自己防衛と離散

 家庭や学校を中心として放射能汚染を心配する行動が過熱している。運動場や校舎の放射能測定を学校単位で実行したり、個人でも測定器を購入して測定する家庭がある。こうした行為は自己防衛意識の高まりの表れであり、大変よいことだと思う。福島県内の方にとって、とりわけ幼児や学童をもつ家族にとっては危機感があることは十分に理解できる。

 しかし驚かされるのは、神奈川県、埼玉県、千葉県などの首都圏の家族が遠く沖縄まで避難するケースも増えていることである。夫を残して、妻と子供だけが石垣島に移り住んだり、この際と、夫も含めて家族ごと沖縄に移住するケースなどである。移住の理由は、もちろん子供の健康を案じてのことである。動機を聞くと、安全の基準がはっきりしないからとか、独自に計測したら高い値が出たからとか、安全だという言葉が信じられないとか言う。

 さて、こういう行動をどうみたらよいのか。自分の子を案じるのは、福島も首都圏も、全国どこでも同じである。できることなら、思い切り砂場で遊ばせ、沖縄の澄み渡った青い海と空のもとで健康的に育てたい。その気持ちは誰も同じである。しかし、福島ならまだしもなぜ首都圏の家族が、とも思う。首都圏の家族が遠く沖縄にまで避難する行動の必要条件は妻の過剰な防衛意識であり、十分条件は金銭にゆとりがあることである。

 こうした行動を好ましいとみるか、あまり好ましくないとみるか、評価は二分されよう。好ましいとみる立場では、防衛意識の高さやそこまで子供の将来を思う母親の意識行動を賞賛するであろう。一方、好ましくないという立場では、過剰反応であるとか、金銭的にゆとりがあるからできることであり、やりすぎだと思うかも知れない。さらに、行きたくても行けない福島の方々を置き去りにした自己中心的な行動だと非難するかも知れない。さて、皆さんはどう思われるでしょう。

 いずれにしても、かかる非常事態においては少なからず、こういう行動をとる人が出てくるものである。例え安全だからと彼らに説いても、信じない者や逃げ出す者は必ず出てくる。しかしそれを咎めることは誰もできない。

 問題はそういう行動が過熱することによって、少なからず家族や親戚、コミュニテイ-という形態が離散することである。さらには心までが離散し、すさんだ社会に変貌していくことである。さて、どうしたものか。
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

No title

大津波で
助かっても
放射能に
追われるとは
理不尽この上ない

No title

ジオテクさん おばんです

「学べるブログ、きよしのつぶやき」の隠れファンです。
復興政策を議論すべき国会は、ろくでもない人種集団と化して
茶番劇場を繰り広げている。

原発は悪化するばかりで汚染水の垂れ流し状態になっている
と思う、おまけに線量値の高いパワースポットが身近に点在し
ているとなると測りたくもなるし、逃げたくもなるのはうなづける

しかし、脱原発ムードが高まっているが、代替エネルギーの開
発に着手していないではないか・・・今の小学生が20~30年後
どれだけ病気のリスクを負うのか???

私は知るよしもない・・・人事だと言えば貴方は怒りますか

No title

>福島ならまだしもなぜ首都圏の家族が

わたしも疑問に思います。
子どもの安全を願う親の気持ちは
理解できますが、少し過剰反応にも感じます。

Re: No title

rippleさん、毎度です。

五行歌でこられましたか。

うまくまとめましたね

そのとおりですね。

五行歌の方、ボチボチですみません。

Re: No title

マトンさん、おばんです。

> 「学べるブログ、きよしのつぶやき」の隠れファンです。

隠れという表現だけでうれしくなります。

> 復興政策を議論すべき国会は、ろくでもない人種集団と化して
> 茶番劇場を繰り広げている。

それは、そのとおり、ほとんどの国民はそう思ってますよ。
間違いない!(昔のギャル)

> しかし、脱原発ムードが高まっているが、代替エネルギーの開
> 発に着手していないではないか

だからこそ、エネルギー買い取り法案とか送発電法案とかが
急ぐのです。
そこを突破すれば早いです。
でも、抵抗勢力がいるんです。
何とかしたい。その思いを共有したいです。

Re: No title

しあわせさがしさん、こんばんは。

> わたしも疑問に思います。

だったら、私の疑問も今回ばかりは
常識的ですね。安心しました。

微妙な問題なので、問題提議にして逃げました。

事故防衛は個人の権利では

中部大学の武田邦彦教授はいつも下記のように言っています。

日本では人口放射線被曝の許容量を1年間1ミリシーベルトと法律で定めています。特に子供に対してはこれを厳格に守る必要があります。
「1時間に0.11マイクロシーベルト以上の地域は法律的に違法状態にあり、子供の健康に障害を及ぼす可能性があります。」(福島原発事故が起こった直後には、東京も放射線の強いところは1時間で1マイクロシーベルトを越えていました。)

基準を国が決めない、自治体が決めないとマスコミは騒ぎますが、何年も前からきちんと法律で決めている事を無視している理由が分かりません。(政府が事故現場で働く人の許容量をいきなり年間250ミリシーベルトに引き上げたと同様なご都合主義を、何故期待しなければならないのでしょう?)

個人的な判断基準は様々でしょうが、子供の事を考えて都内から避難する人の事を非難する気にはなれません。

Re: 事故防衛は個人の権利では

爺さん、こんにちは。

> 日本では人口放射線被曝の許容量を1年間1ミリシーベルトと法律で定めています。特に子供に対してはこれを厳格に守る必要があります。

「人口」とは「人工」の間違いでしょうか?
「法律で定めている」のですか?知りませんでした。どの法律でどのような表現なのか、調べてみます。もしご存知だったら教えていただけませんか。

> 個人的な判断基準は様々でしょうが、子供の事を考えて都内から避難する人の事を非難する気にはなれません。

無論、非難することはできません。どうしたものかと憂慮しています。

失礼しました

きよしさん
こんにちわ。
>「人口」とは「人工」の間違いでしょうか?
失礼しました。ご指摘通りの間違いです。

>「法律で定めている」のですか?
どうもそのようです。武田邦彦氏のブログに詳しいのですが、下記の文章はgoogleで検索するだけで簡単に出てきます。
”ICRPの提案:それによると一般人の限界線量は1mSv/年、職業人(原子力関係の仕事、放射線を扱う仕事に就いている人)は5年平均で20mSv/年(100mSv/5年)とされている。日本もこれに従っている。”

ICRP基準の変遷は小出裕章氏のホームページで参照できます。
http://www.rri.kyoto-u.ac.jp/NSRG/kid/radiation/permisib.htm

Re: 失礼しました

爺さん、こんにちは。

> ”ICRPの提案:それによると一般人の限界線量は1mSv/年、職業人(原子力関係の仕事、放射線を扱う仕事に就いている人)は5年平均で20mSv/年(100mSv/5年)とされている。日本もこれに従っている。”

このことはよく承知していますが、法律にはなっていないと思います。概ねこの勧告に準拠しているという
ことだと思います。

念のためです

拘る程の事ではありませんが、念のため少し調べました。六法全書と縁遠いものですから、正しいかどうかは未確認です。
*れっきとした法定限度線量なのである。とのことです。

「核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律」
に基づいて定められた
「実用発電用原子炉の設置、運転等に関する規則」
第十五条第四号ならびに第七号に定めのある、
「経済産業大臣による濃度限度」であるところの
「実用発電用原子炉の設置、運転等に関する規則の規定に基づく線量限度等を定める告示」
第三条第一項に定められている。

Re: 念のためです

爺さん、おはようございます。

> 「核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律」
> に基づいて定められた
> 「実用発電用原子炉の設置、運転等に関する規則」
> 第十五条第四号ならびに第七号に定めのある、
> 「経済産業大臣による濃度限度」であるところの
> 「実用発電用原子炉の設置、運転等に関する規則の規定に基づく線量限度等を定める告示」
> 第三条第一項に定められている。

調べていただいて感謝です。
ただ、事故後の対応は想定されていないようですね。
ありがとうございました。
プロフィール

geotech

Author:geotech
geotechのブログへようこそ!

団塊の世代を突っ走った田舎侍の遠吠えです。聞いてやってください。実話から世評までもろもろですが、一貫して、辛口です。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
フリーエリア
blogram投票ボタン
フリーエリア
シニア・ナビ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR