風土のふしぎ




 若い頃から日本全国を転勤し、出張もしてきた。いろんな出身地の方々と数多く接触もしてきた。その経験から、日本全国の風土や人柄に対する評価が私の中で構築され、それが次第に固定観念になっている。ただ、それをあからさまに披露しても全国の読者のひんしゅくを買うので、近所の中国地方の話だけにとどめる。



廃藩置県




 風土や人柄の違いは、細かく言うと廃藩置県後の都道府県というよりも昔の藩の区分によって形成されていると考える。例えば、中国地方の瀬戸内海側でいうと、同じ山口県でも長門の国(萩、下関などの西部)と周防の国(岩国、周南などの東部)では人間性がまるで違う。長門はプライドが高く、今の日本があるのは長州のお陰だとほぼ県民全員が信じきっているところがある。だから長州>周防と思っている。方や、周防は八方美人で人がいい。周防からすると長門は気位が高いとけなす人が多い。ちなみに、山口県出身歴代総理大臣のうち、伊藤、山縣、桂、田中、菅、安倍の6人が長門であり、寺内、岸、佐藤の3名が周防である。
 
 他の県においても同様である。同じ広島県でも安芸の国と備後の国では人間性がかなり違う。不思議なことに、安芸、備後、備中と東に行けば行くほど役人の態度が横柄になり、備前にいくと足を机に上げる役人が多かった(昔のことです)。京の都に近づくにつれて、都人気取りの気質が強くなる遺伝子のせいなのだろう。ところが、播磨まで行くと態度が豹変する。我々は京の都人ぞよ、そういう感覚を持っているのである。

 山陰の同じ島根県でも、石見の国と出雲の国では人間性が全く違う。これはあくまで一般的な話であるが、石見の人は朴訥として口数が少なく、真面目人間が多い。これに対して出雲は人が悪く計算高いと言われる。島根県からは若槻、竹下の2名が総理大臣になっているがいずれも出雲出身である。竹下の実家は造り酒屋で名を馳せた、名うての豪商である。




 全国には風土の伝承を思わせる不思議な現象がある。例えば、広島県第2の都市、福山市である。福山市を訪ねて気になることがある。話し言葉が「おみゃ-」「にゃあ、まゃあ」と名古屋弁である。それに名古屋名物の台湾ラーメンや手羽先を扱う飲食店が目につく。さらに、喫茶店では名古屋モーニングが出てくる。


台湾ラーメン
(福山市名物 味仙の台湾ラーメン)


名古屋モーニング
(名古屋モーニング)

 なぜ福山は名古屋に似ているのか。調べてみると、三河出身の水野勝成が家臣や職人を連れて来て初の福山城初代藩主となったからだという説が浮上した。この説は学術的には微妙なようだが、それにしても不思議である。

 このような現象は全国至るところで見られる。いずれにしても、風土と文化は営々と伝承されていることを感じるのである。それで思い出すのは民族学者の柳田国男氏が提唱した「方言周圏(しゅうけん)論」である。京言葉が同心円状に地方へ伝わり方言として残ったと考えれば、それは不思議ではない。民族学の面白さと奥の深さを感じる。






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