優しさのいろいろ

 久しぶりに広島の市内電車に乗った。車内は込み合っていた。電車がとある駅に停まり、松葉杖の少年と、後から母親らしき女性が乗ってきた。混雑した車内に空席はない。松葉杖の少年が立ったちょうど前の席に座っていた女性が立ち上がった。「どうぞこちらにお座りください」と言って、松葉杖の少年が座るのに手を貸そうとした。

 すると、松葉杖の少年の後ろにいた母親らしい女性が言った。「この子は自分のことは自分で何でもさせていますので お席だけはありがたく頂戴いたします」と、介護を制した。ピンと張り詰めた空気が車内に漂う。松葉杖の少年がちゃんと座れるのか、乗客の誰しもが固唾をのんで凝視した。少し時間がかかったが、少年は無事に座ることができた。

 乗客はみな安堵のため息に包まれた。幸せが車内に舞い降りた気分に浸された。少年の自立心があり、席を譲った人の親切があり、乗客の思いやりがあり、これらが一体となって車内に幸せを呼んだ一瞬である。そして何よりも輝いたのは、少年を思う母親の厳しい優しさであった。
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No title

五体不満足の乙武くんを思い出しました。
自立させるために親が厳しく育てたとか。
彼も今や二児のパパですからねえ。
助けるのも愛、しかしまた助けないことも愛
ということがありますね。

Re: No title

rippleさん夜分に失礼します。

> 五体不満足の乙武くんを思い出しました。
> 自立させるために親が厳しく育てたとか。

そうでしたか、知りませなんだ。

読んでないので読んでみたいと思います。

No title

こういう母親に育てられれば、おのずと自立心も湧くでしょう。、母親の心構えが見事で、今ときこんな女性もいたんだ・・・・・と感動しました。

Re: No title

トパーズさん、夜分に失礼します。

っていっても、そちらは昼間ですよね。

> こういう母親に育てられれば、おのずと自立心も湧くでしょう。

こんな母親が理想ですね。
今時、かわいいかわいいで育てている母親
が多くて、心配してます。
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団塊の世代を突っ走った田舎侍の遠吠えです。聞いてやってください。実話から世評までもろもろですが、一貫して、辛口です。

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