俯瞰(ふかん)力

 「俯瞰力」とは、大所高所に物をみる力である。つまり、大局的かつ総合的に物をみる力である。これは、普段の日常生活においても、会社経営においても、科学技術の分野においても必要なことである。

 人はみな普段の日常生活において、子育て、子供の教育、日常生活、親の介護など、直面する生活のことに対して一生懸命に取り組む。それはそれで仕方ないことであるが、あまりに近視眼的に物をとらえると、全体が見えないで、最終的に本来の目的が達成できないことがある。

 例えば子育てや子供の教育において、あまりに教育にばかり目を向けると、健康とか社会性という面でおろそかになる。子供を教育する最終目標をどの時点の何に求めるかということによって、教育の仕方も変わろう。東大に入学させることだけを最終目標とするのであれば、教育偏重はやむ終えない。しかし、立派な社会人になることを最終目標にするのであれば、また違った育て方になろう。

 自己の目標達成においても同様である。あまり頑張り過ぎると、自己のペース配分が崩れる。頑張りすぎて息切れしては元も子もない。最終目標をいつの時点の何に求めるのかによって、ペース配分も方法も違ってくというものだ。間寛平のアースマラソンにおいても、無事に地球を一周することを最終目標にすれば、2年の予定が3年になっても、途中で多少ブランクが出ようが、変更はやむ終えない。

 会社経営においても、当座の売り上げや利潤だけを追求すれば、その時は会社は安泰かも知れぬ。しかし中長期的な会社の安定を考えれば、体系的な知識に裏付けられた正確な環境分析力と大局的で迅速な判断力が必要になる。財務会計、経営戦略、マーケティング、組織・人的資源管理、ITの知識も必要になる。

 会社に入社して最初の現場で地方に出張に行ったとき、今は亡き大物上司に言われた。地方に出張に行けば、最初に、その地方の神社仏閣を訪ねるのだと。山を調査するのが目的なのにおかしなことをと、その時はいぶかしげに思った。しかし後になってその意味がわかった。神社仏閣を訪ねると、その地方の言い伝えや歴史がわかる。その歴史は山などその地方の自然に反映されている。土地にはそれぞれに歴史に裏付けされた地名もある。例えば、「津波」という地は江戸時代にとてつもない大規模な土石流があったとか、「温品」という地には昔、温泉が出ていたとか、土地の名前はその土地の歴史や文化、自然とも密接に関連するものである。

 さらに、現場の山を調査するときにはすぐに山に行くではない、とも言われた。まず対岸より眺めよ、と教えてもらった。その山の形状や環境、置かれ状況をまず概括的に把握することが必要であることを説いていたのである。確かに、すぐに現場を近視眼的に調査するよりも大局的な山のありようが見えてくるのだ。現場はその後、おもむろに確認すればよいのである。この方が大きな間違いがないし、効率的でもある。

 以上のように、日常の生活においても、自己目標においても、仕事においても、大所高所に物をみる「俯瞰力」が必要である。時々は少し手を休めて全体を眺めてみよう。そうすると、今のやり方の問題や今後の見通し、対策などがわかるかも知れない。たまにはそうした息抜きも必要である。
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