フクシマ再生の道筋


 もう半年にもなるのに、未だにふる里へ帰れる見込みすらない。避難所に未だに取り残された人もいる。仮設住宅に入ったからとて、将来は何も見えてこない。希望をもとうとしても、すぐにまた亡くした家族や友を偲び、萎える日々。どうしてこういうことになったのだと嘆く。この理不尽な現実を、嘆いても嘆いても、一向に何も解決していない。

 何とか、ふる里を再生しようと努力している人たちもいる。町役場を隣町に移転してまでも、町長をはじめとして多くの人が、またふる里に戻れる日を願っている。そんな中、首相の「フクシマの再生なくして日本の再生はない」の言葉は、フクシマの人々、とりわけ避難している人にとって、どれだけ励みになったことか。

 一方で、被災3県で既に3万6000人の人が転出している。住民票を県外に移した人にいたっては、既に8万人にのぼるという。ふる里に帰りたい気持ちは痛いほどわかる。その思いは決して捨ててはならぬ。しかし現実には、ふる里から既に離散しているのもまた事実である。

 ふる里に帰るにはまず除染しなければならない。その費用たるや、1町当り2500億円かかるという。今、問題になっている国家公務員宿舎の建設は、13階のマンション2棟で100億かかるという。フクシマの影響圏をすべて除染するだけで1兆円はかかる。13階のマンション200棟分に相当する。何もお金の話だけではない。とはいっても、1億、2億の話でもない。国家予算を揺るがす問題であり、国民に税として跳ね返る話である。

 フクシマ再生に水をさすつもりは毛頭ない。しかし、現実には多くの人が既に県外に離散している。また、家族が離れ離れになっている人たちも、もうそろそろ限界であろう。仮設住宅に入っても職がなければ生活ができない。子供の成長は早い。別の地にて学校や友に馴れようと一生懸命である。それに何よりも、原発は未だに収束したわけではない。未だ進行形なのだ。再び爆発しないという保障はどこにもない。原発現場周辺を廃棄物処理場にしなくて、どこが引き受けるというのか。

 今の現実とこれからの見通しを客観的に、また冷静にみた場合、もっと現実的で抜本的な対策を考えなくてはいけないのではないか。情や絆といった言葉だけで物事を語っていいのか。フクシマ圏内にもうすぐ戻れるという幻想は、悲しいことだがもうそろそろ絶たねばなるまい。例えば、圏外にマンション群を建設し、新たな生活圏と街を構築するという案もある。県外に離散した家族に対して、その地で生活できるように支援する案もある。こうしたことを考えるのは不謹慎なことであり、論外な意見であろうか。被災された方々や多くの悲しみや痛みや苦労をされている方々に頭をさげつつも、「真のフクシマ再生」を願ってこその意見として、お許し願いたい。
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No title

本当に難しい問題ですね。
貴重なご意見として拝読させて頂きました。

故郷を再生しようとしている人の気持ちも、家族離れ離れになりながらも頑張っている人の気持ちも、自分を含め家族や子供の身を守るため心を残しながらも他県へ転出している人の気持ちも痛いほど解かります。

被災者の方々の今後の生活の大変さを思うと、ホント心が痛みます。
除染や復興にかかる金額は私には想像つきません。
同情や理想論ではどうしようもないし、100%誰もが何もかも満足するのは皆無である事は私にも理解できるし、殆どの人が解かっていると思います。
これからは政治家をはじめ復興に携わっている人の判断が重要なのでしょうね。

Re: No title

neneさん、こんばんは。

こういう意見を出すと、
みなさん、口を閉ざすのです。
それが怖いです。
私とて、浪江町にどうしても戻るんだとか言いたいです。
でも、現実を理解して、次なる人生を計らねばならないのだと、
そういう思いもあります。
きれいごとの意見ではなく、ほんとに何が被災者にとっていいのか
真剣に考えなくてはと思ってます。

あまりにも

問題が大き過ぎて・・・

口を閉ざすどころか、それぞれ胸中にある
思いをどう表現していいか、戸惑う・・・
ということが、わたしの場合あります。



>例えば、圏外にマンション群を建設し、新たな生活圏と街を構築する という

一考の余地ありと思いますよ。
非情かも知れませんがもう現に住めないほど
汚染されていますから、理想論だけではどうしようもないです。

Re: あまりにも

お帰りなさい。

> 非情かも知れませんが・・・・・・

非情と言われても、無情になるよりいいのではと。
ここは現実的な考え方もしないと。
あまりに「絆」とかいう言葉だけが独り歩きしているように感じます。

No title

昨日、NHKスペシャルで、大船渡市に住むある60代の主婦が
3階の自宅に(1,2階は浸水で使えない)、電気、水道、ガスの
ない生活を半年続けている様子を放映していました。
トイレも近くのビルまで行かなければならないとの事。
「これは、地獄です。」と記者に話していた言葉が、胸に
突き刺りました。これは、ほんの1例で、他にももっと悲惨な
生活をなさっておられる方もたくさんいらっしゃることでしょう。
行政が不甲斐ないばっかりに、こんな辛い生活を余儀なく
されている被災者の方々が、本当にお気の毒です。
半年たっても、ちっとも復興の目途がたたず、自力で
すし屋を元あったところに立て直した人もいます。
そこは、津波で建物が損壊した場所です。
また、いつ津波が来るかも分からないところに、
家を建て直したのです。
まさに、命を懸けているのです。
このドキュメンタリーを観て、日本の再生は、程遠い
と感じずにはおられませんでした。


No title

幼稚園児が
マイクロシーベルト
なんて言っている
冷温停止は
いつのことやら

No title

>フクシマ圏内にもうすぐ戻れるという幻想は、悲しいことだがもうそろそろ絶たねばなるまい

賛成です。

故郷をもたない私が勝手な意見を言うのは
申し訳なく思いますが迷いを断ち切る決断を
しないと前に進めないように思います。
ごめんなさい。

Re: No title

トパーズさん、こんにちは。
まだまだ日中は暑くてたまらない毎日です。
そちらはいかがでしょうか。

> このドキュメンタリーを観て、日本の再生は、程遠い
> と感じずにはおられませんでした。

このドキュメンタリーは途中まで見て、プロ野球に変えちゃいました。
確かに、気が遠くなるほど程遠いです。
大転換の発想が必要と思います。

Re: No title

rippleさん、こんにちは。

> 幼稚園児が
> マイクロシーベルト

ほんと、幼稚園児が言うのは、
悲しさや辛さの象徴ですね。

はっきり言って、10年、20年の単元ではないです。

Re: No title

maiさん、こんにちは。

> 迷いを断ち切る決断を
> しないと前に進めないように思います。

そう思います。
大胆な発想転換と思い切った決断が望まれます。

> ごめんなさい。

いえ、「ごめんなさい」は私です。
勝手な意見です。
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