避難勧告の重さ

 政府は、22日午前0時をもって福島第一原発の20キロ圏内の立ち入り禁止とした。事実上の法的強制力がある勧告である。住民のほぼ全員が、二度とふたたび戻ることができないのではないのかという将来不安に苦悩する。

 ペットや家畜を見殺し状態にする刹那、事業再開の道を閉ざされた零細企業、避難しようにも病気や老衰で動けない方など、それぞれに悲痛な事情を抱えての避難となる。そんな中、昨夜、100歳になる圏内の老人が自殺したという。家族で移動の話し合いをしている最中の出来事だったらしい。家を離れるのが嫌だと再三、言っていたそうである。それほどに、住み慣れた家を離れるのはつらいことである。

 健康への被害を考えての措置であろうから、仕方ないといえば仕方ない。しかしながら、家を離れることのつらさ、ストレス、精神的肉体的なダメージも計り知れない。放射能による人体へのリスクと避難することによる精神的・肉体的リスクと、どちらが大きいであろうか。人によっては、後者のリスクの方が大きかろうと思う。

 だからこそ、避難勧告というのは重いものである。地域事情や個人の事情も考え抜いた内容にしなければなるまい。それにしては、20キロ圏内を一律に扱うのはいかにも軽い。一律に扱う根拠も明確でない。20キロ圏内には年間被曝量が20mSV以下の地域から100 mSV以上の地域まであるというのに(下図参照、図は朝日新聞掲載図を引用・編集した)。


原発周辺放射能分布

 20キロ圏内を一律の扱いにしたことについて、原子力委員会の久木田豊委員長代理は「(福島第一原発は)依然として原子炉の状態が不安定だ。もう一度かなりの放出が起こりうる可能性も無視できず、当面20キロ圏内を避難・警戒区域と判断した」と述べた。

 この発言が冷たい机上のうすら事としか聞こえないのは私だけであろうか。俺の健康は俺の責任で守る、家から絶対に出ない、家畜を見殺しなんかできないという者を、果たして法で罰することができるのだろうか。はなはだ疑問である。原子力委員会の先生たちには原子力工学を学ぶ前に人間工学を学んでいただきたい。
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No title

チェルノブイリ事故の管理区域に事故以来25年も住んでいる
老夫婦がいましたが、いたって健康的に見えました。
以前にも福島原発のそばの人で、「何が起きてもかまいません
から、ここに居させてください」と訴えていた人がいました。
なんとか残してあげることはできないでしょうか。
それとも、やなり原発がかなり危ないとみているのでしょうか。
ま、きめこまかい測定データ図を公開してほしいものです。

Re: No title

rippleさん、こんばんは。

> 以前にも福島原発のそばの人で、「何が起きてもかまいません
> から、ここに居させてください」と訴えていた人がいました。
> なんとか残してあげることはできないでしょうか。

だからこそ、明確な基準が求められますよね。

> それとも、やなり原発がかなり危ないとみているのでしょうか。
> ま、きめこまかい測定データ図を公開してほしいものです。

基準のもとになっている考えた方が示されてないのが問題だと思います。
明日、そのことを考察してみます。

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