放射能はほんとうに恐くないのか(2)

 私の昨日のブログにおいて紹介した中村医師の発言内容、すなわち「放射能なんか恐くない、むしろ浴びた方が体に良い」というショッキングな内容について、私なりに照査してみる。

 まず、「浴びた方が体に良い」という指摘はホルミシス効果のことを言っている。つまり、生物に対して通常は有害な作用を示すものが、微量であれば逆に良い作用を示す生理的刺激作用のことであり、とくに自然放射線の人体への健康効果を指摘しているのである。癌細胞は通常細胞より放射線に弱いので、適量の外部被曝であれば、発癌率が減少することは臨床学的にも知られている。

 しかし一定以上の放射線を受ければ、毛髪が抜けたり細胞が破壊されたりすることは癌の放射線治療における副作用をみても明らかであり、体に良いはずがない。したがって、「浴びた方が体に良い」 という発言は言い過ぎであり、少なくとも「これこれ以下の放射線であればむしろ体に良いこともある」と丁寧に言うべきであろう。専門の医師が聞けば容易に理解できる内容でも一般の人には誤解される。こと生命に関わる専門家の発言は丁寧さと慎重さが要求される。

 次に、ICPR(国際放射線防護委員会)の基準値(1990年に一般公衆の線量限度を1mSV/年と勧告)が保守的であり、異常に安全過ぎる値だという指摘についてである。確かに我々は日常的にもこれよりも高い放射線を一般の生活において浴びている。

 例えば、1年に1度CTスキャンを撮っただけでも6.9mSVを浴びる。中東やブラジルでは1年間に10mSVを浴びている地域があるが、その地域において癌発生率がとくに高いわけではない。その地域に限らず、世界の平均1人当たりの自然放射縁量は2.4mSV/年である。ちなみに、宇宙飛行士がは1日で1mSVの放射縁を浴びている。このような実態からしても、確かに 1mSV/年というICPRによる国際勧告は厳しすぎる(安全側すぎる)し、実態にそぐわない。

 しかし一方で、放射線防護に関する日本の法律も50年を経過し、その間にいろいろな議論もされてきたものと思う。ICPR(国際放射線防護委員会)にしても諸条件を勘案した上で、あえてそのような基準値を示したと考えられる。その根底には、自然界あるいは医療において仕方なく受ける以外の人為的な放射能を断じて浴びるべきでないという考えがあるように思える。

 そうした背景は別として、基準は基準である。非常事態には20mSVにしても良いとか、非常事態が収まったら再び1mSVミリシーベルトに戻すなどの考えは、基準そのものを否定するものであり、本末転倒である。
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No title

ジオテクさん こんばんわ
福島第一原発は何処まで腐ってしまったの・・?
事故当時は「止める 冷やす 閉じ込める」さえうまくやれば
安全と豪語していたのに、やる事なす事が後手後手ですね
先人は「1を聞いて10を知る」の諺を残しましたが、何十人
の専門家の説明を聞いても、根本の1を隠されたのでは、
不安が募るばかりで、正しい理解など出来ませんね、天国
から見守るしかないのかも・・・ね
ふんだんに電気消費をしてきた身では、原発の有無を論ずる輪
に加われないよ・・今は
もっと心配なのは、水源を買い占める国が日本のあちこちに
出没しているのに、なんのアクションも示さない政府がはがゆ
いよ、今回の震災でも水の重要さは分かってはずなのに・・?
近い将来、レストランのメニューに水が加わってもおかしくない
と思っている。ほんの老婆心より

Re: No title

マトンさん おはようございます。

>何十人の専門家の説明を聞いても、根本の1を隠されたのでは、
> 不安が募るばかりで、正しい理解など出来ませんね、

テレビに出てくる専門家の方も実際のことが知らされていないので、
説得力ある意見にはなってませんね。
当初、東電が情報を隠蔽もしくは後だしにしていたのが後手後手
の始まりですね。

> ふんだんに電気消費をしてきた身では、原発の有無を論ずる輪
> に加われないよ・・今は

いえいえ、消費者はお客ですから文句言うことができますぅ。

> もっと心配なのは、水源を買い占める国が日本のあちこちに
> 出没しているのに、なんのアクションも示さない政府がはがゆ
> いよ

そうですね。水は宝ですよね。水のビジネスをもっとやらないと。

マトンさん、またお越しくださいね。

No title

きよしさま、おはようございます。ヨーク分かりました。本当にありがたいです。こんなことが起きなければ私もIT世界に興味も持ちませんでした。    そしていろいろな専門家の方々の話も聞けなかったのですから、、、感謝しています。

Re: No title

dorucasuさま おはようございます。

要するにあまり恐がらずに、でも用心してということで。
参考になれば幸いです。
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