つばめの話






 広島市内に「つばめ交通」という老舗のタクシー会社がある。広い車庫に何十台ものタクシーが納まり、そこから頻繁に出たり入ったりする。その車庫に今年もつばめ一号がやってきたそうな。毎年、車庫のあちこちに巣を作り、子作りに精をだす。巣から藁が落ち、糞が落ち、直下の商売物の大切な車を汚す。汚しては洗車し、洗車しては汚すことを、何十年も繰り返していると言う。それはそれは途方も暮れるような洗車の作業なのだが、「つばめ交通」の繁栄はつばめのお陰と、会社は洗車を厭わない。その話を聞いて、できるだけ「つばめ交通」に乗るようにしている。



つばめ交通



 同じく、わが家のガレージにも毎年、つばめが巣を作る。昨年は風が強くて、作っては落っこち、貼っては剥がれ、最後まで不完全な巣となり、今もその残骸を残す。別の場所に新たに作ればよかろうものを、毎年、同じ場所に作る。残骸の上に作ると剥がれやすくなる。だから、つばめ一号がやってくる前に残骸を除去して、巣作りの準備しておかねば。


ツバメ


 どういう訳か、つばめは毎年、同じ場所に巣を作ろうとする。雨よけ、風通し、湿度や温度、壁の凹凸や材料の調達などの巣作り環境に加えて、家主の人柄も配慮しているのだろうか。ほんとうのことは、つばめに聞いてみなければわからない。タクシー会社と同様、巣の直下にある愛車の洗車を頻繁に行う季節になった。


 話変わって、広島市内に「つばめ」というラーメン屋がある。醤油とんこつの広島ラーメンの店はどこも美味しいが、とりわけ「つばめ」は一押し。いつ行っても満席。なんでも、麺がなくなり次第閉店という。美味しい店にはタクシーやダンプのドライバーが集う。当然、「つばめ交通」のドライバーも見かける。この店のオーナー、麺一筋でつばめ御殿を建てたと聞く。


つばめラーメン


 つばめに纏わる言い伝えは全国にある。「つばめが三度巣をかけると千万長者になる」(愛知)、「つばめは火事を出す家には巣作りしない」(秋田、山形、山口)、「つばめが巣をかける家は縁起が良い」(千葉、新潟、愛媛)、「つばめは田の神様を負うてくる」(広島)などなど。いずれにしても縁起の良いつばめを今年も迎える季節になった。




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風が運ぶしあわせの花





そういえば、玄関先にカラの植木鉢をひとつ置いていた。その鉢に1本の雑草が生えていた。

日照り続きの猛暑のあと、風台風が到来して数日後の朝のこと。

気にも留めずに放置してさらに数日後、鉢の雑草がムクムクと背を伸ばし、特徴的な細い葉を備えた立派な茎に成長していた。

よくみると茎の先端につぼみがある。そして明くる日、なんと黄色い花1輪が咲いた。



ケフナ




なんという名の花だろうと、フェイスブックに問いかけた。

間髪入れずに、お友だちのお花の先生から「ケフナでないかしら」と返答があった。

聞き慣れないこの名を早速調べたら、そのとおり「ケフナ」であった。


この「ケフナ」、アオイ科ハイビスカス属の一年草で別名をホワイトハイビスカスと呼ばれているそうな。

もともと西アフリカ原産と言われており、古くはエジプトのミイラの包帯にも使われた植物という。

皮の部分、芯の部分が全て紙の原料として利用できる最適な非木材資源とされているそう。

二酸化炭素の増加を抑えて土中の窒素やリンを吸収する環境浄化能力に優れた性質を有するという。


わが家に飛来した「ケフナ」は毎朝1輪、ハイビスカス風の黄色い花を開花し、夕方には閉じた。

そして明くる日、別の1輪が開花する。それを繰り返すこと2週間、ついに「ケフナ」の開花は終わった。


どこから飛んできたものかわからない。おそらく台風の風が運んできたものだろう。

それも、よりによって格好のカラの植木鉢に。

成長がすこぶる早く、惜しみなく1輪咲いては閉じる、その咲きっぷりは見事であった。

なんだか不思議な気がする。秋到来を知らせる台風の贈り物が教えてくれる。

「ケフナ」のように、強く、逞しく、真っ直ぐに、潔く生きなさいと。



ラブドール的心






 言うことなすこと熱し易い私は、どうやら寝てても熱いらしい。確かに夢の中で叫んだり、ときには怒鳴ったりすることもあるが、そのストレスが就寝中の身体を蝕んでいたようだ。


 歯医者に言わすと、就寝中のストレスや踏ん張りで、歯を強く噛み過ぎるのだと。奥歯が痛いのは、噛みすぎて歯が砕けがちなのが原因だと言う。対策としてマウスピースを付けて寝ればいいのだが、それはそれで気になって寝れない。そこで、せめて仰向けではなく横になって寝ることを推奨された。


 スマホのアプリで就寝中の睡眠状態を調べた。すると、ほとんど毎日、無呼吸状態が観察されて熟睡度は浅い。無呼吸状態は長いときでは1分間以上続く。下手すると、ある日突然お陀仏の危機にあった。内科医に言わすと、いろいろ治療法はあるがどうせ聞きゃしないからと、せめて仰向けではなく横に寝て気道を確保しなさいと進言された。


 そもそも、真っ暗な部屋の中で仰向けに寝なきゃ寝れない習慣が身についている。どうすりゃ横向きに寝れるか。あれこれ検索の結果、このグッズに行き着いた。







抱き枕






 このピンク色の怪しい物体は、ダッチワイフではない。ダッチワイフを進化させたシリコン製のラブドールでもない。ただの抱き枕なのです。楽天から2000円で購入。これを抱いて、あるいは背中に置いて、横向き就寝の補助グッズにしようと。少々、太っとくて持て余していますが、何とか横向き就寝を確保。邪魔になれば足元に置いて足を乗せればそれも良し。毎日、このピンク色のグッズを抱いて寝る怪しい夜を過ごしています。そりゃグッズでなくて生身を抱えて横向き就寝できれば、それに越したことはないのですが。




RUN





 演歌好きの私でも、ときどきカラオケで歌う長渕剛の『RUN』。そこには、正直者でありながら臆病者でもある人物像が描かれている。それと比較して私はといえば、負けない位に臆病者ではあるが、さほど正直者とは言えない。おまけに負けず嫌いときているから、それこそ質(たち)が悪い。
 

 例えば、好きな球団の試合をテレビ観戦していて負けそうになると、見るのが怖くてとっさに消したりする。不甲斐ない負け方をしようものなら、当分、応援もしない。もうどうでもいいと自分を精一杯繕いながら、煮えたぎる悔しさを思う存分腹に収める。


 そんなのは本当のファンじゃないって責められる。でもね、あんたの息子か孫が甲子園に出ていて、打席の瞬間、あなた、まともに見れますか?タイムリーでなくてもいい、ファインプレーでなくてもいい。せめて三振しないで、せめて落球しないでと願う、それが愛ではないですか。


 人と待ち合わせすると、ほとんど30分前には着く。え~と、駅までの徒歩の時間が何分で、もし電車がすぐ来なかったりとか、仮に電車が遅れたりとか、いろいろと不安定要素を水増しする。


 公衆浴場で体を洗うとき、シャボンやシャワーが隣に跳ねないか気にしする。隣のシャボンがこちらに溢れ出ていつも嫌な思いをする。溢れる隣からのシャボンを、相手方に気づかれないようにシャワーでそっと払い除ける。


 日常においてもすべからくこうだから、仕事においてはもっとシビアになる。工期が厳しい大きなプロジェクトになると、無理してでもできるだけ前倒しして工期のせめて数日前に仕上げることを目標にする。その目標を達成するためには斯く斯く然然と工程を練り、工程はいつも前倒しに行う。どこでつまずき、どこで体の具合が悪くならないとも限らないから。


 こういった行動について、慎重派だとか堅実派だとか言う肯定的な意見を頂戴することもあるが、要するに、私はただの臆病者なのです。


 ただね、この臆病者の私は私であり、この歳でおいそれと性格が変われるものではないのです。そして行くつくところ、冒頭の長渕剛の『RUN』に繋がるのです。そんなことを悩んでいないで走りなさいと。RUN 、RUNら、 RUN 、RUNら~、 RUN~RUNら RUN、RUN~・・・・・・・・。結論を求めているから悩むのであって、もともと結論はないのだ。そんなことより、とにかく走れと、自分を言い聞かせるのです。





いろいろな壁



F



 趣味でギターをやっている。ギターをやる人だったら誰でも知っているのが、Fコードの壁である。よく使うポピュラーコードの中で一番押さえ難いのがFコード。そのFコードなのだが、私は男としては手が小さいためなのか、きちんとできない。なので、自己流のFで誤魔化している。Fコードの壁を越えられないと自覚したとき、私にとってのギターは人に聞かせるギターではなく自身が楽しむ趣味のギターに留まった。


 ゴルフはやっていないが、ゴルフにも100の壁とか80の壁とかがあるらしい。安倍総理がお正月ゴルフで89のスコアを出したと話題になっていた。ゴルフ好きの人に言わすと、89と90では全然違うのだと。89は80代のスコアであり90とは全く違うのだと。私にはスコアが1違うだけで大差ないと考えるのだが。ゴルフの壁もシビアである。


 もう2年以上ほぼ毎日、ジムのランニングマシーンで5km走っている。最初の頃は45分位の超スローで走るのが精一杯であった。次第に馴れてくると40分の壁を割った。そして2年目で30分の記録が出た。だがいつもヘトヘトで全く余裕がなく、これが今のところの限界の壁と感じている。しかし駅伝やマラソンを走る人はこの倍のスピードで走っている。同じ人間としてできないことはない。次なる壁は30分を悠悠と割ることを目標にしている。


 起業してしばらくのこと、社員に毎月、目標達成表を出させた。月の初めに個人個人に自由に目標を設定させて、月末に達成できたかどうかを検証し、なぜ達成できなかったのかを書かせるというもの。目標は仕事のことでも個人的なことでも何でもいいことにした。これは会社のためというより、いわば個人の研鑽を目的にしたものだ。すると、目標達成できる人は毎月達成できて、達成できない人は毎月達成できない。その原因がわかった。目標達成できない人は、最初からどう考えても達成できそうもない目標を設定し、それを達成できなかった言い訳にしているのである。つまり、できない人は最初から逃げているのだ。


 趣味や芸術、スポーツ、科学の世界、あるいは日常の生活においても、いろいろな壁というものがある。壁イコール目標でもある。壁(目標)を自ら作る(立てる)ということは、生きる活路にもなる。壁(目標)を乗り越えるには、それなりの覚悟と努力が必要となる。しかし乗り越えたときの達成感は何にも代えがたく、自信と勇気を与えられることを知っている。いろいろな壁(目標)を自ら作る(立てる)ことを怠るまい。




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団塊の世代を突っ走った田舎侍の遠吠えです。聞いてやってください。実話から世評までもろもろですが、一貫して、辛口です。

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