男子厨房に入らずんば(一~三)

(一)

 例えば、今夜の料理は何にしようかと考えるとき、男子は、家族全体のことを包括的に考えて決定する。その点、シニアの女子は違う。まず、自分が食べたいものから考え、次に子供のことを優先する。間違っても、旦那のことを優先することはない。

 仮に、今夜何が食べたいかと質問されて男子が答えたとしても、それはどうのこうのといって却下される。男子はそのうち、聞かれて答えても却下されることを学習し、答えなくなる。と同時に、男子は自ら厨房に入るという英断をするのである。旨いものを自らの手で作りさえすれば、何の気兼ねも要らないのだ。かくして、男子と女子の厨房合戦が始まる。

(二)

 私は自分の朝ごはんは自分で作る。バナナとヨーグルトの同居人と違って、普通の朝ごはんがどうしても食べたいからである。バナナとヨーグルトに合わせられたら、仕事はできない。会社で大して知恵も力も使わないが、普通の朝ごはんを食べないと、ほんとに知恵も力も出ないし、生きた心地がしない。

 朝食に限らず、朝に夕に、料理の下ごしらえから、食器洗い、食器乾燥、後片付けと、最近、何かと厨房にいる時間が多くなった。もう老後の自立の域をとうに越しているのだが、厨房作業を先送りする同居人がいるから、仕方なくそうなる。同居人が厨房作業をなぜ先送りにするかというと、同居人はビールを飲みはじめたら食堂の席から立とうとしない。ワインを飲んだら居座る。にごり酒を飲んだらソファーに寝込むからである。

(三)

 私が飲まないわけではない。同居人とほとんど同じかそれ以上に飲む。私がとくにお酒が強いというわけではないし、潔癖症でもない。要するに、先送りされた食器の山を黙って見過ごすことができない、ごく普通の感覚の持ち主であるからだ。つまり、喜んで炊事をやっているのではなく、見るにみかねてやっているまでだ。洗い場がたくさんになると、ほっとくわけにいかない。洗えば乾燥しなければいけない。乾燥すれば片付けないといけない。毎日、この繰り返しである。どっかと腰をすえた同居人を横目に。

 いつからこのような居候のような習慣がついたのだろうか。多分、それは同居人の腹廻りが肥大化しはじめた時期と一致する。犬は最初のしつけが大切というが、我とて最初からほんの最近まで完璧にしつけてきたつもりである。ああ、それなのに、それなのに・・・・。そんな愚痴を言っても仕方がない。そういっている間にも作業が増える。
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深謀

しつけられたのは貴兄かと、拝察します。
これで、いつでもひとり暮らしができるというものです。
大先輩からお祝いの言葉を差し上げましょう。

Re: 深謀

拝啓、心温まるお祝辞をありがとうございます。

そうか、しつけられたのか。
甘んじて、しつけを受けよう。

No title

こんにちは、
男が先に逝くと、女は元気になる。
女が先に逝くと、男は弱る。
なんていう傾向があるそうです。
男は厨房などが苦手なせいでしょう。
その点、火事に強くなれば、
ひとりになっても強く生きていける。
けっこうな話のように思われます。

Re: No title

rippleさん、こんにちは。

コメントありがとうございます。

> 男が先に逝くと、女は元気になる。
> 女が先に逝くと、男は弱る。

いいえてますね。

> けっこうな話のように思われます。

そうですが、少し悲しいものもあります。

これからもよろしく。

我が家はちょっと違いますね

こんにちは^^

単身赴任の主人が帰ってくる週末は、必ず(絶対に)主人の好きな物を作ります。
平日は息子と私だけですが、私は塩分控えめの野菜中心の食事で息子は肉類です。もちろん息子のメニューにも野菜があります。

主人はかなりお酒を飲みますが、私はまったく飲めません。ビールや焼酎は主人が好きなものを買ってくるので、そちらはおまかせですね。

主人は絶対に台所には入りません・・・・

Re: 我が家はちょっと違いますね

おしゃれな猫さま、 こんにちは。

> 主人は絶対に台所には入りません・・・・

羨ましい限りです。子を愛し旦那を愛しているからこそですね。
私の場合は自業自得なのかも。
トホホホ・・・・・・・
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団塊の世代を突っ走った田舎侍の遠吠えです。聞いてやってください。実話から世評までもろもろですが、一貫して、辛口です。

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