マンション問題に喝







 私は、横浜のマンション問題に関連したブログを10月15日、同20日、同23日と3回に渡って綴ってきたが、またここで言わずにはおれない状況になった。というのは、その後の報道を見聞きするに、本質的な問題から逸脱した展開によって、国民に確かな情報を与えないばかりか要らぬ不安をもたらしてると感じたからである。一連の報道が本質的問題に言及できていない原因は、招かれた解説者がすべて構造建築を専門とする学者や一級建築士であるからであり、建物の基礎や地盤の専門家でないことにある。そこで、招かれざる基礎地盤の専門家として一言物申すに及んだ。

 まず報道の経緯を振りかえってみよう。データの偽装、改ざんという問題が発覚し、杭技術者Bが手がけた建物が全国に何件あり、そのうちデータを改ざんした杭が何本あるという事実か明らかになった。ところがBではない技術者C、Dにも改ざんが認められ、実は改ざんはA建材に限ったものではないとまで拡散し、収集がつかない状態になっているのが実情である。つまり、過去のすべてのマンションやビルに改ざんの可能性があるということにまで拡大しようとしている。

 建物の基礎にはいろいろなものがあり、今問題になっているのは杭基礎、それも柱状に地盤を掘削した後に杭を挿入する基礎工法(中掘工法)である。掘削中の抵抗やトルクをアンメーターと呼ばれる電流計で計測して支持層を確認した後に杭を挿入するが、そのデータが改ざんされたということが問題になっている。なぜ改ざんしなければならないのか、そこが核心である。それは、杭は事前に工場で作成して用意してある既成杭であるからである。予定した深度に支持層がなかった場合(予定よりも浅い場合も深い場合も)、だからといって新たに杭を作るには時間がかかり、最優先課題であるマンションやビルの販売計画が遅れるからである。したがって、支持層に過不足があっても用意してある既成杭を使うためデータを改ざんすることになる(詳しいテクニックはここでは割愛する)。

 データ偽装の仕組みは以上のとおりであるが、実はもっと重大な問題が隠されている。それは、掘削時の抵抗値がピンと跳ねたデータになったとしても支持層とは限らないことである。支持層ではない不安定な転石や核石(未風化の芯)に当たった場合も抵抗値が上がるからである(下図の①がまともな支持層杭、②③は支持層に到達していない)。つまり抵抗値はデータに過ぎないものであり、目で見て確認されたものではない。このようなミスを失くすためには事前のボーリング調査と地盤解析が重要となる。ところが、マンション1棟についてボーリング調査は1本か2本程度しか実施していないのが実情である。その根底には10月20日のブログにも書いたように、建築屋からみた土木屋への軽侮にある。一級建築士の「事前のボーリング調査データはあくまでも参考値であり・・・・」という発言がそれを物語る。事前の調査を蔑ろにした結果がこういう事件を招いているとも言える。






支持層





 さて、それでは私の住んでるマンションは大丈夫なのかと、全国で不安が拡散しているようであるが、これに関しては次のように言える。杭基礎にしろ別の基礎にしても、建設後10年以上も経って変状や不具合が発生してなければ問題ないと言える。なぜなら、変状の原因となる圧密沈下や不同沈下というものは10年以内に発生するからである。データ偽装は無論良いことではないが、データ偽装の有無よりも実際に建物が安定しているか否かの方が重要である。そういう意味で建物の変状を調査することを勧める。ただし変状にも問題がないものもある。例えば、下の写真は私が住んでいるマンションの杭基礎部分の変状である。杭に荷重がかかるとが、A-B、C-Dと亀裂が発生するが、これは杭が十分に機能している証拠でもある。



マンション変状




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マンションの安全性に関して




 連日報道されている横浜市の分譲マンションの基礎杭問題に関して、10月21日付で国土交通省から関係団体あてに要請が行われました。この要請は、連日の調査結果の発表や報道を鑑み、建築物等の安全性についての国民の不安払拭に万全を期するために関係団体あてに行ったものです。

  関係団体とは、不動産業団体・建設業者団体となっており、横浜市の分譲マンションにおける基礎ぐいに係る問題を踏まえた対応の要請として、以下のことが記されています。

 1.居住者等において建築物等に関する不安が広がることのないよう、売主、事業主及び元請企業として、居住者や国民の不安払拭のために積極的な対応を講じること。また、建築物の安全確保や居住者等の不安の増幅防止のために機動的な対応を図る必要が生じた場合には迅速かつ誠実な対応を速やかに講じること。

 2.旭化成建材(株)において、過去10年間のくい施工工事(約3000件)についてデータ改変等の調査が進められているところであるが、より確実かつ厳正な調査の実施を図るため、売主、事業主及び元請企業として主体的に調査を実施し、責任ある対応を行うこと。

  詳しくは下記のページをご覧ください。
「マンション建設に関する国交省の通達」
http://isabou.net/Convenience/aviso/index.asp

 現在、マンションに住まれている方、マンションを購入される予定の方でマンションの安全性に不安を覚えている方は、以上のことを念頭に、関係先に問い合わせるなどの対応をすることをお勧めします。




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