異論・龍馬伝

龍馬伝

 NHK大河ドラマ「龍馬伝」は盛況のうちに終了した。日本各地に降ってわいたように龍馬にまつわる名所、展示会、イベント、お土産を急ごしらえし、少なからず日本経済の活性化にも寄与した。20%を超える視聴率を支えた人気の最大の要因は、何といっても甘いマスクの福山雅治であろう。それに加えて、閉塞感漂う現代社会において、世直し、打破、希望を願う国民の総意ともとれる。

 しかし考えてみれば、何とも史実と違いすぎる龍馬伝であったことか。まず、実物の龍馬は写真でご存知のとおりブ男である。とても福山雅治とは似ても似つかないのである。ましてドラマでは土佐、江戸、京都、長崎と行く先々で美人にモテているが、実際にはモテていないのだ。

 まあ、この程度ならご愛嬌といきたいのだが、核心部分はどうも合点が行かない。ドラマで龍馬は「列強(外国)は日本を植民地化しようとしている、だから幕府を倒さないといけない」と繰り返している。すなわち、日本の植民地化を阻止することを倒幕の御旗に掲げている。これは間違いである、その証拠に、龍馬は長崎の英国人商人グラバーと親しくし、武器を大量に買い付けしている。また、龍馬が植民地化への危機感を持っていたという文書は何ひとつない。ドラマだからといって、史実とかけ離れて、本質的な問題をここまで間違ってよいものであろうかと思う。

 確かに、龍馬は脱藩した自由人であり、時代を見据えた先見性にたけている。大胆な構想力もある。しかし、これは青春像そのものである。龍馬は30代前半で暗殺された。龍馬の中年以降はない。仮に龍馬が明治維新後も生きていたら、時代を切り開く若々しいイメージはもてないだろう。

 経営者の中に龍馬にあこがれる人が多い。私自身も龍馬に限らず倒幕の志士にあこがれる。これは、中年以降の経営者が龍馬にあるべき青春像を重ねているのであろう。これは逆に言えば、成熟の拒否ともとれる。
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