「させていただく」という言葉

 最近、「させていただく」という言葉をよく耳にする。例えば何かのショーで司会者が、「それでは開演させていただきます」とか。また会議でも議長が「これより会議を始めさせていただきます」とか言う。この「させていただく」も、私にとって最近気になっている「はなし言葉」のひとつである。

 この「させていただく」というのは、一体、どういう意味あいがあるのか。作家の村上龍さんは、「自分が責任リスクを背負わない言い方」だという。確かにそういう意味もあるかも知れない。そうであったら、「それでは開演させてもらってよろしいでしょうか」と確認した後に、「それでは開演します」と言えばよいではないか。その方が正確であろう。

 そういう意味よりも、少しへりくだった言い方、丁寧な言い方をしようとしている結果ではないのか。丁寧なようで決して丁寧でもない、礼儀正しいようでそうともいえない、何だかわけのわからない言い方ではあるまいか。

 この「させていただく」という言葉に限らず、我々は言葉の意味を考えず、言葉の選択をしないで、なにげなしに使っている言葉があまりにも多い。とくに「あいまい語」が氾濫しているように思えてならない。こうした日本語の乱れは、日常の生活においても誤解を生じたり、懐疑的になったり、不信を招くこともある。ひいては、国際交渉社会においても国どうしの誤解を招き、国どうしの交渉の大きな障害となる。「丁寧」よりも「愚直」、「あいまい」よりも「的確」が、時にして大切であろう。
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No title

「させていただく」は、たしかに落ち着かないのだけど、
今やそう言わないと失礼になるかな?という雰囲気がありますね。
開演なら、「開演いたします」で充分だと思うのだけど。

たしかに敬語や謙譲語、丁寧語は難しい。
だから「させていただく」、「おられます」で、全部済ませたいという
気持ちがあるのかも。
以前職場で、かなり偉い方の原稿に「来車させていただきます」という
一文があって、頭を抱えたことがありました。
「させていただきます」なんだから、ご本人はへりくだった気持ちなんだろうけれど。

難しいです。私も「させていただく」の世界に逃避することがあります。

Re: No title

yayaさん、お久しぶりです。

何だか随分会わなかったような。
どこか遠くに行ってたんですよね。

> 難しいです。私も「させていただく」の世界に逃避することがあります。

私も難しいこと言わずに逃避すればいいんですが・・・。

yayaさんと同じく

これは難しいですね。
私も「ブログを読ませていただきました」と足跡に書いたことがあるのですが、違和感を感じながらも失礼にならないように、と思ったのです。

PTAの役員をしていた時、総会の場で自己紹介をするのですが、ほとんどの方が「○○委員をさせていただくことになりました○○です」と言ってました。この時、私はいつも「1年間○○委員を務めます○○です」という表現をしました。これは意識してのことです。

本当にgeotechさんのブログは勉強になりますし、頭の中にあった雲が晴れたような気持ちになります。

Re: yayaさんと同じく

おしゃれな猫さん、こんばんは。

毎度、毎度、ありがとうございます。

日本語ってむずい、いやいや難しいですね。

> 本当にgeotechさんのブログは勉強になりますし、頭の中にあった雲が晴れたような気持ちになります。

ブログを書きながら自分でも整理してます。

これからもよろしくね。
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