彼岸花
無宗教で無信心な私が何を思ったか、珍しいことに父と母の墓参りをした。改心した訳でも、心に悩みをもった訳でもないのに。ただただ、お彼岸の人の流れに誘われるように。墓所はどこも人で賑わう。日本人の何と律儀で信心深いことよ。それに引き換え、私は何と罰当たりな人間であることか。
「♪私のお墓の前で泣かないでください。そこに私はいません。眠ってなんかいません。」そういう父と母のお告げに甘え、それを口実にいつも無沙汰している。なんだかその風情は、私の好きな「すぎもとまさと」の「吾亦紅」の詩のようである。
墓参りのついでに、彼岸花が群生していると聞きつけ、寄り道をした。休耕田の地に所狭しと群雄割拠する彼岸花の群がそこにあった。この毒々しい赤は何を意味するのか。四方八方に蘂(しべ)を凛と伸ばす、その異様な様体は何を意味するのか。彼岸花の花言葉は「情熱」「悲しい思い出」「独立」「再開」「あきらめ」という。これほどに、前向きな言葉と後向きな言葉が混在する花言葉をもつ花も珍しい。

今年は灼熱の夏であった。烈火の猛暑の後には、台風による激しい風雨が列島を縦断した。彼岸花の開花はしつこい残暑の終わりを告げる印なのか。そういえば、ここ数日ですっかり秋の気配を感じる。この彼岸、東北ではどれほどの人が真新しい遺影に手を合わせたであろうか。その無念さと悲しみに思いを馳せ、すっきりと晴れ渡ったこの秋の一日一日を大切に送りたいものである。彼岸花の相反する花言葉のように、それぞれがそれぞれの思いを感じる今年の秋の気配である。
「♪私のお墓の前で泣かないでください。そこに私はいません。眠ってなんかいません。」そういう父と母のお告げに甘え、それを口実にいつも無沙汰している。なんだかその風情は、私の好きな「すぎもとまさと」の「吾亦紅」の詩のようである。
墓参りのついでに、彼岸花が群生していると聞きつけ、寄り道をした。休耕田の地に所狭しと群雄割拠する彼岸花の群がそこにあった。この毒々しい赤は何を意味するのか。四方八方に蘂(しべ)を凛と伸ばす、その異様な様体は何を意味するのか。彼岸花の花言葉は「情熱」「悲しい思い出」「独立」「再開」「あきらめ」という。これほどに、前向きな言葉と後向きな言葉が混在する花言葉をもつ花も珍しい。

今年は灼熱の夏であった。烈火の猛暑の後には、台風による激しい風雨が列島を縦断した。彼岸花の開花はしつこい残暑の終わりを告げる印なのか。そういえば、ここ数日ですっかり秋の気配を感じる。この彼岸、東北ではどれほどの人が真新しい遺影に手を合わせたであろうか。その無念さと悲しみに思いを馳せ、すっきりと晴れ渡ったこの秋の一日一日を大切に送りたいものである。彼岸花の相反する花言葉のように、それぞれがそれぞれの思いを感じる今年の秋の気配である。
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