「死」と「生」に向き合う


 震災後、多くの言葉が氾濫した。復旧・復興、原発、避難所、メルトダウン、放射線量、風評被害、一時帰宅、シーベルト・・・・・・・・・。それらの言葉の渦のなかで、我々は何か大切なものを忘れていないだろうか。それらの言葉の嵐に吹かれて、何かが取り残されていないだろうか。「不明者」と「死者」である。被害の最大事象は、「不明者」と「死者」に他ならないということを。

 死者15,769人、行方不明者4,227人(9月6日、毎日新聞発表)という歴然とした被害の現実に、我々は目を背けずに対峙してきたであろうか。取り残されたのは、大切な人を亡くした人たちではなかろうか。二人称の死に直面した人のことを忘れてはいないだろうか。我々はどこか、三人称の死として傍観してはいないだろうか。

 亡くなられた方を大切に弔うこと。二人称の死に直面した方に対する心のケアと経済的な支援。不明者のあくなき捜索。そのどれも大切なことである。しかし最も大切なことは、膨大な数の、我々にとっては三人称の死を無駄にしないことではなかろうか。

 莫大な犠牲者を出しながら、己は今、なぜ、ここに生きているのか。その意味を問い直しただろうか。「死」の意味を考えてみただろうか。己の「生」を問い直しただろうか。今後の生き方について考え直してみただろうか。今、改めて、「死」と「生」に真剣に向き合うことが必要だと、私は考えている。
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No title

こんにちは!

二日酔いの頭にはガツンと来る記事です。

たしかにあまりに衝撃的な災害だったので
「死」もそのひとコマに過ぎないような錯覚がありますね。
半年経って
家族を亡くした人達はこれから個々の哀しみと向かい合うのに
世の中の意識は離れてしまうんですね。

震災当初 職場の保健師が大槌町へ応援に出たのをキッカケに
毎週500円募金を班全員で続けています。
先生の記事を読んで 
何か忘れてしまっていないか 改めて考えさせられました。


>己は今、なぜ、ここに生きているのか。その意味を問い直しただろうか。
>今後の生き方について考え直してみただろうか。

自分も
「時」を動かす ささやかな力になりたいと思います。



Re: No title

チカさん、こんにちは。

> 二日酔いの頭にはガツンと来る記事です。

アッハ、昨夜は飲みでしたか?
チカさんでも二日酔いってあるんですね。

> 家族を亡くした人達はこれから個々の哀しみと向かい合うのに
> 世の中の意識は離れてしまうんですね。

意識だけでも風化させたくないですね。

> 震災当初 職場の保健師が大槌町へ応援に出たのをキッカケに
> 毎週500円募金を班全員で続けています。

それって、すごいことじゃないですか。
その気持ちこそが大切なのだと思います。
私も少しでも役に立てるように努力したいと思います。


No title

「三人称の死」という表現が、秀逸です・・・・・・
確かに時間の経過が、遠く離れているものにとって
思いを希薄にさせてしまっています。
行方不明の方々のご家族は、亡きがらさえも手元に
篤く抱きとってやることもできないでいるのですね・・・
忘れないこと、がせめて私たちにこれからも出来ることの
原動力の一助になるのでは。

はじめまして!

初めてお邪魔いたします。

「死」と「生」とは とても重いテーマですね。
だけど、常に私たちには身近な問題だと思います。
これは実際に体験した時に実感するものですね。

私としましたら、「もうええわ~」と叫びたい。
余りにも沢山の生と死に遭遇しましたから・・・。

Re: No title

ミルフィーユさん、こんばんは。

> 「三人称の死」という表現が、秀逸です・・・・・・

自分のこととしてなのか、他人事なんか、
表現が難しいですね。

> 忘れないこと、がせめて私たちにこれからも出来る・・・・・・

ええ、決して忘れないでいましょうね。

Re: はじめまして!

レチチアさん、はじめまして。
ブログには時々、お邪魔しています。
はじめてのコメントありがとうございます。

> これは実際に体験した時に実感するものですね。
> 余りにも沢山の生と死に遭遇しましたから・・・。

沢山の生と死に遭遇されたのですね。
だから、「もうええわ~」と叫びたい気持ち、
わかるような気がします。
この年になって、生と死について考えることが多いです。

No title

 >死者15,769人、行方不明者4,227人

この数の分だけ家族の悲しみがあり
この数のお一人お一人に今まで生きてた歴史があります。

被災者支援の報告会では
「涙を忘れてしまいました」と話されていた
被災者もいらしたと伺いました。

悲しい事があっても泣ける人は未だ幸せなのです。

Re: No title

maiさん、こんばんは。

> 悲しい事があっても泣ける人は未だ幸せなのです。

その言葉、ずきんと響きます。
思いっきり泣ける状況にするのが、
われらの役割かも知れないです。
ありがとう、貴重な意見を。

No title

死と生に向き合う
奈良の与作です。
いつも拝見するだけで失礼ばかりしていますが、今日の言葉に心動かされました。
 
 莫大な犠牲者を出しながら、己は今、なぜ、ここに生きているのか。その意味を問い直しただろうか。「死」の意味を考えてみただろうか。己の「生」を問い直しただろうか。今後の生き方について考え直してみただろうか。今、改めて、「死」と「生」に真剣に向き合うことが必要だと、私は考えている。

Re: No title

奈良の与作さん、こんにちは。

>いつも拝見するだけで失礼ばかりしていますが、今日の言葉に心動かされました。

いつもありがとうございます。
ほんと、真剣に考えるようになりました。

今日の貴兄のブログにある日野原さんの言葉には重みがありますね。

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団塊の世代を突っ走った田舎侍の遠吠えです。聞いてやってください。実話から世評までもろもろですが、一貫して、辛口です。

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