広島のアクセス事情





 今の広島空港を建設する際、建設すべきだ、いや止めるべきだとの議論があった。そもそも新たに広島空港を建設するきっかけになったのは、もともとあった広島西飛行場近隣の住民からの騒音苦情である。しかし広島西飛行場は市内中心部に近いことから交通アクセスは抜群であり、ここから羽田、札幌の他に、出雲、高知、仙台、花巻などの地方都市への便もあり、高い利用率を維持していた。

 すったもんだの紆余曲折の末、結局、新しい空港を建設することになったわけだが、それもよりによって広島市内から高速を使っても1時間30分もかかる山里に建設することになった。さらに、建設地は高い標高の山に囲まれた盆地であるため霧や乱気流が発生し易く、当初から空港建設地として不適だとの評価であった。

 建設後、案の定、アクセスが悪いため上京客は新幹線に取られ、気象不良による欠航が相次ぎ、着陸条件が悪くて他の空港への着陸を余儀なくされることも多かった。当てにできないことから益々利用客が減り、採算がとれないから便数が減るという経営の負のスパイラルに陥っている。先日のアシアナ航空機事故を待たずとも、既に建設時から空港として諸問題を抱えていたのだ。

 話変わって、広島には路面電車が縦横に走り、それが情緒ある風景という意見もある。しかし実際に暮らしてみると、路面電車が車道を邪魔して渋滞を引き起こし、市内のアクセスのネックとなっている。今から50年前から地下鉄建設の構想もあったが、政治的決着の中で断念した経緯がある。

 アジア競技大会開催に合わせて、地下鉄の代わりにとモノレール(アストラムライン)が建設された。しかし当初予定していた市内とビッグアーチ(現在のサンフレチェのホームグラウンド)を直接結ぶものになっていない。その失策が尾を引いて、サンフレチェのホームグラウンドを市内に移すことになり、その候補地でまたすったもんだの議論が続いている。

 今思えば、広島西飛行場の滑走路を延長して国際空港にし、地下鉄を建設していれば、福岡市と同様に広島市は国際都市となって発展していたと思う。市民球場の建替えとして建設されたマツダスタジアムが今、カープ女子で埋めつくされるほど人気があるのは、広島駅から徒歩でいけるという立地条件である。新幹線を使った他県からのリピーターが観客数の大幅増加に繋がっている。

 地方都市の発展には、アクセスなどの将来設計を達観する力量あるリーダーの存在が不可欠である。世界遺産がふたつもある広島であるが、アクセス事情は全くお粗末である。そのツケが都市発展の足かせになっている。



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