近くて遠い隣国

 尖閣諸島をめぐる一連の事件を通して、つくづく中国は近くて遠い国だと思う。テレビでお馴染みの中国女性報道官の高圧的発言に始まり、温家宝首相の国連を舞台にした声高発言、日本人社員の拘束、レアアースの輸出規制。どれをとっても、理不尽極まりないを通り越し、暴挙としか言いようがない。歴史的にみても国際法からみても尖閣諸島はわが国の領土であるという正論は中国には通用しないのだ。

 しかし少し冷静に考えてみれば、さもありなんと納得できる。考えてみるがいい。自由経済と議会制民主主義の日本に対して、相手は市場経済を導入しながらも共産党独裁の国家である。中国には法の支配が欠けている。法律や条約に従うというルールがない。法治よりも人治・党治が絶対的である。日本と中国では、国のかたちがまったく違うのだ。

 日中会談では中国の代表は時折、後ろに控える人の意向を確認する。その人物はうなずいたり、頭を横に振ったりする。まさしくこの人物が共産党の幹部である。党の意向は絶対的である。党と国民に気を使えばこその強行姿勢である。

 中国にあふれる海賊版CDをめぐって知的所有権を定めた条約に違反すると日本が指摘した。すると、中国が考案した漢字を日本は無断で使い続けてきたではないかと、真顔で反論するのである。尋常な国ではない。「ならず者国家」「やくざの集団」とまで言い放った評論家がいた。ともに漢字を使い、ともに米を食する隣国・中国であるが、まさに遠い国である。

 さて、こんな中国とどう向き合い、どう付き合うのか。今や世界経済を引率する中国に逆らっても国益を損ねるという評論家がいる。しかし、事は領土問題である。事は主権問題である。国の根幹に関わる問題に易々と引くわけにはいかないだろう。

 逆に逮捕した船長を釈放したのは中国に屈した行為であり大きな間違いだと主張する野党政治家。それでは、その政治家はどうすべきだったと言うのか。逮捕したまま拘留期間を延長して起訴するというのか。そうしたら、事態は日中の国交断絶にまで及んだかも知れない。

 ここは、領土と法に関して粛々と対応しながらも、成熟した国家の一員としての対応が望まれる。そういう意味で、今回の対応は弱腰外交のイメージは払拭できないが、ぎりぎり許せる大人の対応ではなかったろうか。欧米の国際国家はみなわかっている。尖閣諸島をめぐる一連の事件で国益を損ねたのは、日本ではなく、実は中国なのである。むしろ、孤立する大国・中国を世界が包囲し、正しい方向に導く知恵が求められる。



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