信濃松代の田舎者で、薩摩に特別なご縁はありません。
所謂旅行にもあまり興味がありませんので、未だかつて鹿児島県に足を踏み入れた事すらない始末です。70過ぎてまだ他にも行った事のない県がありそうです。

本論についいては全く同感です。ジャーナリストは地を這う様な現場の取材が出来ていない人本物になる筈がありませんし、その積み重ねのある人はきっといつか陽の目を見る事でしょう。

No title

会社が
大きくなると
成績優秀な大卒が入って
おかしくなる
現場に出ないからだ

かつてダイエーの中内氏が
商売は「ご用聞き」の精神が
大切だと言っていました。

Re: 万事塞翁が馬

爺さん、こんばんは。

> 余談ですが、私は信濃松代の田舎者で、薩摩に特別なご縁はありません。

そうでしたか。松代といえば、松代地震の研究(遊びみたいなものです)もしてました。

> 所謂旅行にもあまり興味がありませんので、・・・・・・・

旅行には興味ありませんか?
爺さまみたいに博学な方がもったいない。
是非、旅してみてください。
また別の気づきに出会えるものですよ。

Re: No title

rippleさん、こんばんは。
すみません。五行歌サボってます。

> 現場に出ないからだ

そうですよ。現場は大切です。
私も御用聞きですよ。
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団塊の世代を突っ走った田舎侍の遠吠えです。聞いてやってください。実話から世評までもろもろですが、一貫して、辛口です。

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