トヨタとマツダ

 企業によって体質はさまざまである。企業体質は経営によって育まれ、その企業体質が企業発展の命運をかけることになる。こうしたことは頭では容易に理解できるが、実際にそれをじかに身をもって経験すると、さらに実感としてわかる。

 独立する前に私がいた会社は、大学の助教授と助手が始めた小さな個人商店であったが、創業38年にして一部上場し、一躍、同業種の最大手にまで登りつめた。しかし反面、会社体質はきわめて質素であった。同業他社の会社の社長が運転手付きのベンツで出社するのに対して、わが社の社長は電車と徒歩で1時間かけて通勤する。それも誰よりも早く。会社の接待費はゼロ円、ゴルフ厳禁、真面目一徹の会社であった。その体質が驕りを戒め、不景気な中でも成長する原動力になったであろう。ベンツで出社する社長の会社のいくつかは、その後、倒産したと後になって聞いた。

 名古屋勤務の時代、トヨタはお得意さまであった。新たな工場計画の打ち合わせに本社ビルに行った。質素な打ち合わせ室に通され、お茶のひとつも出てこない。室外の自販機で勝手に購入してくれという。どんな大切なお客様でも同じ待遇だという。おまけに12時になると自動的に部屋の照明が消された。

 2~3年の後に広島転勤になり、今度はマツダの本社ビルに行く機会があった。埋立地に立つ本社ビルに亀裂が発生したので、その調査と修復のための打ち合わせであった。マツダの敷地に入るにはマツダ車でなければならない。わざわざレンタカーを借りて入場した。絨毯がひきつめられた綺麗な部屋に通され、秘書風の若い美人がお茶をもってきた。それも少しぬる目の高級抹茶を。

 質素で効率的で敷居の低いトヨタと派手でしがらみが多いマツダ、この企業体質の違いは歴然としている。その後の両者の成長振りをみれば、どちらが健全な企業体質であるかは一目瞭然であろう。その後、マツダは外人社長となり、マツダ会と称されるそれまでの協力会というしがらみを全廃し、企業体質も変革した。そして、マツダは成長路線に戻した。
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

No title

マツダはマツダ車でないと入れない、ですか。
他社の乗り物に乗って比較できないような環境
ではすぐれたものを作り出すことはできませんね。
面白い記事でした。

Re: No title

rippleさん こんにちは。
コメントありがとうございます。

> マツダはマツダ車でないと入れない、ですか。

当時はそうでしたね。
今はいくら何でも変わってるかも知れませんが。

これからもよろしく。
プロフィール

geotech

Author:geotech
geotechのブログへようこそ!

団塊の世代を突っ走った田舎侍の遠吠えです。聞いてやってください。実話から世評までもろもろですが、一貫して、辛口です。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
フリーエリア
blogram投票ボタン
フリーエリア
シニア・ナビ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR