787プロジェクトの行く末


 20011年7月3日朝、日本の技術革新にまた新たな1ページが刻まれた。全日空が世界に先駆けて導入する次世代旅客機「ボーリング787」がテストフライトのため羽田空港に降り立ったのである。

787


 「ボーリング787」は、機体の主要部分に炭素繊維複合材という素材を採用した画期的な旅客機である。炭素繊維は鉄よりも強く、アルミよりも軽い。高い電気伝導率、優れた耐磨耗性などさまざまな特徴がある画期的な素材であり、これに樹脂を組み合わせた複合材料が機体に利用されたのが「ボーリング787」である。

 ボーイング社は2004年春、燃費性能に優れた787(愛称:ドリームライナー)の事業化を正式に決定した。燃費性能を上げるためには大幅な軽量化が命題であり、そのため主翼や胴体などに炭素繊維複合材を採用することにした。ここから日本の「787プロジェクト」が開始した。

 「787プロジェクト」は日本の航空機産業において大きな意味をもつ。787機における日本の生産シェアが35%もあるからである。三菱重工業が主翼を、川崎重工業が胴体部分を担当するなど、重要な役割を日本が担った。ポイントは何と言っても炭素繊維複合材にあり、日本の生産技術のノウハウが発揮された。

 世界の航空機業界は勿論のこと、ボーイングの社内においても驚天動地とされたのが、最も重要な主翼を三菱重工に任せたことである。ボーイング社が航空機の命ともいえる主翼を外注することは考えられないことであったからだ。しかし事情が変わった。主翼の材料が従来のアルミやチタンなどの金属製から複合材に変わったのである。このことが三菱重工にとってビジネスチャンスとなった。

 それでもボーイング社の労働組合を中心に反対論が根強かった。しかし、日本はその反対を物の見事に跳ね除けた。ボーイング社の厳しい要望をすべて満足させて、予定どおりの納期と品質を実現したからである。

 次世代旅客機「ボーリング787」を建設する「787プロジェクト」への参画は、日本航空機産業のみならず日本の技術革新の生き残りを賭けた正念場であった。そして、その挑戦は見事に開花した。

 炭素繊維複合材は、今後、宇宙開発、リニアモーターカー、自動車、風力発電のプレード(羽根)などに採用が拡大されてこよう。日本の物づくりの技術革命のまた新たな一歩である。政治が停滞する間においても、日本が誇る科学技術は日々向上しているのである。
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No title

炭素繊維複合材のニュースはkurumiも見ました。
やるじゃん、日本。
21世紀は繊維の時代ですね。

Re: No title

Kurumiさん、こんにちは(^-^)/

> やるじゃん、日本。

そうですよ。ヒタヒタと地道な努力が日々
繰り返されています。
決して捨てたもんじゃないですよ。

> 21世紀は繊維の時代ですね。

繊維と遷移(遷都)の時代かもですね。

No title

折しも、東大の先生が太平洋で大きなレアアースが
大量に眠る場所をさぐりあてたということです。
新繊維、新素材の開発はまたしのぎを削る段階に
入っていくことでしょう。そうなると、レアではないか。

Re: No title

rippleさん、こんにちは。

レアアースのことも絡めようかと考えたのですが、
まだそちらは実用化にほど遠いと判断して
やめました。

いずれにしても、しのぎを削る科学技術の
争いが始まってます。
二位じゃやはり駄目ですね。
リニアを中国がこっそり特許とろうとしているなど、
目が離せません。

二位じゃダメです

女性議員の「二位じゃだめなんでしょうか?」って発言を
思い出しました。

二位じゃダメです^^

凄いぞ、日本!

こんばんは。
日本の科学技術ってやはり、凄い!

炭素繊維複合材、ですか?

ナショナリズムですかね、単純に嬉しいですよね。

若い人たちにも 日本って凄い、頑張ってるんだと思って欲しいし、

いや、海外へ行く人たちが多いので、逆に若い人の方が、分かってい

るのかな~。

このブログの記事で、よし、なんて株価が上がるのかな?

まだ、まだって処をもっと、見せて欲しいですよね。

Re: 二位じゃダメです

おしゃれな猫さん、こんにちは。

暑いですね。

> 二位じゃダメです^^

科学技術で二位は三位も四位も一緒です。
一位でないと負けも同然です。

Re: 凄いぞ、日本!

ミルフィーユさん、こんにちは。

> 日本の科学技術ってやはり、凄い!

ええ、凄いんですよ。

> 若い人たちにも 日本って凄い、頑張ってるんだと思って欲しいし、

若い人に自信をもってもらいたいですね。
日本の底力を海外は知っているから、円安にはなかなかなりません。
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