中国の矛盾と苦悩

 破壊活動を伴う大規模な反日デモが中国内陸の地方都市で相次いで起こっている。パナソニックやソニーの看板や窓ガラス、トヨタ車などが壊された。これはデモというより、まさに暴動である。舞台は内陸部であり、主役のほとんどは愛国教育を受けた世代の学生である。沿岸部に比べて成長が遅れている内陸部においては、若者の就職が困難であり、貧富の格差が顕著である。政府に対する怒りの矛先が反日に向けられたとみられる。

 このようなデモや暴動に対する中国当局の態度は一貫している。暴力行為を強く批判することなく、祖国を思う若者への理解を示してきた。それどころか、その原因は相手国にあるとして相手国を非難する。今回もそうであるが、05年の反日デモ、08年のチベット問題に対するフランスへの抗議など、過去の暴動もすべてそうである。愛国教育を教え込んだ手負いの若トラが飼い主に牙を向けるのを怖がっているからである。まさに、自分が撒いた種である。

 しかし、尖閣問題が政治間レベルで沈静化しようとしているこの時期になぜ、と思う。時折しも中国共産党の幹部が北京に集結して重要な会議をしているときである。習近平氏が副主席となり、胡錦濤の後継者に事実上確定したときである。習近平氏は内陸部出身の苦労人である。リベラルな姿勢で知られ、官僚の腐敗に対して厳しく臨み、政治的にも経済的にも開放的な姿勢をもった指導者として知られる。この習近平に対するアピールであろうと推察する。それほどに現政府への不満が深刻化していると考えられる。

 中国はこの事件によっても国際的に品位を下げた。尖閣諸島をはじめとする東南アジアにおける領海権問題、ノーベル賞問題、人民元の問題、国内事情と、異端児である中国は世界から孤立していく。いくら経済的に超大国になったとはいえ決して容認されるべきものではない。中国は市場経済と非民主国家という自己矛盾を抱えながら、これからも苦悩していくであろう。
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