男にとっての仕事と覚悟

 私は仕事柄、非常に危険な現場に行くことが多い。地震、豪雨、台風などの災害直後の現場とか、絶壁に近い斜面の防災調査などである。

 今までも何度か、命からがらの現場を経験してきた。石川県白山では雪山山中で遭難しかけたこともある。伊豆半島沖地震の直後の現場では、2次災害で命を落とすところであった。今思えば、身の毛がよだつ恐怖である。

 私は頑強な体力を持ち合わせているわけではない。非常に華奢で、今では柔な老体である。レスキューとか特別の訓練を受けているわけではない。それどころか、私はどちらかと言えばいくじなしで、恐れで、おまけに高所恐怖症なのである。

 そんないくじなしの私がなぜそのような危険な現場に赴くのか。それはそのような仕事を天職とする仕事人としてのプライドかも知れない。仕事以外の話であれば、例えお金をいただいても間違いなく拒否する。今でこそ現場の安全が第一だと声高らかに言うが、災害現場においては安全もへったくれもない。その任にある者が、危険だろうが何だろうが、行かなければ前に進まないのだ。

 先週、東北・松島の被災地の幹線道路確保するための点検調査の依頼があった。すぐに出発して3月までに終わらすという工程のものであった。無論、仕事とは関係なくボランテイアとしてでも行きたかった。しかし、今かかえている仕事を投げ出してはお客さんに迷惑がかかる。それに、今は家に病人をかかえている。散々、悩んだあげく、仕方なく今回は断った。今でも手助けできなかったことを悔やんで、罪悪感から精神的に尾を引いている。

 今、福島原発における作業員の身の安全が問題になっている。誰しも安全な状態で作業してもらって、無事に事故回復してもらいたいと願うばかりである。しかし、そうはいかない場合がある。いざとなれば、誰かが身の危険も覚悟の上でやなねばならぬこともある。それは危険な仕事を取り扱う仕事人としての覚悟でもある。そしてその覚悟は、下請けに託すというのではなく、事業主体の責任者自らが範を示すべきである。職種によっても立場によってもさまざまであるが、男にとっての仕事と覚悟というものはそういうものだ。
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