うがった見方



 文化庁の国語世論調査は、日常会話の使われ方を定期的に調査するものらしい。その調査結果が発表されていた。それによると、例えば「腹が立つ」のを「むかつく」と表現する人や「1歳上」を「1コ上」と表現する人の割合が5割を越したという。他にも雑多な現代風の慣用表現が国民に浸透している実態が透けて見える。

 このような日常の慣用表現は時代の推移とともに盛衰するものであり、それはそれで時代を映す鏡でもある。よって、否定するものではない。ただ、言葉の使われ方は使う相手と時と場所によらねばならない。若者が所構わず相手構わず、ため口をたたいているのを見聞きすると、感じがいいものではない。日本の言葉文化も廃(すた)れたなぁと思わずにはいられない。

 それに言葉には響きがあり、その響きが大切である。言葉の響きからくる印象というものが、良くも悪くも相手の心に響く。「むかつく」とか「うざい」では、いくら何でも品がなかろう。そういいながら、私もたまに腹が立ったとき独り言で使うのだが。逆に、同じ慣用句でも「まったり」や「ほっこり」の響きは歓迎したい。

 国語世論調査の結果はさらに、本来の意味で使っていない表現も紹介している。例えば、「失笑する」を本来の「こらえきれず吹きだして笑う」という意味で使っている人は28%であるのに対して、間違って「笑いも出ないくらいあきれる」という意味で使っている人は60%もいるという。さらに「にやける」に至っては、本来の「なよなよとしている」という意味で使っている人は15%に過ぎないのに対して、間違って「うす笑いをうかべている」という意味で使っている人は77%もいるという。

 そんな中、私もよく使う表現である「うがった見方」も紹介されていた。紙面曰く、「うがった見方」の本来の意味は「物事の本質を捉えた見方」という意味であり、このような意味で使う人の割合は26%であり、間違って「疑ってかかるような見方」という意味で使っている人が48%もいるという。だったら、私も間違った使い方の48%のひとりである。

 「うがった見方」が本来「物事の本質を捉えた見方」という意味である理由として、「うがつ」とは「雨だれ石をうがつ」というように、もともと「穴を開ける」「貫く」というニュアンスがあるからだと、紙面は説明する。

 本当にそうであろうかと疑問をもつ。「うがつ(穿つ)」は確かに「孔をあける」という意味があるが、「せんさくする」「普通には知られていないところをあばく」という意味も併せてもつのである(広辞苑)。私が謙遜して「うがった見方」を表現しているのは、「せんさくする」とか「斜めからものを見る」という意味合いで使っている。それに、「う(た)がった見方」の略とも考えられるからである。

 さらに、前述した言葉の響きが関係する。仮に本来の意味の「物事の本質を捉えた見方」という意味で相手の意見に「うがった見方ですねぇ」と評価した場合、相手は「そんなぁ」と照れるだろうか。反対に怒りはしないだろうか。さて、そうこう考える私の意見は、それこそ本来的でない「うがった見方」なのであろうか。





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