父から娘へのメッセージ(その七)

 それから、娘には大学を卒業するまでの1年半の学費の保障はしたが、生活に関する援助は一切していない。あとで聞いた話だが、家出してしばらく、母親は友達の家に間借りした娘と連絡をとり、何か必要なものはないか、お金は足りているかとか尋ねたらしい。

 人一倍負けず嫌いで自立心が強い娘は、ほとんどの場合、あっさりとかわしたらしい。娘がどうのようにして生活費をまかない、どれほどの友人の家を転々としたのか、のちに娘の結婚式で居候された複数の友達から知らされる結果となった。

 それでも娘は大学を正規の四年で卒業した。三年の半ば、四年間の学費仕送りの延長はないことを申し伝えたのが功を奏した。卒業式に出席した私たちであるが、親元を離れていても、少しも悪びれることなく、楽しそうに多くの友の輪の中にいる娘を遠巻きに眺めた。

 大学を卒業した彼女はイベント会社に勤めた。モーターショーやキャンペーン、プロモーションや結婚式など、各種のイベントに女性を派遣する会社であり、勤務は不規則・不定期でべらぼうに安い給料で働かされる。これはもう会社とかではなく、今風の置屋みたいなものである。

 しかし、束縛されたくなくて気ままで目立ちがり屋の娘にとっては、好きなことしてお金がいただける格好の職業だと応援した。地元テレビ局の番組の手伝いもするため、有名なタレント相手にバニーガールなどのコスプレでテレビに出ることも多くなった。テレビ画面一杯に大きな文字で本名と3Sが出ることもしばしばとなった。

 最初、テレビに出ると聞いた母親はいそいそとテレビをつけたが、その姿を見たとたん、「親戚には見せられない」と落胆しながら画面から目を逸らした。それを横目に、「別に悪いことしているわけじゃないし、いいじゃん.俺は自慢したいくらいよ」と。事実、私はビデオを編集して親戚に見せたりもした。

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