十三人の刺客

 ベネチア映画祭の報道に触発されて観賞した。横暴・残虐極まりない明石藩主を討つ物語である。参勤交代で江戸から明石に戻る道中、藩主を守る300人の家来に13人の刺客が挑む。1963年に公開された映画のリメーク作品である。

 刺客たちの人物像の描写に、死に方の個性が出ている。13人の戦いぶりを演出するカメラワークも良い。クライマックスの戦闘場面は迫力満点である。主役・役所広司は適任であるが、それより、馬鹿殿様扮する稲垣吾郎が良い。

 ただ、不満な点もある。「これは広島・長崎に原爆が投下される100年前の話である」というプロローグなど、最初からベネチアを意識した作品であること。「おくりびと」にも同様の感じがあったが、国際感覚の平和に対する共通認識に日本独特の文化を加えた、いかにも国際映画祭向けの作品であることが見えすぎる。藩の一行は刺客たちの存在を意識しながらその待ち伏せを確認しながら下向するが、刺客が待ち伏せる落合宿を先発隊が来たときの村の様子などに不自然さがある。現実にはこのようなことはありえないと感ずる部分がある。さらに、下ネタ的な下品な描写があるが、これはこの作品に必要なのかと感ずるところもある。

 「天下万民のため」というのが藩主を討つ大義であるが、これは単なる建前であって、役人化する武士に飽き、武士が武士たる存在を見出すためであろう。「誰のために、何のために生きるのか」という永遠のテーマをこの作品は訴えている。
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