お返し文化

 知人、親戚の葬儀に参列した何週間か後に、必ず「香典返し」が届けられる。最愛の人と別れた遺族の気持ちを察しての心ばかりの香典に「お返し」を期待する人もいまい。まして、遺族にとっては葬儀後の後始末が大変なのに、「香典返し」の仕事が加わる。返しの割合をどうするのか、会社関係で一括していただいた場合はどうするか、親族と知人で分けるのかなど、悲しみに埋没している暇などない、厄介なことになる。

 いっそ、「香典返し」という悪しき習慣はなくした方がよいと、私は思う。心の底では誰しも「香典返しは必要ない」と思っているであろう。といって、自分が喪主の時に「香典返し」を辞めるわけにはいかない。せめて私にできるのは、参列した時にあらかじめ「お返し」を固辞するくらいか。それも相当に勇気がいるであろう。

 香典と同じように、結婚祝い、出産祝い、入学祝い、退院祝い、還暦祝いなど、祝い事においても「お返し」が普通に行われている。これもまた、「お返し」をする方も難義であり、「お返し」をいただく方も恐縮する。心ばかしのお祝いの気持ちで祝い金を渡したのに、「お返し」されたのでは、本人にとってはあまり嬉しいことにならない。

 日本には伝統的にお返し文化があるように思われる。それはそれで良しとする考え方と、形式的なしきたりは辞めようという考え方があり、世代の交代とともに、今後、両者の考え方が混在してくると思われる。

 自分亡き将来においてどうしたものかと思慮するつもりはない。生きている間の自身のこれからをどうしたものかと考る。元気な間はそれでも悪しき慣例にならうとしても、次第にそれも難しくなろう。そうなると、急に不義理だと思われかねない。そうなるのが嫌だ。それでは、今から徐々に準備してみようかと。つまり、自分がお祝いやお悔やみを託す立場においては、しきたりに習って失礼なきように与え、受ける立場においてはできるだけ失礼なき範囲で固辞しようと思う。だがそれも、はたしてできるのか、自信がない。
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悩みますね。

お返し・・・ほんと悩むところです。
お祝いごとは、商品券などでお返ししています。

7年前の夫の葬儀のときの香典返しは
思い切って神戸のある団体に寄付しました。
いまでもその会報が喜びの声を添えて届きます。
少しでもお役に立てたのか、と嬉しく思っています。

スカイプ・・・・わたしも使い始めて、ずいぶんなります。
同じように猫さんとも長ーい話ししています~
いま、固定電話にもスカイプからかけられますよね。
低料金で・・ほんと便利な世の中になりました。

Re: 悩みますね。

しあわせさがしさん、こんにちは。

> 7年前の夫の葬儀のときの香典返しは
> 思い切って神戸のある団体に寄付しました。

そうか、そういう方法が良いですね。

> 同じように猫さんとも長ーい話ししています~

聞いてます、聞いてます。とってもウレシそうに報告していただいてます。
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