墓守






 母が亡くなってもう24年になる。そのとき父は死後40年を経過し、墓は遠く郷里にあった。父と母を同じ墓に入れて身近に供養したい。その思いから、母の死後、姉と兄と私の兄弟3人で相談した結果、宮島を望む墓苑に新たに墓地を設けることにした。

 母は旅立ちの身支度として、白装束、瀬戸内寂聴さんの本とかを梱りにしまっていたが、その片隅にお金も残していた。ときどき家政婦会の斡旋で下働きをしては貯めたであろうが、割とまとまったお金だったので、兄弟、顔を見合わせて驚いた。何に使うおうかと考えた末に、母の志を尊重して墓地の購入に当てることにしたが、姉と兄と私の3軒分をまとめて購入しても余りあった。そのときは、姉も姉の旦那さんも兄も兄嫁も、みな同じところに入れると喜んだ。

 昨年末、姉が亡くなったとき喪主である義兄から、遠くの墓に参りに行くのも大変だから墓地を返還したいとの申し出があった。姉の死後、義兄の体は衰弱した上に癌を患っていたので、墓参りどころの話ではない。それに子どもは東京に嫁いだ娘ひとりだから、いた仕方ないことでもあった。義兄の代理人として墓地返還手続きを行い、3軒分の墓地の1/3を更地にして管理事務所に返還した。

 比較的結束が固い兄弟3人であり、当時は一緒の墓地にとの思いがあったのは事実である。しかし、時を経て、お互いに歳をとり、病気もすると、その思いは薄れてくるのもまた現実である。第一、3軒分の墓の守りを誰がするのかといっても、男の子は私の息子たったひとりである。彼に3軒分の墓守をしろとはとても言えないし、現実的にそれは無理であろう。

 今年の夏は姉の初盆である。3分の2に縮小した墓地で、姉の死を父と母に報告した。帰り際、あちらこちらで、墓地管理事務所に連絡してくださいとの立看板を目にした。墓地返還でお世話になった事務所に立ち寄ると、なんでも連絡が取れない無縁仏が多いと言う。無縁仏の墓石を回収するビジネスもあるとか。

 少子化と核家族化がますます進み、社会の考え方も変化し、この先、墓守はどのようになるのか。墓のマンションに納めて、ボタンを押して、立体駐車場みたいに出てくる位牌に拝むのが主流になるのか。なんだか味もそっけもない世の中になったものだ。姉の初盆に、将来の墓のあり方や死者を悼み想い敬うすべについて考えさせられた。





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