端食の勧め

 私はご飯党であるが、パンだったら食パンの端を食する。通称「ミミ」という部分であり、食パンの端っこだけを集めたものである。「ミミ」という呼び名は、「耳をそろえて・・・・」という言い回しからきているとの説もあるが、詳細はわからない。スーパーのパン屋さんに行って、「ミミ下さい」と言うと、「ミミ」が10枚程度入ったナイロン袋を渡してくれる。この「ミミ」、数年前まではタダでいただいていたが、数年前から5円となり、最近は8円になった。不景気の余波であろうか。

 私にだって正規の食パン1斤位であれば買うくらいのお金はある。しかし、このミミがまことに美味いのだ。勿論、今でもタダ同然というのが大きな魅力である。そもそも端だから硬いのが特徴である。焼いてマーガリンかバターを塗り、その上にマーマレードを載せれば、噛み応えがあって香ばしい絶品となる。マーガリンの上に砂糖を振りかければ、昔に流行った「ラスク」となる。

 私は2歳になったばかりで父を亡くしたため、母に食することで苦労をかけた。下関市の高台に家があったが、高台から歩いて30分、海側に下ると、西日本有数の魚市場である唐戸市場がある。母はそこにほぼ毎日、出かけた。下関は河豚(フグ)の産地である。市場には河豚を裁いた切れ端が捨てられている。母は河豚の切れ端を野菜の切れ端と一緒に集めてもって帰るのである。そのお陰で、我が家は毎日のように河豚チリであったように記憶している。今はとても高くて時々にしか食することのできない河豚であるが、極貧にして何と贅沢な食であったことか。

 今でも魚のアラは大好きである。魚屋で鯛のアラがナイロン袋に一杯入って安いと嬉しい。魚のアラだし味噌汁、鯛のアラ焚き、ぶり大根、かす汁、アラの塩焼きなどレシピも豊富である。魚のアラにはコラーゲンがつまっている。旨味がある。いろいろな味が入って美味しい。

 私が知るステーキ店で変った店がある。ちょんまげにハッピ姿の店主が1枚10,000円のステーキだけのメニューを提供する。その店主はこだわりが強い。○○産の超一流のステーキ肉しか使わない。1枚のステーキ肉の端は客の目の前で思いきり切り捨てる。ある大学教授夫妻と私の3人でその店に行った。その教授の妻、「うちのワンちゃんにやるので端をちょうだい」って、ちゃっかりナイロン袋に入れてもらって帰った。その教授夫妻は無論、犬を飼っていない。カレー肉にしたらとても美味しかったと、後日、報告があった。

 我々はいつの間にか飽食に馴れ、食をお粗末にしていないか。食に対する執着心をなくしていないか。大根の葉も立派な食材である。たまに贅沢に蟹鍋をしても、雑炊にできる。蟹の殻はフライパンで炒って味噌汁のダシにする。食材はどこも利用できる。私はこれからも端食にこだわりたい。



*明日、明後日は上京しますので、ブログお休みします。あしからず。
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ミミは美味しいです!

こんばんは~

仕事を始める前、小麦粉をこねてパンを焼いていました。
食パンを作ると、子ども達が「ミミちょうだい」と言ってました。
両端を切った部分なのですが、これがおいしいと言って
奪い合いをするほどでした。

お母様の作った河豚ちり、食卓の風景が見えてきそうです。
お母さんって、自分はあとから食べるんですよね。
「お母さん、食べないの?」って聞くと、「お腹がすいてないから」と
笑って答えるのです。そして、子ども達が食べた残りでお腹を満たす。
私の母はそうでした。geotechさんのお母様も同じかな?

Re: ミミは美味しいです!

おしゃれな猫さん、こんにちは。

先日だったか、ショートメールしたのですが、
ご返事がないので、何か気にさわることがあったのか、
心配していました。もしそうであれば、お許しください。

> 両端を切った部分なのですが、これがおいしいと言って
> 奪い合いをするほどでした。

やはり、そうでしたか。

> 「お母さん、食べないの?」って聞くと、「お腹がすいてないから」と
> 笑って答えるのです。そして、子ども達が食べた残りでお腹を満たす。
> 私の母はそうでした。geotechさんのお母様も同じかな?

同じですね。どこの親も。
そして、親の背中を見て子は成長していくのですね。

昨夜、山猫軒さんと東京で飲んでました。

では、また。
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